副交感神経は,神経細胞内に含まれている物質を分泌することで、 特定の器官に
作用することが知られている。 カエルの副交感神経に含まれる物質Aと心臓の拍動の
関係を調べるため、物質Aに感度よく応答をするアサリの心臓を用いて,次の実験1
~実験3を行った。 なお、実験1~実験3で用いた生理的塩類溶液は,アサリの体液
と類似した塩類濃度の水溶液である。
実験 物質を含まない生理的塩類溶液中でのアサリの心臓の拍動数は、1分間
あたり25回であった。
実験2 カエルの心臓につながっている副交感神経1gを取り出し, 生理的塩類溶
液中ですりつぶし ろ過して100mLの抽出液をつくった。さらに、この抽
出液を使って100倍の希釈液をつくり、 その希釈液にアサリの心臓を浸した
ところ、 拍動数は1分間あたり25回であった。
実験3 カエルの心臓につながっている副交感神経1g を取り出し, すぐに 100℃
で1分間加熱した後に, 実験2と同様の手順で希釈液をつくり,その希釈液
にアサリの心臓を浸したところ, 拍動数は1分間あたり15回であった。
問3 実験1~ 実験3の結果に関連して, カエルの副交感神経には,物質Aの分解
に関わる物質Xも存在することがわかった。 このことについて、 次の(1)(2)に
答えよ。
(2)物質Aの濃度とアサリの心臓の拍動数の変化について調べるために,さまざ
まな濃度の物質Aの生理的塩類溶液にアサリの心臓を浸して拍動数を測定した
ところ、 図2のグラフが得られた。 実験1~実験3の結果と図2のグラフから,
カエルの副交感神経 1gに含まれる物質Aの重さは何ng と考えられるか。実
験2実験3が希釈液を用いていることを考慮し、最も適当な数値を,後の①
~⑥のうちから一つ選べ。 なお, 1ng は
IT
25
20
の15
心
アサリの心臓の拍動数(回/分)
拍 10
5
102 102
1
109gに相当する。
10 ng
10
0
103
物質Aの濃度 (ng/mL)
(注) 横軸は対数目盛り
図2
(1) 実験1~実験3の結果から導かれる, 物質Aと物質 Xの熱に対する応答に関
する考察として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。 9
① 100℃の加熱で物質 A, 物質 Xの作用はともに失われる。
② 100℃の加熱で, 物質Aの作用は失われるが,物質 Xの作用は失われない。
③ 100℃の加熱で, 物質Aの作用は失われないが,物質Xの作用は失われる。
100℃の加熱で,物質 A, 物質 X の作用はともに失われない。
1102
①④
②
4
2010
1
③
102
10
⑥ 200