Contemporary writings
高中

このプリントの答えがないので、問5番の解説が欲しいです!お願いします🙇

る。 きた。 次の文章を読んで、後の問いに答えよ。 下人は、それらの死骸の腐乱した臭気に思わず、鼻をおおった。しかし、その手は、次の瞬間には、もうをおおうことを忘れて いた。 (1)ある強い感情が、ほとんどことごとくこの男の パってしまったからである。 下人の目は、その時、はじめて、その死骸の中にうずくまっている人間を見た。着物を着せた の その老は、右の手に火をともしたの木切れを持って、その死骸の一つの顔をのぞきこむように眺め のような老である。 ていた。髪の毛の長いところを見ると、たぶん女の死骸であろう。 下人は、六分の恐怖と四分の心に動かされて、Xは息をするのさえ忘れていた。 記者を借りれば、「頭 身の毛も太る」ように感じたのである。すると、老婆は、松の木切れを、床板の間に挿して、 それから、今まで眺めていた死骸の首 に両手をかけると、ちょうど、親が子のしらみをとるように、その長い髪の毛を一本ずつ抜きはじめた。髪は手に従って抜 けるらしい。 その髪の毛が一本ずつ抜けるのに従って、下人の心からは、恐怖が少しずつ消えていった。そうして、それと同時に、この老 に対する激しい憎悪が、少しずつ動いてきた。いや、この老婆に対すると言っては、 があるかもしれない。むしろ、 (2) あらゆる悪に対する反感が、一分ごとに強さを増してきたのである。この時、誰かがこの下人に、さっき門の下でこの男が考 えていた。死にをするか盗人になるかという問題を改めて持ち出したら、恐らく下人は、なんの未練もなく、死にを選ん だことであろう。それほど、この男の悪を憎む心は、老婆の床に挿した松の木切れのように、勢いよく燃え上がりだしていたのであ 下人には、もちろん、なぜ老婆が死人の髪の毛を抜くかわからなかった。したがって、合理的には、それを悪のいずれにかたづ けてよいか知らなかった。しかし下人にとっては、(3)この雨の夜に、この生門の上で、死人の髪の毛を抜くということが、(4) それだけで既にすべからざる悪であった。もちろん、下人は、さっきまで、自分が、 人になる気でいたことなぞは、とうに忘れ ているのである。 そこで、下人は、両足に力を入れて、いきなり、はしごから上へ飛び上がった。そうして柄の太刀に手をかけながら、大に書 夢の前へ歩みよった。老婆が驚いたのは言うまでもない。 老婆は、一目下人を見ると、まるでにでもはじかれたように、飛び上がった。 「おのれ、どこへ行く。」 下人は、老婆が死骸につまずきながら、慌てふためいて逃げようとする行く手を(b)いで、こう罵った。老婆は、それでも下 人を突きのけて行こうとする。 下人はまた、それを行かすまいとして、押しもどす。 二人は死骸の中で、しばらく無言のまま、つ かみ合った。しかし、はじめから、わかっている。下人はとうとう、老婆の腕をつかんで、無理にそこへねじした。ちょう ど の脚のような、骨と皮ばかり である。 「何をしていた。言え。言わぬと、これだぞよ。 下人は、老婆を突き放すと、いきなり、太刀の鞘を払って、白い鋼の色をその目の前へ突きつけた。けれども、老婆は黙ってい る。 両手をわなわなふるわせて、肩で息を切りながら、目 見開いて、おしのように がまぶたの外へ出そうになるほど、 くっている。 これを見ると、下人ははじめて明白に、この老婆の生死が、全然、自分の意志に支配されているということ 意識した。そうしてこの、今までけわしく燃えていた憎悪の心を、いつの間にか冷ましてしまった。 後に残ったのは、ただ、 ある仕事をして、それが円満に成就した時の安らかな得意と満足とがあるばかりである。そこで、下人は、老婆を見下ろしなが ら、少し声をやわらげてこう言った。 「俺は検非違使の庁の役人などではない。 今しがたこの 下を通りかかった旅の者だ。だからおまえに縄をかけて、どうしよう というようなことはない。ただ、今時分、この門の上で、何をしていたのだか、それを俺に話しさえすればいいのだ。」 すると、老婆は、見開いていた目を、いっそう大きくして、じっとその下人の顔を見守った。まぶたの赤くなった、肉食鳥のよう な、鋭い目で見たのである。 それから、しわで、ほとんど、鼻と一つになったを、何か物でもかんでいるように、動かした。 細い 喉で、とがった喉仏の動いているのが見える。 その時、その喉から、からの鳴くような声が、あえぎあえぎ、下人の耳へ伝わって 「この髪を抜いてな、 この髪を抜いてな、かつらにしょうと思うたのじゃ。」 下人は、老婆の答えが (c) 外、平凡なのに失望した。 そうして失望すると同時に、また前の憎悪が、冷ややかな (d) と いっしょに、心の中へ入ってきた。 すると、その気色が、先方へも通じたのであろう。 老婆は、片手に、まだ死骸の頭からとった長 抜け毛を持ったなり、猫のつぶやくような声で、口ごもりながら、こんなことを言った。 「なるほどな、死人の髪の毛を抜くということは、なんぼう悪いことかもしれぬ。 じゃが、ここにいる死人どもは、皆、そのくら いなことをされてもいい人間ばかりだぞよ。