生
解答番号
26
物
第1問 次の文章を読み、後の問い (問1~4) に答えよ。 (配点16)
大腸菌に外来の遺伝子を導入するためにはベクターとしてプラスミドを用い, プ
ラスミドに遺伝子を導入するためには、特定の塩基配列を認識して切断する制限酵
素と,DNA どうしを連結させる DNA リガーゼを用いる。 図1は大腸菌に組み込
む遺伝子 X と, ベクターとして利用するプラスミド, さらにDNAの切断に用い
る制限酵素 A~Cについて示したものである。 遺伝子 X とその前後の領域には制
限酵素A~C で, プラスミドには制限酵素AとCで切断できる部位があり. プ
ラスミドには大腸菌の生育を阻害する抗生物質アンピシリンを分解する酵素 Amp™
遺伝子,ラクトースを分解する酵素 lacZ遺伝子, および, それらの発現に関わる
プロモーターPとオペレーターがある。
(a
これらを用いて, 遺伝子Xの産物を得る一連の操作を行った。 なお, プラスミ
ドを取り込ませる大腸菌は, 酵素 lacZ遺伝子および酵素 Amp" 遺伝子をもたな
い大腸菌である。 また,これらの操作では,すべてのプラスミドに遺伝子Xが組
み込まれるわけではなく, 大腸菌にプラスミドが取り込まれる確率も極めて低く、
1個体の大腸菌に取り込まれるプラスミドは多くて1個と考えてよい。
操作1 (b) 特定の制限酵素を用いて遺伝子 X を含む DNA とプラスミドを切断し、
遺伝子 X を含む組換えプラスミドを作製した。
操作2 操作1で得られた組換えプラスミドを大腸菌に取り込ませた後、完全培地
で培養し、生じた多数のコロニーに含まれる大腸菌を別の培地に移植することで
複製した。
操作3 培地にアンピシリンおよびIPTG と X-gal を順に加えて培養を続けた。
(c)
なお, IPTG は lacZ遺伝子の発現に必要な化合物, X-gal は lacZ 遺伝子から合
成されるラクトース分解酵素によって青色に変化する物質である。
操作4
(d)
目的とする大腸菌から、遺伝子Xの産物であるタンパク質を得る。
転写される方向
ABC
Amp' 遺伝子
C
P
制限酵素 A
遺伝子 X
↑
A
制限酵素 B
プラスミド
は遺伝子Xが転写される方向, A. B. Cはそれぞれの制限酵素が
切断する場所.Pはプロモーター. Oはオペレーターを示す。
制限酵素 C
制限酵素 A~Cが認識する配列と切断の仕方
GAATTC
CTTAAG
ABC
-A
lacZ 遺伝子
CAATTG
GTTAAC
図 1
C GIA TIC G
GC「TAGC
B.C