292 芳香族エステル史入
分子式はC12H NO で示される芳香族エステルAは,不斉炭素原子を1個もつ。S
A をNaOH水溶液と加熱して加水分解後,反応液にジエチルエーテルを加えて抽出
するとエーテル層からは油状のBが得られ,水層を酸性にするとCが析出した。Cはベ
ンゼンのパラ二置換体で、次の2段階の反応でも合成される物質である。 まず, トルエ
コンに濃硫酸と濃硝酸の混合物を作用させてDとし、過マンガン酸カリウム水溶液と反応
させた後、酸性にするとCが得られる。 また, Cを触媒存在下で水素で接触還元すると
Eが得られた。 B 4.2gはNi触媒下の標準状態で1.12Lの水素と反応し,Fに変化した。
なお,B,Fともにメチル基をもたない第二級アルコールであった。 次の各問いに答えよ。
A+Naorag B
(1)化合物 A,E,Fの構造式を書け。乗
(2)反応液から化合物Eを分離する方法について説明せよ。き
ュー
HD
いた側鎖部分のC原子の酸化数の変化にまず注
目する。
C6H&CH3CH COO + 6e
酸化数 [-3]
005
よって, Cはp-ニトロ安息香酸である。
CHCHH)
酸化数 〔+3〕
am
混酸
KMnO.
ニトロ化
酸化
トルエン
NO₂
-ニトロトルエン (D)
COOK
COOH
H
酸化数が6増加しているので、 右辺に 6eを加
える。 酸性条件ではH+で両辺の電荷を合わせ
るが,本間のように塩基性条件ではOH-で両
辺の電荷を合わせるとよい。 すなわち左辺に
7OHを加える。
→CeH& COO +6e-
C6H&CH3 + 70H-
さらに、両辺の各原子の数を合わせるため, 右
辺に 5H2O を加えると, イオン反応式 (1式) が
完成する。
[別解] CeH&CH3 CeH Coo
① 〇原子の数をH2Oで合わせる。
C6H5CH3 + 2H2O→CsHsCOO-
(2)
H原子の数をH+で合わせる
C6H5CH3 + 2H2O
③電荷を e-で合わせる。
C6H5CH3 + 2H2O
C6H COO + 7H [+]
C6HsCOO- +7H+ + 6e-
液性の調節を行う。 塩基性条件の反応なの
で両辺に 70H を加えて, 右辺のH+を中和
しておく。
C6H5CH3 + 7OH→
C6H&COO + 5H2O + 6e
(3) 未反応の MnOī が生成物へ混入するのを避ける
には,適当な還元剤を加えてMnO を還元し, MnO2
という沈殿に変えてろ別する方法がとられる。
(4)(弱酸の塩)+(強酸)→(強酸の塩) + (弱酸)
の反応を利用して, 安息香酸(弱酸) を遊離させる。
C6HsCOOK + HCI → KCI + C6HsCOOH
(5)解答の反応式より, トルエン 0.040molから生
成する安息香酸も0.040molである。
3.3
収率=
×100≒68[%]
0.040×122
292 (1) A
CH MONTRE
4454 CH
CH-O-C NO2
CH2-CH2
NO2
NO₂
-ニトロ安息香酸 (C)
ニトロ基をもつCは,アミド結合はつくれない。
よって, Aはアミドではなくエステルである。
HエステルAの加水分解生成物のうち, エーテル層
に抽出されたBは中性物質のアルコール。 一方、水
層に抽出されたCは酸性物質のカルボン酸である。
また, Aの加水分解により2種類の生成物 B, C が
得られたので, A はエステル結合を1個もつモノエ
ステルである。
Bの分子式は, C12H1NO4+H2O-C7H&NO4 (C) =
C5HBOである。 分子式 CsHBOは飽和1価アルコール
の分子式 C6H12O に比べてHが4個少ないので、 不
飽和度は2である。
B1分子中に含む C=C結合の数をx [個] とすると,
(06894
4.2
84
1.12
Xx=
.. x=1
22.4 M
OM A
よって, BにはC=C結合1個に加えて, 環状構造
も1個存在する。 題意より, Bはメチル基(側鎖) を
もたない第二級アルコールであるから, 次の五員環
の構造をもつアルコールが考えられる。 (三員環・
四員環の構造をもつ第二級アルコールには、必ずメ
チル基が存在するので不適。)
E
F
CH2
O
(i)
()
CH
CH2
〃
CH
CH2
CH CH₂
CH2-CH
OH
CH-CH
OH
H₂N
C-OH15×10
CH2
CH2
CH2-CH-OH
CH2
CH2
(2)反応液に塩化ナトリウムなどの電解質を多量に
加えることにより,化合物Eをエーテル層に抽出す
ることができる。
CH2 CH2 →
CH = C
OH
CH2
CH2
CH2-C
O
解説 (1) A は NaOH水溶液で加水分解されるこ
と、および分子式中に N, O原子を含むことから,
エステルとアミドの両方の可能性がある。(この段
階ではどちらかは決められない。)
ベ
トルエンを混酸でニトロ化して得られるDは,
ンゼンのパラ二置換体なので, p-ニトロトルエン
である。これをKMnO 水溶液 (中性条件) で酸化す
ると、鎖の-CH〟が酸化されて-COOHになる。
エノール形 (不安定)
エステルAに不斉炭素原子が存在するが, Aの加
水分解生成物であるCに不斉炭素原子は存在しない
ので,Bに不斉炭素原子が存在するはずである。 よ
って, Bは (i) と決まる。
また,Aは,p-ニトロ安息香酸(C) の -COOHと
(五)のシクロペンテン-2-オールの-OH が脱水縮合
ケト形 (安定)
226 第5編 有機物質の性質
してできたエステルである。
Cを水素 H2で接触還元すると, -NO2 が還元され
て-NH2 となるので,p-アミノ安息香酸 (E) が得ら
れる。
NO, On
2
NH2
ノ基:
る。
起こ
ある
NI
H₂
(触媒)
500
COOH
H COOH
(2)
Bを水素で接触還元すると, C=C 結合に H2 が付
せる
加してFが生成する。
て,
CH2
空ロイニー CH2
H2
CH
CH2
CH2 CH2 =
11
*/
( 触媒)
CH2-CH-OH
CH-CH-OH
(2) p-アミノ安息香酸は,分子中に酸性のCOOH
と塩基性の-NH2 をもつ両性電解質である。 酸の水
溶液を加えると,-NH2NH3に変化し、水に
可溶となりエーテルには抽出できない。塩基の水溶
液を加えても, -COOH→COOに変化し, 水
に可溶となりエーテルには抽出できない。ケルモス
そこで,反応液に NaCI などの電解質を多量に加
えると,その塩析効果によって, p-アミノ安息香
酸の水への溶解度が小さくなり,エーテル層に抽出
することが可能となる。
ニト
ンゼ
を還
(3)
2個
存在
(i
OnM
H:
なるほど!理解しました!ありがとうございました!