高くな
の対立形質に対応する対立遺伝子Aとa, B と b, C と c, D と d が,X染色体上にこ
キイロショウジョウバエの性染色体の構成は雌が XX, 雄がXY である。 いま 4対
が推定できる。
の順序で並んでおり, A, B, C, D をもつX染色体とa,b,c,dをもつX染色体が
あるとする。 大文字は優性遺伝子,小文字は劣性遺伝子を表している。
X染色体とX染色体をヘテロ接合にもつ雌(X,X) と X, 染色体
(ア)
とY染色体をもつ雄(X,Y) の交配から得られる次代の雄1000匹に
表現型 個体数
[abcd〕 810
[abcD〕 20
[ABCd]
30
[ABcd]
[Abcd]
ついて,その表現型と個体数を調べた (右表)。 簡単にするため、乗
換えは2回以上起こらないとする。 雄の表現型は ③種類得ら
れることが期待されたが,実際に調べてみると、表で示した5種類
しか得られなかった。その原因として,X染色体上の別の位置に
ある遺伝子に,突然変異が生じていることが考えられた。
そこでまず,表の実験結果から,この突然変異を起こした遺伝子
の染色体上の位置を推定した。これをもとに、野生型のキイロショウジョウバエのゲ
ノム情報を用いて候補となる遺伝子をしぼりこみ,さらに実験を行って,そのうちの
1つの遺伝子に挿入突然変異が起こっていることを突き止めた。
(1) ① ② に入る最も適当な語を,それぞれ以下の語群から選べ。
〔語群〕 体細胞分裂前期
体細胞分裂中期
性染色体
減数分裂第一分裂前期
常染色体
減数分裂第二分裂中期
二価染色体 相同染色体
メ (2) 下線部(ア)の表現型を表にならって記号 A, B, C, D, a,b,c,dを用いて記せ。
x (3) ③に入る適切な数字を記せ。
60
80
合計 1000
メ (4) 下線部(イ)の遺伝子はどのような性質をもつか記せ。
X (5) 下線部(イ)の遺伝子は, A,B,C,D,a,b,c, d のどの遺伝子の間にあるか。その
ように考える根拠を示しながら説明せよ。
[ 10 お茶の水大]
103
(1) ① 減数分裂第一分裂前期 ② 相同染色体 (2) [ABCD]
ロ (4) 劣性の致死遺伝子の性質
解説
(3) 8
(5) XX2 と X2Yの交配によって生じる雄に期待される表現型のうち,
[ABCD〕, 〔aBCD〕, 〔abCD〕 が実際には生じておらず,これらが
共通にもつ配列は遺伝子CとDの間の配列であるため, 遺伝子 C と
Dの間に劣性の致死遺伝子が存在すると考えられる。
(2) X 染色体とX染色体をヘテロ接合でもつ個体の遺伝子型は AaBbCcDd となるの
で,その表現型は [ABCD] である
(3) 次代の雄は、母親のX染色体のうち1本と父親のY染色体をもつ。 そのため, 表
現型は母親から受け継ぐ1本の染色体によって決定される。 この母親が減数分裂で
配偶子をつくるとき, 遺伝子 A, B, C, D が存在する X, 染色体と, 遺伝子 a, b, c,
d が存在する X2 染色体の間で乗換えが起こる場合があるが, 問題文より, 乗換え
は2回以上起こらないので,生じる配偶子の遺伝子の組み合わせは、次の8種類と
なる。
① 乗換えが起こらない場合・・・
ABCD, abcd
② A (a)-B(b) 間で乗換えが起こる場合・・・ Abcd, a BCD
③ B(b)-C(c) 間で乗換えが起こる場合・・・ ABcd abCD
④ C(c) - D(d) 間で乗換えが起こる場合・・・ ABCd, abcD
(5) 次代の雄の表現型から, 劣性の致死遺伝子がどこに存在するかを考える。
仮にA-B間に致死遺伝子が存在すると考えると,次代に [AB_]は生じない
ことになるが, 実際には [ABCd] や [ABcd〕 が生じている(_部分には優性・劣性い
ずれの遺伝子が入ってもよい)。 したがって, AB間に致死遺伝子は存在しない。
同様に, B-C間, a-b間, b-c間, c-d間にも致死遺伝子は存在しない。
C-D間について見ると,次代に [__CD] が生じていないため,これらの遺伝
子間に致死遺伝子が存在していると推定できる。