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熱
49 熱力学
断熱材で作られた円筒形の容器に〔mol]の
単原子分子の理想気体が入っていて、圧力と温
TOK] は大気のそれと等しい。 ピストンMの
質量は 〔kg] で滑らかに動く。はじめMはス
トッパーAで止まっており、容器の底からの高
さはLQm] である。 気体定数をR [J/mol・K],
重力加速度(m/s²] とする。
(1) ヒーターのスイッチを入れて気体を加熱し
たところ, 温度が T1 [K] になったときM
が上に動き始めた。温度 T と気体に加えた熱量 Q1 〔J〕 を求めよ。
(2) Mはゆっくり上昇を続け高さが2.2L[m]となった。このとき
の温度 T [K] を求めよ。 また,Mが動き始めてからこのときまで
に気体がした仕事 W 〔J〕 と気体に加えた熱量 Q2 〔J〕 を求めよ。
ここでヒーターのスイッチを切った。 そして,外力を加えてMを
ゆっくりと押し込み、元の高さL 〔m〕まで戻した。 このときの気体
の温度 T3 〔K〕 を求めよ。 また, このとき気体がされた仕事 W 〔J〕
を求めよ。 ただし、この断熱変化の過程では圧力と体積Vの間に
(京都工繊大)
はPV =一定の関係がある。
Base
M
ヒーター
10000
Cv=
Level (1), (2)★ (3)★
Point & Hint
(1) 前後の状態方程式と、ピストンが
動き始めるときの力のつり合いを押さ
える。 大気圧をPo, ピストンの面積をS
とでもおくとよいが,これらの文字は
答えには用いられない。 (2) なめらかに動くピストンが自由になっていると
定圧変化が起こる。 定圧変化では, 気体がする仕事 = PAVとなる。 (3) 断
熱変化では,PV=一定が成り立つ。 γは比熱比とよばれ, y=Cp/Cv ここで
は単原子なので,y= =1/12/2/12/2R=7/3/3 となっている。あとは第1法則の問題。
5
h=
単原子分子気体
nRT
U=
3
5
= 2R CP=R
2
※ この3式は「単原子」のとき
LECTURE
初めの気体の状態方程式は
ピストンが動き始めるときの圧力をPとすると
PSL = nRT …..……②
(1)
そして,このときのピストンのつり合いより
PS = Pos+Mg...... ③
T₁=To+
_MgL
nR4
①〜③ より
定積変化だから
より
(2
そして
(2) Pi での定圧変化が起こる。 状態方程式より
P₁S³/L=nRT₂
また,
Q=nCvAT=
PSL = nRTo ...... ①
T₂ = ³2 T₁ = 3 (To+ MgL
nR
W2 = Pi4V = Pi
P.(S. 3/L-SL)
Q2=nCpAT = n
状態方程式より
5
2
第1法則より
より
49 熱力学
nR(T₁-To) = MgL
2
2
T3=
③
-T₁
(3) 高さまで押し込んだときの圧力をP3とすると
P.(S-L)* = P.(SL)
P3=
3
PS
を用いて. Ws =
Mg
AU』を調べ ( 4U2=2R(T-T)) 第1法則 4U2 = Q2+(-Wa) を用いて
Qを求めることもできるが、まわりくどい。
=1/12P.SL=1/12nRT=1/12(nRT,+MgL)
②を用いた
..
T = n. 52 R (T₂ - T₁) = (nRT. + MgL)
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ピストンが動いて
も上図の状況は変
P.S
わらない。 つまり,
圧力 P1 は一定
'P・SL = nRT3 ...... ⑤
- (3) ³T = (3) (T. + MgL)
'T
nR
2nR (T₁-T₂) = 0 + W₁
P1
= (2)(2)-1) (nRT. + MgL)