この実験の洗剤の役目は「細胞膜構造の破壊」です。細胞とそのまわりとの仕切り、また、細胞中の細胞核(DNA はこの中にある)などの構造はそのまわりとの仕切りのために、一種の油の膜があります。洗剤は水になじむ部分(親水性)と油になじむ部分(親油性)を一緒に持っている物質で、油を水に溶かします。この実験では洗剤で上記の細胞にある膜の構造を壊してDNAを外に出します。
DNA は機械的にも化学的にも、とても壊れやすい物質で、酸性やアルカリ性の液中では壊れる可能性がずっと大きくなります。そこで、抽出液は中性付近にしておくのが望ましいのです。
セッケンも洗剤の一種です。これは溶かすとアルカリ性になります。洗濯用の洗剤や掃除用の洗剤は分解性を高めるためアルカリ性のものが多く、これらを使うとDNA が壊れてよく取り出せない可能性が高いので、中性の物が多い食器用洗剤を使うことにしたのです。
参考:http://www.life-bio.or.jp/school/qa.html