現に、わしが今、髪を抜いた女などはな、蛇を四すばかりずつに切って干したのを、 干し魚だと言うて、太刀の陣へ売りに住んだわ。疫病にかかって死ななんだら、今でも売りに住んでいたことであろ。それもよ、 この女の干し魚は、味がよいと言うて、太刀どもが、欠かさず業料に買っていたそうな。 わしは、この女のしたことが悪いと は思うていぬ。 せねば、飢え死にをするのじゃて、しかたがなくしたことであろ。されば、今また、わしのしていたことも悪いこと とは思わぬぞよ。 これとてもやはりせねば、飢え死にをするじゃて、 しかたがなくすることじゃわいの。 じゃて、そのしかたがない ことをよく知っていたこの女は、おおかたわしのすることも (5) 大目に見てくれるであろ。」 老婆は、だいたいこんな意味のことを言った。 「きっと、そうか。」 下人は、太刀を鞘におさめて、その太刀の柄を左手でおさえながら、(e) レイゼンとして、この話を聞いていた。もちろん、 (6)右の手では、赤く頬にうみを持った大きなにきびを気にしながら、聞いているのである。 しかし、これを聞いているうちに、 下人の心には、(7)ある勇気が生まれてきた。それは、さっき門の下で、この男には欠けていた勇気である。そうして、また(8) さっきこの門の上へ上がって、この老婆を捕らえた時の勇気とは、全然反対方向に動こうとする勇気である。下人は、 死に をするか盗人になるかに、迷わなかったばかりではない。その時の、この男の心持ちから言えば、飢え死になどということは、ほと んど、考えることさえできないほど、意識の外に追い出されていた。 老婆の話が終わると、 (9) 下人はあざけるような声でを押した。そうして、一足前へ出ると、不意に右の手にきびから離し 老婆 をつかみながら、かみつくようにこう言った。 「では、俺が引ぎをしようと恨むまいな。俺もそうしなければ、飢え死にをする体なのだ。」 下人は、すばやく、老婆の物をとった。それから、足にしがみつこうとする老婆を、手荒く死骸の上へ倒した。 はしごの 口までは、僅かに五歩を数えるばかりである。 下人は、ぎとった檜皮色の着物をわきにかかえて、またたく間に急なはしごを夜の 底へかけ下りた。 しばらく、死んだように倒れていた老婆が、死骸の中から、その 老婆は、 体を起こしたのは、それから間もなくのことである。 つぶやくような、うめくような声を立てながら、まだ燃えている火の光をたよりに、はしごの口まで、はっていった。そうして、そ こから、短い白髪を逆さまにして、円の下をのぞきこんだ。外には、ただ たる夜があるばかりである。 下人の行方は、誰も知らない。 九 十一 説明 に対する この か さい。 本文中の部~eについて、漢字はひらがな、カタカナは漢字に直せ。 本文中の空には「すこしの間」、Yには「誤解を招きやすい言い方」という意味を持つ漢字二字熟語を埋めよ。 「ある強い感情」を具体的に記した部分を十五字以内で抜き出して記せ。 それぞれ漢字二字で書け 「あらゆる悪に対する反感」について次のように説明した。AとB の意味となるように、適切 B が存在すること自体に対して、許せないとする気持ち。 的なものではなく、悪 この生の上で」という表現から、下人のどのような心情が読み取れるか、適切なものを選べ。 夜に 大きな音をたてる や死体の捨てられた生におびえている。 雨の夜の不気味な特別な状況じている。 暗い雨の夜の生なので、悪人がいても許されると感じている。 やまない雨やした死骸の気のため、不機嫌になっている。 オ雨にも羅生門の不気味さにも慣れて、恐怖が和らぐのを感じている。 「それだけで既に許すべからざる悪であった」について次のように説明した。空に適切な語を選び、記号で答えな 「それだけ」とは、老婆が死人の髪を抜いているという だけということである。老婆が死人の髪を抜く を悪と感じたのが、下人の については知らなくても、 という意味を含ませている。老婆の 判断であったことが読み取れる。 可能性 理由 ウ 行為 エ 合理的 力 性的 才 直観的 5「大目に見てくれるであろ。」とあるが、この考えに至る論理を、五十字以上六十字以内で説明せよ。 「右の手では、赤くにうみを持った大きなにきびを気にしながら」の説明として最も適当なものを、次のア~エか ら一つ選び、記号で答えよ。 ア の信じられないような話に思わず引き込まれ、我を忘れている様子がされている。 イ老婆の説得力のある話にすっかり感心し、心が動かされる様子がされている。 老婆の不条理な言い逃れを全く信じずに、反撃の機をうかがう様子がされている。 をそれなりに聞きながら、別の考えに気をとられている様子がされている。 「ある勇気」と、8「さっきこの門の上へ上がって、この老婆を捕らえた時の勇気」は、それぞれ「どうする」 勇気 7 「勇気」も字数に含む) 「~勇気」という形で、それぞれ十字以内で答えよ。 9 「下人はあざけるような声で念を押した」とあるが、「あざけるような」には、下人のどのような気持ちが表れてい るか、説明せよ。 本作品の作者名を漢字で書け。
羅生門

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