44 第2部 遺伝子とその働き
(g)) 入試センサー
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DNAの半保存的複製 次の文章を読み, 以下の間に答えよ。
DNA がどのように複製されるのかに関しては,DNA の構造的特徴などから, いくつかの
複製モデルが考えられていた。このDNAの複製方法に関して、メモルソンとスタールは
[実験] 大腸菌を重い窒素(N) のみを窒素源に含む培地で何世代も培養した後, 軽い
(N)を含む培地に移して一定時間培養を行った。その際, IN を含む培地で培養した大
菌と N を含む培地で1回または2回分裂した大腸菌からそれぞれ DNAを抽出し,密度公
配遠心法を用いて遠心分離を行った。この方法では、密度の異なるDNAを分離することが
の実験を行い DNA 複製が半保存的複製によって行われていることを証明した。
可能である。 結果は、次の①~③のようになった。
①EN のみを含む培地で培養した大腸菌からは高密度のDNA バンドのみが観察された。
② 'N を含む培地で1回分裂した大腸菌では低密度と高密度の中間の密度にのみ DNA バン
ドが観察された。
③2回分裂した大腸菌では低密度と中間の密度にそれぞれ同じ濃さのDNAバンドが観察
された。
(1)下線部に関して,「保存的複製モデル」では鋳型となる古い鎖とは別に新生鎖のみからなる
2本鎖DNA がつくられる(図1)。 今回の実験結果 ①~③のうち,このモデルを否定するも
のをすべて選び, 記号で答えよ。
第
1
(1
2本鎖DNA
実線 () は鋳型鎖
点線 (………) は新生鎖
を示す
図1 保存的DNA複製のイメージ
(2) 下線部に関して, 「分散的複製モデル」では複製後にできる2組の2本鎖DNAのそれぞれ
の鎖は鋳型となった古い鎖と新生鎖が混ざったものとなる (図2)。 今回の実験結果 ①~③
のうち,このモデルを否定するものをすべて選び, 記号で答えよ。
2本鎖DNA
実線 (一) は鋳型鎖
点線 (………) は新生鎖
を示す
図2 分散的DNA複製のイメージ
(3)〔実験〕において述べたように、 2回分裂後の大腸菌では中間密度のDNAと低密度の
DNA の存在比は1:1となる。 では, n回分裂後の大腸菌を用いて DNA を同様に解析し
場合はどのような存在比となるか,中間密度のDNAの存在量を1としたときの低密度の
DNA の存在量の値を, nを用いて答えなさい。
例題 10
(18 学習院大己