ノートテキスト

ページ1:

世有伯楽然後有千里馬
世に宿渕有りて、然る後に千里の馬有り。
永世の中に馬の鑑定の名人かいて、そしてはじめて一日に千里も走る名馬が見いだされる。
「レドモ
伯楽不常有
千里の馬は常
ども伯楽は常には有らず。
千里の馬はいつも存在している。しかし伯楽は
ない。
5ぺん
有名馬祇辱於
隸人之手駅
(税)
故に名馬
制だ奴隷人の手に辱められ、増歴の間に肝死して、
誰だから名馬が存在
もただむなしく使用人たちの手で粗末に扱 馬小屋の中で
は首を並べて死んでいき
不以千里称也。
(稍)
千里を以って称せられざるなり。 千里の馬としてほめたたえられないで
終わってしまう。
あるイハクスぞく
* 馬之千里者、一食或尽粟一石
ぞく
馬の千里なる者は、一食に或いは栗一石を尽くす
馬の中で一日に千里を走る名は、一度の食事にある時は穀物一石を食べ尽く

ページ2:

ところが)
ル
“食馬者、不知其能千里而食也。
馬を食心者は其の能の千里なると知りて食はざるなり。
馬を飼っている人は、その馬に千里を走る能力があることを知って飼っているわけではない。
レバ
ラ
是馬也雖有千里之能食不飽力不足、才美不外見
1
是の馬や、千里の能有りと雖も、 飽かごれば力足らず、才の美少
はれず。
この馬は、一日に千里を走る 力を持っているのだが、
食器が不十分であれば力を発揮できないし、立派な才能は外には現れない。
シカラント
カラ
且欲与常馬等か
不可得。
日常の馬と等しからんと
からんと欲す するも 得べからず。
そのうえ 並の馬と
x入
安求其能千里也。反語
ははたらきをしようと思ってもそれもできない
ナルフや
安くんぞ共の能の千里なるを求めんや、
どうしてその馬に千里を走る能力を求めることができょうか。いや、できない。

ページ3:

クサシ
☆フニ
ムル
10さい
←
「第之下」以其道食之不能」尽其材
考えを疑うつに其の道を以ってせず。えを鈴心に其の材を尽Vさしむる能はず。
バシバシ叩かない)
名馬に鞭を使うのにそれにふさわしい方法を用いない名馬を飼うのにその才能を発揮させることも
Ex
鳴之而不能通其意。
第面之
えに鳴けと其の意に通ずる能はず。
飼い主に鳴いて訴えても、その心を理解することはできない。
下無馬
えに臨みて曰はく、「天下に馬無し」と。
できない。
鞭を手にして名馬に向かって言う。 この世に優れた馬がいないな
馬 其真不知馬也。
其れに鳥無き
其れ真に馬を知らごろか。
あ。
ああ一休本当に優れた馬がいないのそれとも本当に名馬を見分けることができない

ページ4:

大意
主題
伯楽がいてはじめて名馬が見いだされる。
最近は名馬(有能な人材)を見抜く伯楽(すぐれた為政者)が
いないために、名馬はむなしく埋もれてしまっている。
有能な人物を見抜く
すぐれた為政者が
いないことへの嘆き。
伯楽"すぐれた人材を見いだしその能力を発揮できるように待遇する
名君(賢い君主)、すぐれた為政者、すぐれた宰相
食馬市愚かな君主、無能な為政者、無能な宰相
千里馬=名馬=すぐれた才能の持ち主
糟屋之間=低い地
栗の給料・休禄

ページ5:

【読み方】
はくらく
韓食
しか
のち
せんり
うまあ
せんり
うま
世に伯楽有りて、然る後に千里の馬有り。千里の馬は常に有
しか
はくらく つね
いばあ
り。耐れども伯楽は常には有らず。故に名馬有りと雖も、
はつかし
きうき
かん
べんし
せんり
た
奴隷人の手に辱められ、糟櫃の間に厳死して、千里を以つて称
せられざるなり。
あ
うま
せんり
もの
いじゅくある
ぞくいく
つ
うま
やしな
馬の千里なる者は、 食に或いは栗一石を尽く 馬を食ら
もの
そ のう せんり
し
「やしな
うま
者は、其の能の千里なるを知りて食はざるなり。是の馬や、千
のう
里の能有り
雖も、食飽かざれば、力足らず、才の美 外
あら
か
つね うま ひと
せん
そ
ぼう
に見はれず。且つ常の馬と等しからんと欲するも、得べからず。
のう せんり
もと
くんぞ其の能の千里なるを求めんや。
あた
をうつに其の道を以てせず。左を食いに其のを尽く
これ な
つう
あた
さしむる能はず。之に鳴けども其の意に通ずる能はず。
りて之に臨みて印はく、「天下に馬無し。」と。鳴呼、其れ真
うま
馬無きか、其れ真に馬を知らざるか。
むち

