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電磁気
38 電磁誘導
十分に長い直線導線Lがy軸上
にあり, 1辺の長さ2aの正方形コ
イル ABCD が 辺ABをx軸上に,
辺BC を軸に平行にして置かれて
いる。 コイルの電気抵抗は R で, コ
イルの位置は辺ABの中点Mの座
標xで表す。 装置は真空中に置かれ,
真空の透磁率 μlo とする。 コイルの
自己誘導は無視する。
Foll
導線L に+yの向きに一定電流Iを流し,コイルを一定の速さ
で,xy平面上,x軸に沿って導線から遠ざける。コイルがx(a)の
位置を通過するときについて,
(1) L による,点A,B での磁場の強さ H1, H2 をそれぞれ求めよ。
(2) コイル全体での誘導起電力の向き (時計回りか反時計回りか)と大
きさVを次の2つの方法で求めよ。
Level (1)★★ (2) (a)★ (b)★ (3)★
Point & Hint
電磁誘導は一般にはファラデーの電磁誘導
の法則に従っている
0
(2) (b) 微小時間⊿tの間の磁束の変化⊿のを調
べる。 といっても, コイルを貫く磁束のはコイ
ル内の磁場が一様ではないので(積分しない限
り) 計算できない。 そこで, 変化した部分だけ
に目を向ける。 近似の見方も必要。
L
D
A
-2a-
M
C
B
(a) 1つ1つの辺に生じる誘導起電力を調べる。
(b) コイルを貫く磁束の変化を調べる。
(3) x=2aのとき, コイルに加えている外力の向きと大きさを求め
よ。
(九州大+お茶の水女子大)
-V
Base 電磁誘導の法則
磁束① = BS
V=-N40
4t
一面積S
N巻きコイル
※マイナスは磁束の変化を
妨げる向きに誘導起電力
が生じることを表す。
LECTURE
(1) A,Bでの磁場は
?
I
H₁ = 2π (x− a)
2π (x+a)
(2a) 直線電流Ⅰのつくる磁場は紙面の裏へ
の向きとなり、磁力線を切って進む AD と
BCで誘導起電力 V1, V2が図の向きに発生
している。公式V=vBlより
V₁ = vμoH₁.2a
V2= vμoH22a
2つの起電力が逆向きとなっていることと, H>Hより全体の起電
力は時計回りで
(b)微小時間tの間にコイルはx=v4t だ
け動き,右の赤色部分で磁束を402 増やし、
灰色部分で4の減らす。 そこで,磁束の変化
40は
H2=
40= 40₂ 40₁
=μoH22a4xμoHi・2a4x
2μo lav
π (x²-a²) At
符号マイナスは磁束の減少を表している
(H) > H2 より定性的にも明らか)。 よっ
て, 誘導起電力の向きは、父の向きの磁場
を生じるようにコイルに電流を流す向きで
あり、時計回りと決まる。
40=2μoIav
V =
π (x² - a²)
4t
V=V1-V2=2μova (H1-H2)= 2μo Iav
π (x²-a²)
(3) x=2a より V=
2μo Iv
であり、誘導電流
3π
えは時計回りに流れ, オームの法則より
i =
R
38 電磁誘導
2μo Iv
3πR
V₁
H₁ v
A
-x+a
H₁
4x
F
D
123
H 2 V
i
V2
A
⊿xは微小なので
③ 磁場はHやHで
一定としてよい。
B
H2
4x
C
i F2
B
Iとの向きから,
③ F は引力, F2は反
発力と決めてもよい。