ノートテキスト

ページ1:

十訓抄 第八雲の諸事にすべきこと
大納言行
〇二七) 小野
とのちらつかせ
大納言行成の、いまだ殿上人におはしける時、実方の中、いかなるり
りむり合ひて、言ふこともなくて行威のを打ち落として、
に投げ捨てけり。 行成験がずして、主殿を召して、「冠を取りてれ。」とて、
して、刀より抜き出だして、ひりて、「いかなることにかふ
らむ。たちまちにかほどの乱にあずかるべきことこそ覚えはね。その点を
のことにやるべからむ。」と麗しく言はれける。しらけて実方は
立ちにけり。
折しも主上より御じ、「成はいみじき者なり。かく大人しきのあ
らむとこそはざりし。」とて、その時蔵人の
越えてなされにけり。 実方をば中将を召して、「
のにしてはされにける。 やがてかしこに
せにけり。
のありけるに、多く人を
見てまれ。」とて の国
実方、人の頭にならてやみにけるを恨みて、とまりて、になりて上の
小台盤にて、台盤をひける由人言ひける。
一人は悪を保たざるゆゑに前途を失ひ、一人は忍を信ずるによりて、美にあ
づかることを得たり。
行成
にある小窓。 ここから天皇は殿上の
=和歌に詠まれる地
様子を見た。
名。 名所。 人の頭=「人」は、天皇
のそば近く仕える外の一つ
食器・食物を載せる小さな
小台
は、人所の実質的な長
実は、上の間で会っ
見て参れ」の意味あいは「田舎へ行っ
頭でも冷やしてこい」とでもいうよう
実方され
な意味である。つまり、
である。
「十」は鎌倉時代に成立した
説話集で成立は一五二年。作者は未
的な立場から「心を定む
(九七ニー
原理とともに
の名人。 三頭という。 公ととも
に四納言の一人。殿上人=四位・五位
「霧の上人(3びと)上人」とも。実方
および六位の人
(?九九八)。平安中
期の歌人。 中古三十六歌仙の一人。
中の灯火などをつかさどった。
守となってその地です。 主殿
●=髪の毛を整えるのに用いたへらの
ようなもの。刀の鞘(さや)にさしておい
頭の毛髪小溝
(ひのおし)と
た。
た行成の冠をいきなりたたき落として、べき事」「人を侮るべからざる事」「朋
小倉に投げ捨てた。普通なら「なんだこ ぶべき事」など、十の項目を立て
行成は冷静に対処した。 この場面を見 る。
の野郎!」と声を荒らげるところだが、 て、 若者への 目的としたものであ
は行成昇させ地へ「第四
やった。 」とは歌の中に詠まれて
きた名所のことをいうが、本文中の「歌
人の上の多言等を
むべき事」いはく、「人はおもんば
かりなし、いふまじきことをくちとくい
僕の
こと
に
ひいだし、人の頬をそしり、 人は他
人の短所・・秘密などを軽々しく口に
自分は何気なく言った
してはならない。
ことでも、相手は深く思いつめて、憤り
が積もり、予想外の仕返しを受けること
また、十分に理解してい
があるからだ。
ないことを、非難しないようにするべき
一度他人から口のだと思われ
だ。
てしまうと、用心され、疎んじられてし
とにかく、人の話は避け、多言
まう。
はむべきである。
そのゆゑを 承り
そのわけをうかが
た
当然
べから
J
やがてかしこ
にて
のこともあろうかと存じます
侍る」
の後のことを何とかしましょう、話しあいましょう
でもあるべきでしょう
何か
村
「ぬ」過去「けりし
失せに
そのうちかの場所で死んでしまった。
実のままその
亡くなって

ページ2:

No..
Date
とり
発端〉
きちんと座り直す
行成
実方 怒り
み直る
たちまちに
かほど
あづかる
突然
なぐりかかる
このような
〈展開>
こうむる
しらけて
麗にし
りっぱだ
いかなる~からむ
逃る
しらく
奥をそがれる
折しも
たまたま
〈結末 >
大人し
大人びている。
①すばらしい。
蔵人の頭に出せ
見て
いみじき
やむ
左遷
殿上人」 殿上
終わる
主殿司とのもりがかさ)
小節 ※半部(ほじと
蔵人頭(くろうどのとうか)
(出世頭)
課題>
何事も忍耐すべきである。
Bにて」の別 大
・内容・忍耐すればきっといいことおき
「なり」
+助
格深き川を私に渡るの
父は直人に
→
デアップ
母なむ藤原なりける。
・作成は冷静を保って出世し、
形動ナリ活
→ 清らにてみたる人あり
実方は
いて左遷された。 ・助
賢者は常に出世の道を狡猾に
狙っていた。

ページ3:

☆J
調事にすべきこと」
・空欄に適当な語句を入
「十訓抄」は、(鎌合
の項目をたてて、若者への
時代に成立した説話集である。 道徳的な立場から十
教訓
・読み方を現代仮名遣いで書きなさい。
うと
そのもりかさ
ひとみ
④ 主殿司
③ 小蔀
☆ 口語訳しなさい。 (本文の右側に書くこと)
いったいどのようなことでございましょうか
・いかなることにか候ふらむ。
その年その地で亡くなってしまった。
・やがてかしこにて失せにけり。
)を目的とした作品である。
くう
蔵人
☆B 次の傍線部の「に」は何か。選択肢から選び記号で答えよ。
「いかなることにかふらむ。
②そのゆゑを承り後のことにやるべからむ。
③やがてかしこにて失せにけり。
)
ア 形容動詞の活用語尾 イ完了の助動詞の一部
エ副詞の一部 オ格助詞 カ 接続助詞
ウ断定の助動詞の一部
十九八七
七 思慮を専らにすべき事
何事につけても身を甘やかさず修行に励むこと
諸事を堪忍すべき事
すべてのことを耐え忍ぶことは最高のとなる。
九 望を停むべき事
自己をわきまえることを知っている人は人をまず。
十才芸を庶幾すべき事
身分に応じて才芸を供えるべし。

ページ4:

十訓に堪忍すべきこと」
「
・空欄に適当な語句を入
十訓抄」は、
(2
時代に成立した説話集である。 道徳的な立場から十
)を目的とした作品である。
の項目をたてて、若者への教訓
①「いかなることにかふらむ。
)
②そのゆゑを承り後のことにやるべからむ。
③やがてかしこにて失せにけり。
ア 形容動詞の活用語尾 イ完了の助動詞の一部
エ副詞の一部 オ格助詞 接続助詞
断定の助動詞の一部
年少者のための十の教え
一人に恵を施すべき事
身分や見た目に関わらず公平に恩恵をしなさい。
二傲慢を離るべき事
にしなさい。
三人倫を侮らざる事
の重さが増しても控えめで落ち着いた心を
人をばかにすることは無知の人がすることである。
四人の上を読むべき事
人の身の上話ははばかるべきである。
五 盟友を選ぶべき事
人の心は水が容器の形に従うようなものである。
六 忠直を存ずべき事
言い争わなければいけないときは争い、 従わなくて
はいけないときに従う、これが本当
である。
孝
であり、
七 思慮を専らにすべき事
何事につけても身を甘やかさず行に励むこと。
八諸事を堪忍すべき事
すべてのことを耐え忍ぶことは最高のとなる。
九望を停むべき事
自己をわきまえることを知っている人は人をまず。
十才芸を庶幾すべき事
身分に応じて才芸を供えるべし。

コメント

コメントはまだありません。

News