ページ6:

第三段
[要点の整理」
次の語の読み(送り仮名を含む)と意味を調べよ。
教科書 50~5
雑説
語句・法
1而れど、
しかし
次の空に話を入れて、内容を整理せよ。
2だ
ただむなしく
てだけだ
楽の必要性
3食ふ
名人がいてこそ、一日に千聖 〕を走るような名馬
第一段
初め~
[やしなこ [有する
(お(2)〕[飽味するほど食べる ]
第一五〇3
が見いだされる。 しかし、馬の鑑定の名人はいつもいるとは限らな
い。才能を見いだされなかった名馬は、
4飽く
人によって
末に救われ、 名馬としてほめたたえられることはない。
][
あぁ(動詞)
名馬にはふさわしい待遇が必要。
一家貧不
次の文を書き下し文に改めよ。
油
名馬は、一食に穀物を 石ほども食べることがある。
馬を飼う者 その馬が名であることを知らない。
五〇4~
家貧しくして
五〇7
それほどの食を与えない。
常には油を得ず。
食が不十分
力
並の
が出ず、才能が発揮されない。
と同じ働きさえできない。
なんだ
2女忘会 稽之恥邪。
の心を
伯楽〕のいないことの嘆き。
いたるか。
馬を飼う者
3但人語
五〇.8~
その馬が名馬であることを知らない。
馬をむち打つとき→名馬にふさわしい方法でむち打たない。
馬を飼うとき→名馬の才能を発揮させる飼い方をしない。
だ人語の響くと聞
終わり
くとき→名馬の心が理解できない。
馬を飼う者は、「名馬がいない。」と嘆くが、
当
4匈奴不能
に名馬がい
ないわけではない。
隠すこと能はず。

ページ7:

内容の
ア
[世有 伯楽 然後有千里馬」 (1) とは、どういうことか。 次から
選べ。
その後に千里の馬が存在しなければ意味がない。
がいても、
イ 千里の馬が登場するずっと前から、 伯楽はすでに存在していた。
ウ伯楽がいなければ、 千里の馬は存在しないことになる。
エ並の馬ほどの食糧を得ることはない。
なぜ「不可」なのか。理由を三十字以内で書け。
十分に食べないと形の
体に生ま
2
エ伯楽が登場する前から、 伯楽はすでに存在していた。
「伯楽不常「有」(-2)を「伯楽」有。」とすると、どのような意味
になるか。
③ 「鳴之」(同)の「之」はそれ
① 「之」 (28)、②「食」之」(同)、
ぞれ何をさすか。 本文中から抜き出せ。 (訓点不要。)
名
月1
伯楽はいつもいない。
以千里」称。」 (3) とは、どういうことか。 次から選べ。
ア 千里を走るという目標を果たさないで終わる。
イ 千里を走る自信を持てないままで終わる。
四 「嗚呼、」 (五一・3) は、誰の嘆きの言葉か。
①「伯楽」 (1) 「千里馬」 (1) 「奴隷人」(同・2)、④「菜」
(同4) はそれぞれ何をたとえているか。 次から選べ。
ウ 千里のではないとひどくけなされてしまう。
千里の馬としてほめたたえられないで終わる。
無能な人材
名誉 ウ有能な人材
オ すぐれた為政者
無能な為政者
四 「一石」 (-4)は、馬の一回の食事の量としてはどうなのか。 次から
選べ。
ア多い イ普通 ウ 少ない エ 非常に少ない。
五「才美」(5・6)と同じ意味で使われている語句を、本文中から五字以内
抜き出せ。 (罰点不要。)
「不可得」(1)について、 次の問いに答えよ。
どういうことか。 次から選べ。
ア 千里の馬の能力を発揮することができない。
イ並の馬ほどの働きをすることができない。
ウ 千里の馬ほどの食を得ることはない。
この文章について、 次の問いに答えよ。
筆者の主張を表している一文を本文中から抜き出せ。 返り点・送
名不要)
阪南千里馬。
この文章が書かれたのは、どのような時代か。 次から選べ。
ア 封建制度が崩壊して下剋上が行われた時代。
イ 戦乱が繰り返され、多くの思想家が現れた時代。
ウ派閥の力やわいろによって地位が決まる時代。
官僚が力を持ちを動かす時代。

