70 有機化合物の構造決定 [2019 現在の大阪公立大 ]
次の文章を読み, 問いに答えよ。 ただし, 構造式中の不斉炭素原子には * を付し, 立体
異性体を区別せずに記せ。 (H=1.00,C=12.0, 0=16.0)
化合物 A と B は, 炭素, 水素, 酸素から構成される有機化合物である。 AとBの分子
式は異なるが, どちらの分子量も100である。 AとBはそれぞれ不斉炭素原子を1つも
つ。AとBについて, 以下の実験1~実験5を行った。
実験1AとBの混合物をジエチルエーテルに溶解したあと, 分液漏斗に移した。 そこ
に炭酸水素ナトリウム水溶液を加え,よく振り混ぜた。 エーテル層と水層を分離した
あと, エーテル層のジエチルエーテルを蒸発させると, B が得られた。
一方, 水層に希塩酸を加えて中和したあと, これをジエチルエーテルで抽出し, この
エーテル層を濃縮したところ, Aが得られた。
実験 2: A 5.0mg を完全燃焼させると, 水 3.6mg と二酸化炭素11.0mg が生成した。
実験3:触媒の存在下で, B に十分な量の水素を反応させたところ, 分子量がBより2
だけ増加した化合物 C が得られた。 なお, Cは不斉炭素原子を1つもっていた。
また,Bと臭素を反応させると, 臭素の色が消えた。
実験4:B を水酸化ナトリウム水溶液中でヨウ素と反応させると, 特有の臭いをもつ黄
色沈殿が得られた。
実験5:B に塩化水素を反応させると, マルコフニコフ則に従った化合物 D を主生成物
として生じた。 D は不斉炭素原子を2つもっていた
【補足】 アルケンにハロゲン化水素が付加する場合, 二重結合を形成する炭素原子のう
ち, 水素原子が多い方の炭素原子にハロゲン化水素の水素原子が結合した化合物が主
生成物となる経験則をマルコフニコフ則という。
(1) 下線部の操作を行うと, エーテル層は上層または下層のいずれになるかを答えよ。
水より比重が小さいから。
上層
(2)実験2の結果から, A の分子式を答えよ。
C5H8O2
(3)A の構造式を記せ。
H
c=c
·CH-CH
looH
(4) 実験 4 について,この反応の名称を答えよ。
ヨードホルム反応
(5) B の分子式を答えよ。
<6> B にはシス−トランス異性体は存在しない。 Bの構造式を記せ。
H
[CoHO]
H-
CH-CH-CH-CH₂
OH