76
第2章 量子力学の一般原理
子系の状態は混合状態とみなすことができ,(7.1)の P,としては統計力学の
Boltzmann 因子が採用される.
さて,任意の完全系{|m>} をとり,これを(7.1)の右辺に挿入すると,
Eくml¢,>P,<¢lAlm>
(F) = E P,(¢,IFlm><ml¢> =D <ml¢,>P,<¢»IE\»>
れ, m
=E<mloflm> = tr(pf)
(7.2)
m
と表わされる。ここでpは
6=E>P,(Onl
(7.3)
れ
で定義されるエルミート演算子であり,これを密度演算子という. (7.2)の
最後の記号trは英語の trace の略であり,それは任意の完全系でつくった行
列の対角和を意味する.すなわち, オブザーバブルFの混合状態に対する統
計的平均値《F》は, pとFの積を任意の完全系で表わした行列の対角和で与
えられる。
団
さて, 密度演算子pの固有値をdとし,その規格化された固有ベクトルを
1>とすると,ol=dlo>である。 このとき,
るよつ
くololo> = Eくl>P,<¢nlo> = EP,<¢nlo>1? = o°(7.4)
n
である。統計因子 P。 はつねに正であるから, (7.4)より p'20, すなわち密度
演算子の固有値は正または0である.(7.3)の行列要素
Pm,n= <mlóln> = X <ml¢>P<¢iln>
(7.5)
を密度行列という.一方, (7.3)は(7.5)を用いて
p= E |m><ml>PSulnn」