ページ8:

Jok
(
花山天皇
たちの謎による
花山寺で刺
一条天皇即位のため
大猿
ジャンル
成立
歴史物語
平安期
人道 出家 仏門に入ること
有明の月
福島氏の政治屋良(道の
夜が明けても空に残っている月、
二十二
神・宝剣 中鏡で三種の神器
一九〇歳 大宅世
自ら見聞きした歴史
一八〇歳 夏山茂樹
裏面史や相談を補足
批判や
かし
係助詞+押しの終助詞「し」
欒樹の
そうこうごうのおいし
・紀伝椿(史記と同じ)
美への偏重がない
・複数の視点
・極力をめぐ、1の政治的人物像を
巧みに描き出している。
二十八日
)
純情でから花←笑略を成功させようと
「露になる道
美容が摂政になるため!!
批評性
花山の悲運への同情
藤原氏のへの非難
御
身み
八月十八日
ふむ家 下りはしますける夜
“小戸 仰せられ待ちす 赤る
帰りからす 出家は弱
家は朗 破り残す

ページ9:

Date
「あさましくさぶらひし」
(1)現代語訳意外で驚きあきれました
(2)文法的に あさましく(形「あさまし」用)
さぶらひ(丁・補「さぶらふ」用)
(過去の助動詞「き」体)
三「みそかに」の意味と品詞
こっそりと(ひそかに)、形動
四(1)花山寺におはしまして、
「行く」尊
「あり」尊
(3) おりおはしましける夜は、
HJ
五
(2)そののち二十二年おはしましき。
「あはれなること」は何に対してか。
「われをばるなりけり」と帝が泣かれたことに対して。
七、「頭証にこそありけれ。」
(2)「けれ」の意味詠嘆
ハ「いかがすべからむ。」
(1)「心から」の意味 適当・
(2)「む」〃
九「さりとて」が指す部分
顕証にこそありけれ。
十「わたし奉り給ひてければ」の「て」
完了の助動詞「つ」用
十一、「しか申させ給ひけるとぞ」
(1)「しか」の内容(句読点除く)
さりとて~ぬるには
(2)「ぞ」の後に続く語 言う(聞く)
1.月の顔にむら雲がかかってるのを見て「わが出家は成就するなりけり。」と
帝が言った理由
出家をためらう理由がなくなったから。(月の光が明るくて姿があらわになるという理由がなくなった
十三「弘願殿の~御大の、日ごろ破り残して~御覧じけるを思し召しいでて」
(1)御文「の」の用法 同格
(2)御覧じけるの下に補える体言
御文
(3)「日ごろ」の被修飾語を一文節で御覧じけるを
十四、「ただ今過ぎば」の過ぎ」 上二・「過ぐ」
十五、「まうで来なむ。」の「な」
「強意・助「ぬ」未

ページ10:

要点の
教科書P7~PR
●次の空に適語を入れて、内容を整理せよ。
第一段 初め~
七一.6
紹介
大鏡(花山天皇の出家)
花山天皇は冷泉天皇の第一皇子である。十
主人公の 七歳で即位したが、寛和二年六月二十二日
の夜、花山寺で出家なさった。在位は二年
であり、出家後二十二年間存命であった。
文法
[次の語句の意味を調べよ。
あさまし 【炊きあされる
2みそかなりこっそりとしていろ
3顕証なり [あらはではっきりしている
4さりとてだからと言って、
1類証にこそありけれ。 (8)
まばゆし気が引ける
)
髪下ろす [
すかす
(
次の太字の助動詞の意味は、あとのアイのいずれ
にあたるか。 それぞれ選べ。
〔1〕
宮中を出
七一.7~
るときの
13
餃子の
出家の夜、「中を抜け出す天皇は、[有
の月がとても明るいのでためらった。皇位継
のしるしである神宝剣をすでに南店
のほうに渡していた〔
〕は、困ったことに
しか申させ給ひけるとぞ。 (113)
(+)
]
太子
わが出家は成就するなりけり。 (1)
そら泣きし給ひけるは。 (1)
(発)
なると思って、天皇をせきたてた。
5我をば、 はかるなりけり。 (1)
(-)
第二段
宮中を出 月がかげり、出家)の恋成就する
6とてこそ、泣かせ給ひけれ。 (芝・2)
レア 過去 イ詠嘆
出家事 七一・14〜
#F
七二・12
るときの ことだと歩き出したとき、天皇は大切にしていた弘
様子② 徽殿の女御の「手紙」を取りに戻ろうとした。
三「おのづからさはりも出でまうで来なむ。」(10)を
単語に分けて、文法的に説明せよ。
(展開)
道兼は「うそ泣)]をしてこれを制止した。
【花山寺〕に到着して、天皇が〔
〕し
出でよう
to
天皇の出
七二~
たあとに、道が父【
家の真相
家〕に出家前の姿を見
「「む」
終わり
せ
を報告して戻ると申したので、天
(結末)
皇はそこで初めて道にだまされたことを知った。

ページ11:

内容の
「あはれなることは、下りおはしましける夜は、藤の上
の小戸
より出でさせ給ひけるに、」 (7) について、 次の問いに答えよ。
「あはれなること」とあるが、本文中のどのようなことに対しての語
手の心情か。 次から選べ。
「帰り入らせ給はむことは、あるまじくおぼして、」 (1) とは、どの
ような意味か。 次から選べ。
ア
なさるようなことがあってはならないとお思いになって
イ還
なさることなどはないとご判断なさって
えよ。
B
ア「神宝剣わたり給ひぬる」ことに対して。
イ 「わが出家は成就するなりけり。」の言葉に対して
ウ「しばし」と言って、 故弘徽殿の女御の手紙を取りに帰ろうとし
たことに対して。
エ「我をば、はかなりけり。」と泣かれたことに対して。〔1〕
2「下りはしましける」とあるが、「下り」とはどういうことか。 次
から選べ。
ア 下野 イ 退位 ウ 出家 エ 下向
3 「下りおはしましける夜」とは、何日の夜のことか。
ア 三日 イ 十日 ウ 二十二日
二十八日
4「壺の上の局の小戸より出でさせ給ひける」とあるが、そのよう
な場所から出たのは何のためか。 十五字以内で説明せよ。
につかないようにするため。
「粟田のさわがし申し給ひけるは、」 (10)について、 次の問いに答
1粟田のどのような心情がうかがわれるか。 次から選べ。
ア邦題 イ
ウ
エ憤怒
また、これと同じように、帝の言動によって粟田が意図的にとっ
た行為がほかにも見られる。 その行為を、本文中から十字以内で抜
還なさりたいということは考えがたかろうと推察して
エ逆なさるつもりであるというようなことは当然あるはずがない
と予測しなさって
四しか申させ給ひける」(B)とあるが、「しか」は何をさすか。 その指
内容を本文中から抜き出し、 初めと終わりの四字で答えよ(句読点
は含まない)。
ぬる
[い]
五「いかに、かくはおぼしめしならせおはしましぬるぞ。」 (8) につい
て、次の問いに答えよ。
1「かくはおぼしめし」とあるが、「かく」 は何をさすか。 その指示内
容を、二十五字以内で説明せよ。
うと
の女
°
また、帝のどのような態度について申したものか。 次から選べ。
ア 強情 イ慎重 ウエ気弱
「御髪下ろさせ給ひてのちにぞ、」 (1) とあるが、帝が出家なさって
から初めて、粟田が「まかり出でて、......」 以下のことを言い出し
たのはどのような意図によるものか。三十字以内で説明せよ。

ページ12:

Date
なかなか返事して、
なかなかに寝も寝られず。
なかなかに問ふにつらさを思ひ出でつる。
さすがに昨日今日とは
さすがに貴人の子なれば,
かたみに言いかたらふ人,
うたてぞ見ゆる。
うたて思さるれば、
うたてけれ。
なべて心やはらかに、
なべてならで、
わざとめでたき・・・
わざとの御学問はさるものにて、
わざとならぬ匂ひ
そこぼくの捧げ物
「中途半端に返事をして
かえって眠ることもできない。
尋ねるのでかえってつらさを..
そうはいってもやはり昨日今日とは
なんといってもやはり高貴な方の子であるの
互いに語り合っている人が、
いやな感じに見える。
異様に怪お思いになったので、
嘆かわしい。
一般に心が穏やかで、
並ひととおりでなく、
特に立派な
正式な御間は言う間でもなく、
ことさらではない(さりげない香の匂い
たくさんのお供え物
たくさんあるその中でも、
ここらあるが中にも、
そこらの人のほめ感じて、
たくさんの人がほめ感心して、
ここら悲しき・・
たいそう悲しい・・・
え取らじを(「じ」は打
)
えならぬ
取ることはできないだろうに、
言いようもなくすばらしい
えもいはず
な起こし奉りそ。
さなせそ。
大方あへるものなし。
おほかた、振る舞ひて・・
さらにまだ見る骨のさまなり。
世に心得ぬけしきにて・・・
世にすさまじきものにして、
たえて桜のなかりせば、
ゆめゆめ粗略を存じまじう候ふ。
ゆめこの雪落とすな。
つやつや物も見えず。
おさおさおとなまじけれ。
よも鳥に取られじ。
なんともいえないほど
起こし申し上げるな。
そんなことはしてはならない。
まったく会った者はいない。
だいたい、わざとらしく振る舞って
まったくまだ見たこともない常の様子である。
まったく訳が分からない様子で、
実におもしろくないものとして、
まったく桜がなかったならば、
決していい加減に考えるつもりはありません。
決してこの雪を落とすな。
まったく何も見えない。
ほとんど劣らないだろう。
まさか鳥に取られることもないだろう。
あなかにあなかし、人に・・・
決して決して、他人に・・

ページ13:

あばれ、いかにし給はむずらむ。
いかがありけむ。その男住まずなりにけり。
いかがつらしと思はざるべき
紅葉はいかにをかしからむ。
など答へもせぬ。
などから暑さに
な隠すらむ桜花」
かからでよき日もあらむものをなにしに詣でつらむ。
うぐいすばかりそいつしか音したるを
いつしか梅咲かなむ。
初から人の上などうち言そしりたるに
おのづから歌などや入ると・・・
なほ同じところにあり。
なほ心憂きものは、
なほ入り給はず。
な奥の方に生ひ出でたる人、
散ればこそいとど桜はめでたけれ
いとどしき朝霧に
よしとにはあらねど にと思ひて
ありしよりけに恋しくのみ
かくうつくしう...
かかる目見むとは・・・
さおぼす・・・
さる好ける物思ひを・・・
しか見参り給ひて、
しかるに,
と言ひかく言い、
とかく慰め聞こえ給ふ
やがて起きもあがらで、
聞くよりやがて
やうやう白くなりゆく
やや春深く
仰せられければすなはち
奥の方よりやら覗いたるも、
どのようになさるのだろう。
どうしたのか、その男は女の所に・・
どうして薄情だと思わないだろうか。
紅葉はどんなにか美しいことか。
どうして返事もしないのか。
どうしてこんなに暑いのに・・・
春霞はどうして桜の花を隠すのか。
こんな日でなくて良い日もあるだろうにどうしてしまったのだろうか。
ウグイスだけがいつの間にか来て鳴いたのを
できるだけ早く梅が咲いてほしい。
たまたまある人の悪口を言っていたときに
もしかして歌などが楽に選ばれるかと…
依然として同じ所にいる。
なんといってもやはりとてもいやなものは、
それでもやはり部屋の中にお入りにならない。
さらに奥の方で育った人、
散るからこそますます 桜はすばらしい。
いっそう甚だしい朝露に
良いというほどではないが、本当にそのとおりだと思って
以前よりますますひたすら恋しく
このように美しくて・・・
このような目に遭うだろうとは・・・
そのようにお思いになる・・・
そのような一途な恋の苦悩を・・・・
そのようにご推察申し上げなさって
そうであるのに
ああ言ったりこう言ったり、
あれこれとお慰め申し上げなさる。
そのまま起きあがらないで、
開くやいなやすぐに
おっしゃったところすぐに
しだいに白くなりつつある
しだいに春が深まり
奥の方からそっと覗いているのも、

