Questions
高中
最後の学習手引きの答えを教えていただきたいです。
あとどんな問題が定期テスト聞かれやすいか教えてください!
なかや しきひとし
「無駄」と進化
中屋敷 均
親とそっくりな子孫 DNA
複製
親 DNA
変異が多い子孫 DNA
ふるきわみつる
知る人ぞ知るという感じの進化論に、「不均衡進化論」 という説がある。これは一九九
二年に日本人の古澤藩が発表した興味深い仮説である。DNAは二本の鎖から成り立って
おり、複製が起こると、それぞれの鎖から二つの子孫DNAが生まれてくる(図1)。不
均衡進化論の肝となる主張は、この二つの子孫DNAでは遺伝子の変異率が異なっており、
親の片側のDNA鎖からできた子孫DNAは親とそっくりの遺伝子配列のまま生まれてく
るが、もう片側のDNA鎖から生まれる子孫DNAは変異が多く、親とずいぶん違った遺
伝子配列を持つような仕組みになっているという説である。
生物の持つジレンマに「変わること」と「変わらないこと」の両立がある。 生き物は基
本的に自分とよく似た子供を作る。それは種の存続に欠かせない性質であるが、一方、猿
から人類が進化してきたように、環境に対応した変種が現れるような変化を生みだすこと
も、また生命に欠かせない特徴である。 生物は、今のシステムを維持できないと存続でき
ないし、一方、そのシステムを変化させなければ環境の変化に対応できず、 進化も起こら
ない。「変わるべきか、変わらざるべきか」、これは生命が持つ根源的なジレンマである。
不均衡進化論のすばらしいところは、この生命の持つ根源的な矛盾の解決手段が、生命
の源であるDNAの複製機構に備わっていると説いている点で
図1
不均衡進化論によるDNA複製のモデル
である。
ある。つまりDNAの一方の鎖からは現状を維持する、親と
そっくりな子孫が生まれ、もう一方の鎖からは変化に富み進化
を担う子孫が生まれてくる。たとえ、変化した子孫がシステム
の維持に堪えないような異端児であっても、もう一方が現状維
持を担ってくれるから心配ない。もし、変化した子孫のほうが
すばらしい性質を持っていれば、今度はその変化した性質を維
持すればよいし、一方ではそのすばらしい性質をベースに、更
に変異した子孫を作る試みも可能になる。生命というシステム
は、現状を確実に維持しながら、変化の可能性を探る巧妙さを
併せ持つことが、まさにそのDNAに刻まれているというわけ
1%
3.30
だから、
生物に変化をもたらす遺伝子の変異は、基本的にランダムに起こると考えられている。
本
例えば、羽を持つようにとか、首が長くなるようにといった特定の方向性を持って遺伝子
が変わっていくのではなく、「ランダムな変異の中でたまたま有用なものが出てくれば、そ
れが生き残るというのが、現代の進化学が教えるところである。何だか、ずいぶんと効率
が悪い方法のようにも思える。 しかし「生命」がこの地球上に誕生してから四十億年とも
言われているが、その途方もない時間、途切れることなく続いてきたのは、極論すれば変
異がランダムに起きてきたからなのだと、私は思っている。
例えば、生命が海底の熱水噴出孔で誕生したと仮定しよう。そこから進化がスタートす
ることになるが、進化というのだから、その環境にあるエネルギーや資源を効率よく利用
し、より速く増殖できる、そういったことが起こっていくのだろう。そして、より効率よ"
く、無駄を削って、その環境に適応し競争に勝ったものが生き残っていく。 それは確かに
すばらしい進化である。しかし、その結果、生まれてくるのは、熱水噴出孔にあるエネル
ギーと資源に頼りっきりの生き物となる。 なぜなら、その環境に必要なものを生みだし、
それ以外の無駄は削り落として最適化されるということは、他の環境には不適になるとい
うこととほぼ同義であるからだ。 このような単純な適者生存的戦略を採っていたなら、生
命は簡単に途絶えてしまう。それは、環境は変化するのが常であり、依存している環境が
失われれば、それに最適化されたものは容易に絶滅してしまうからである。
生命の継続を可能とした戦略の本質は、通常イメージされている、適応的な進
化のような一方向を向いたものではない。本当に大切なことは、実はその環境下で生きる
