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34 第1編 生命現象と物質
思考判断論述
129.細胞膜を介した物質輸送■次の文章を読み, 下の各問いに答えよ。
細胞内のさまざまなイオンの濃度は,細胞をとりまく細胞外液とは異なっている。た」7
えば,ほとんどの細胞には, 細胞膜にナトリウムポンプ (Na*-K*-ATP アーゼ)が存在」
ていて,エネルギー依存的にイオンの濃度を調節している。ヒトの赤血球は,核やミトコ
ンドリアなどの細胞小器官をもたないものの,その細胞膜にはナトリウムポンプが存在す
ることが知られている。このポンプの働きを調べるために,次のような実験を行った。
採取したヒトの赤血球を,まず, エネルギー源をまったく含まない生理的緩衝液に浮遊
させて。4℃に数日間放置したところ, 図の点線のように赤血球内のカリウムイオン(K)
濃度は減少し,一方で,ナトリウムイオン (Nat)濃度は増加した。 そこで,温度を37Cに
上げたところ,十数時間の間,赤血球内のK*濃度は増加し, 一方で, Na*濃度は減少した。
しかし,その後,赤血球内の K* 濃度や Na* 濃度は, それぞれ温度を上げる前とほぼ同
じ濃度にもどった。引き続いて,。
内の K* 濃度が増加した。
問1.下線部のの変化に関する記述として正
しいものを,次の(ア)~(土)からすべて選び,
記号で答えよ。また,答えを選んだ理由に
ついて,100字以内で説明せよ。
(ア) 細胞内のK+ 濃度は, 細胞外の K*濃
度より低くなるように変化する。
(イ)細胞内のK* 濃度は, 細胞外の K* 濃
度に近づくように変化する。
(ウ) 細胞内の Na* 濃度は, 細胞外の Na+
濃度に近づくように変化する。
(エ) 細胞内の Na* 濃度は, 細胞外の Na+
濃度より高くなるように変化する。
問2.下線部2に関して, なぜ赤血球内のイオン濃度が4℃のときとほぼ同じ濃度になっ
たのか,考えられる理由について, 120字以内で説明せよ。
問3.下線部3に関する記述として, 次の(ア)~(エ)のなかから正しいものを
生理的緩衝液にグルコースを添加したところ, 赤血球
3
採取直後
ハ
グルコース添加
0.9
内 0.8
0.7
0.6
0.5
0
12
24
37℃に温度を上げてからの時間 (時間)
36
48
で答えよ。
(ア) K* 濃度の増加に伴い,赤血
赤血球内 K濃度(相対値)