◇266. ペプチドのアミノ酸の配列〉 思考
次の文章を読んで, (1)~(4)に答えよ。 ペプチドは表1で示すアミノ酸の略号を用い
図1のように書き表すことにする。 このとき, ペプチド結合に含まれないアミノ基をも
つアミノ酸をN末端アミノ酸とよび、同様にペプチド結合に含まれないカルボキシ基を
もつアミノ酸をC末端アミノ酸とよぶことにする。
原子量 H=1.00,C=12.0, N = 14.0
16.0, S=32.0
N末端
C末端
N末端
C末端
HO
HO
H
| ||
H2N-C-C-N-C-C-N-C-COOH
HHH
←
Gly-Gly-Gly
HH
ペプチドの構造式
略号を用いた書き方
図 1
(総合問題) 157
同定されたアミノ酸
略号
表1
R
アスパラギン
Rの構造式
H₂N-C-COOH
Asn
システイン
-CH2-CO-NH2
Cys
グリシン
-CH2-SH
H
Gly)
-H
グルタミン
Gln
イソロイシン
-CH2-CH2-CO-NH2
Ile
ロイシン
Leu
-CH (CH 3 ) -CH2-CH3
-CH2-CH (CH)-CH
COOH
H2C-CH
プロリン
Pro
H2C、 CNH (分子全体)
C
Hz
チロシン
Tyr
-CH2OH
オキシトシンは脳下垂体から分泌されるペプチドホルモンで,分娩における子宮の収
歯や授乳を刺激する。 オキシトシンは9個のアミノ酸からなり, N末端システインの硫
黄原子と分子内に存在するシステインの硫黄原子が共有結合しているため環状構造をも
つ。 オキシトシンのアミノ酸配列を決定するために以下の実験を行った。
実験 1. あらかじめ硫黄原子どうしの結合を切断しておいたオキシトシン (還元オキシ
トシン) に 6mol/L 塩酸を加えて加熱し, ペプチド結合を完全に加水分解した。得ら
れた反応液を薄層クロマトグラフィーなどで分析した結果, 表1に示す8種類のアミ
ノ酸が同定された。
実験2.還元オキシトシンを6mol/L塩酸で短時間加熱し、 ペプチド結合を部分的に切
断した。得られた反応液から4つのジペプチド A, B, C, D, ならびに2つのトリペ
プチド E,F が得られた。これらの断片ペプチドA~Fについて N末端アミノ酸を
決定し、さらに以下の2つの反応を行った。その結果を表2に示す。
1:濃硝酸を加えて加熱後, アンモニア水を加えた。
反応2 : 水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱後, 酢酸鉛 (II) 水溶液を加えた。
表2
反応2
ペプチド
N末端アミノ酸
反応 1
A
Leu
+
BCDEF
Asn
+
+
Cys
Ile
Gln
+
+
Cys
各試薬を加えて, 顕著な変化がみられたときを +, 変化しなかったときを