ことには何の役にも立たない、「無駄」な変異をランダムに起こし続け、 それを許容する
ことなのである。単純な話ではあるが、他の環境で有利に働く変異は、 現環境下では基本
的に「無駄」なのだ。それを許容して生みだし続けることが、現状とは違う環境で生存で
きる新しい生き物を生みだし、簡単には全滅しない強靭性を生命に与える。「無駄」を生
みだし、それを許容すること、それが生命の持つ優れた特性である。
きょうじん
一つの例を挙げてみよう。縁起でもない話ではあるが、もし核戦争が起こり地球上の放
射線量がとてつもなく高くなれば、人類は滅亡することになる。一般的に、強い放射線は
生物種を問わず致死的に働くので、人類のみならず全ての生物が死に絶え、地球が死の星
となってしまう。そんなことも理屈のうえでは起こりうる一つの未来の姿である。
しかし、恐らく実際にはそうならない。なぜなら世の中には「変な生き物」がいるから
だ。例えばデイノコッカス・ラジオデュランスという微生物は、日本語に訳せば「放射線
に耐える奇妙な果実」という、へんてこな名前が付けられており、人間の致死量の千倍近
0.4%
型 3.3%
132
学習の手引き
漢字と語彙
い放射線にさらされても平気で生きている。この種の細菌は、例えば小川や草原といった
ごくごく普通の環境で見つかり、特に放射線量が高い場所にすんでいるということもなく、
どうしてそんなに放射線に強いのかよく分かっていない。そんな性質を持っていることは、
人間が実験をして初めて分かったことである。一般的な微生物は放射線に弱いので、これ
はデイノコッカス・ラジオデュランスに起こった「変異」の一つと考えることができると
思うが、普通の生物より放射線に千倍強いという能力がいかされる機会など、現実には訪
れない可能性もあるだろうし、全く「無駄」な性質を備えているようにもみえる。しかし、
そんな変な生き物がいることで、たとえ人類が核戦争という愚かな間違いを犯し滅んだと
しても、「生命という現象」自体は、この地球上で恐らく途切れることなく続いていくこ
とになる。
だから、このような生物の多様性を生みだす 「変異」は、自己複製を担う保守的な「シ
ステム」と両輪を成し、生命の存続を支えている大切な要素となっているのである。そし
て「変異」は「無駄」と罵られようが、「システム」の論理から独立し、ランダムで特定
の方向性を持たないことが、その本質として重要なのである。
中屋敷
1964年(昭和39)
る。
「このような生物の多
様性」とは、何が多様
なのか。
*
両輪を成す
福岡県に生まれた。分子生物学者。 生命科学についてのさまざまな知見をもとに、植物や菌類のウイ
ルスの研究を行う。 主な著作に、『生命のからくり』 『ウイルスは生きている』などがある。 「『無駄』
と進化」は、雑誌『本』(二〇一八年十一月)に発表。本文は 『科学と非科学』 (二〇一九年刊)によ
「『無駄』と進化」というタイトルに注意しながら、本文を通読しよう。
②「不均衡進化論のすばらしいところ」〔一五七・3〕 とはどのようなところか、説明しよう。
③次の部分はそれぞれどのようなことか。
のはなぜか。
現代の進化学が教えるところ 〔一五八・4〕
2 通常イメージされている、 適応的な進化 〔一五九・2〕
●「本当に大切なことは、実はその環境下で生きることには何の役にも立たない、『無駄』な変異をラン
ダムに起こし続け、それを許容することなのである。」(一五九・3〕 とあるが、筆者がそのように述べる
⑤「この種の細菌は、例えば小川や草原といったごくごく普通の環境で見つかり、特に放射線量が高い場
所にすんでいるということもなく」〔一六〇1] とあるが、筆者がそのように断るのはなぜか。
⑥ 「『生命という現象』」 [一六〇・9〕 を筆者はどのように考えているか。
①次の傍線部の仮名を漢字に直そう。
犬をくさりにつなぐ
きもに銘ずる
ムジュンした考え
ウリツが悪い
キョヨウ範囲
エンギをかつぐ
コウミョウな手口
おろかな行為
と
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解答
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