リード C
基本例題 25 気体の状態変化
PA
1molの単原子分子理想気体を容器の中に封入し,圧力
と体積Vを図のA→B→C→Aの順序でゆっくり変化さ3po
せた。C→A は温度 T の等温変化であり,その際気体は
外部へ熱量 Q を放出した。 次の量を, To, Q, および, 気
Po
体定数Rのうち必要なものを用いて表せ。また,問いに答 O
第8章 気体分子の運動 気体の状態変化 69
えよ。
(1) 状態 B の温度TB
(2) A→B の過程で気体が外部にした仕事 WAB と気体が吸収した熱量 QAB
(3) B→Cの過程で気体が外部にした仕事 WBC と気体が吸収した熱量QBc
(4) C→Aの過程で気体が外部にした仕事 WCA
問 Q=1.1RT のとき, 1サイクルの熱効率eを有効数字2桁で求めよ。
3poVo=RT
A→Bは定圧変化である。 気体がし
た仕事は 「W'= AV 」 より
WAB=3pox (3Vo-Vo)=6poVo
①式を用いて WAB=2RT
このときの内部エネルギーの変化
4UNBは「AU = 12/23nRAT」より
3
4UAB = 1 ×1×R(3To-To)=3RT
熱力学第一法則 「4U = Q+W」 と
「W=-W'」 より 「Q=4U+W'」
(W' : 気体がした仕事) なので
QAB=3RT+2RT=5RT。
(3) B→Cは定積変化なので、気体が外部
にした仕事 WBc=0 である。 このと
きの内部エネルギーの変化⊿UBCは
4UBc=1×1×R(T-3T)
A
=-3RTo
Vo
指針 気体がした仕事を W' とすると, 熱力学第一法則 「4U = Q+W」と「W=-W'」 より
「Q=4U + W'」 となる。 各過程での Q, 4U, W' を表にまとめながら考えるとよい。 熱
効率を求めるとき, 「気体がした仕事」 は正の仕事・負の仕事をあわせた正味の仕事を考え
る。一方, 「気体が吸収した熱量」 には、気体が放出した熱量を含めない。
「Q=4U+W'」 より
解答 (1) 状態AとBとでシャルルの法則を用
Vo_3Vo
To
いると
TB
よってTB=3To
(2) Aでの状態方程式より
3poxVo=1×RT。
►► 130
3VoV
QBc=-3RT+0=-3RT。
[注 QBc<0であるから, 実際には気体
は熱を放出したことがわかる。
(4) C→A は等温変化なので, 内部エネルギ
の変化 4UcA=0 である。 また,問題
文より,気体が放出した熱量はQである
(吸収した熱量はQo)。 「Q=4U + W'」
より
-Qo=0+Wc よって WcA=Qo
以上の結果を下の表にまとめる。
-3RT-3RTo
4U + W'
A→B (定圧)
5RTo 3RT 2RTo
BC (定積)
0
- Qo
0
-Qo
CA ( 等温)
一周
2RTo-Qo 0 |2RT-Qo
問 気体がした正味の仕事 W' は
W'=WAB+WBc+WcA=2RT-Qo
気体が吸収した熱量 Qin は Qin=5RT
[注 放出した熱量を含めてはいけない。
W' 2RTo-Qo
Qin 5RT。
よってe=
ここで, Qo=1.1RT を代入すると
2RT-1.1RT 0.9
e= 5RTo
-=0.18
5