ページ14:

次の帝花山院の天皇と申しき。
次の市は花山院の天皇と申し上げました。
冷泉院の第一子でした。
冷泉院の第一皇子なり。
御母、贈后宮優子と中す。
お母上は皇后宮懐子と申し上げます。
永観二年八月二十八日、値につかせ続、御年十七
寛和二年丙戌六月二十二日の夜。
あさましく候しことは、
正
人にも知らせさせ給はて、みそかに
四
花山寺におはしまして、
蘇用口克
御出家入道せさせ給へりしころ
十九。
世を保たせ給ふこと二年
そののち、二十二年お
ましき。
をリ
永観二年八月二十八日、
位におつきになりましたのは御年十七でした。
寛和二年丙戌六月二十二日の夜、
驚きあきれる思いをいたしましたのは、
誰にもお知らせにならずに、
こっそりと
花山寺にいらっしゃって
御出家入
その
御年十九でした。
してしまわれたのは、
ご存位なさっていたのは二年でした。
御出家の)後、二十二年間
ご存命でした。

ページ15:

あはれなることは、F7はしましける夜は、
藤壺の上の局の小アより出でさせひりるに、
有明の月のいみじく明かかりければ、
「顕証にこそあ
4141
仰せられけると、
In 12.0
BR
通
いかがすべからむ。と
終
「さりとて、とまらせ給ふべきやう傍らす。
神霊・宝剣わたり給ひめるには。」と、
サ
栗田殿のさわがし申し給ひけるは、まだ帝
藤原道兼
(道長の兄家の息子)
しみじみとした思いになることは、
帝がご退位なさった夜
藤壺の上の御局の小戸から
お出ましになったところ
有明の月がたいそう明るく
出ていたので
「あまりに明るいので人目につきそうだなぁ。
どうしたら良いだろうか。」と、
仰ったのですが、
「だからといって、御出家を中止なさるわけには
いきません。
神聖・宝剣もっておしまいになっているからには、と
春宮
出でさせおはしまさむりける先に、手づから取り
春宮の御方にわたし帰り給ひてければ。
帰り入らせ給はむことは、あるおじくおぼして、
しか申させ給ひけるとぞ。
GBS
粟田殿がせきたて申し上げなさいました。
というのは、まだ帝が
お出ましにならなかった前に(粟田殿が)
自ら取って、
春宮の御方にし申し上げてしまわれたのは、
(天白が宮中に
お帰りになるようなことは、あってはならないことだと
(粟田殿がお思いになって、
そのように申し上げなさったということです。

ページ16:

さやけき影をまばゆくおぼしめしつるほどに、
月の顔にむら雲のかかりて、少し暗がりゆきければ。
8441
「わが家は成就するなりける」と仰せられて、
歩み出でさせ給ふほどに、弘像殿女御の御文の
四
日ごろ破り残して御身を放たす御覧じけるを
おぼしめし出でて「しばし」とで、
取りに入りおはしましけるほどそかし、
ラ
田の「いかに、かくはおぼしめしならせ おはしましぬるぞ。
ただ今過ぎば、おのづからさはりも出でほうで素」
と、
歩きし給ひけるは
仰って、
明るい月光を気が引けることだと(天皇)
お思いになっている内に、
月の面にむら雲がかかって、
少し暗くなっていったので、
「私の出家は成就することだなぁ、と
歩き出されますうちに、
弘徽殿御のお手紙で
手紙を
日ごろお破り捨てにならずに
御身からさずに御覧になっている
お思い出しになって、
「ちょっと待って」と、
その時
取りにお入りになりました。
栗田が「どうして、このように未練がましく)
お思いになってしまわれるのか。
もし今の機会を逃したらおのずと
支障も出てまいりましょう。
と、うそ泣きなさったことでした。

留言

春々
春々

hj....ってなんのことでしょうか?(。_。*)
つまらないこと聞いて申し訳ありません...

shizuku☆
shizuku☆

雑説今やっているので活用させていただきます。
文字が濃くてとても見やすいですね!

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