本件では、Xら15名はZ労働組合に入っていることを理由として、D社解散後他の会社に入ることができなくなったという不利益を被っているので、A社の行為は
不当労働行為に該当する可能性があります(労組法7条1号)。
そしてこれによって生じる不利益を回復するために、労働委員会による救済命令を求めることになります(同法27条の12)
論述の流れとして、救済要件→不当労働行為の実体的要件→どのような救済が適切かという流れとなるでしょう。
まず、救済要件である救済申立適格、申立期間、管轄が認められることをさらっと認定します。
次に、実体的要件の検討です。
①使用者が②労働組合の正当な行為を行ったことを理由として③労働者を解雇しまたは不利益な取り扱いをしたという不当労働行為の要件該当性を検討します。
まず、①について、A社はXらの直接の雇用者でないため、使用者でないことが問題となりますが、Xらを雇用していたD社の持株会社であること、及び、A社がD社の労働条件等に介入していたを認定して使用者であるとすべきでしょう。
また②はいわゆる不当労働行為意思が必要であるということです。
これについてD社の業績が悪化していたという理由があることが問題となります。
そこで、決定的原因説に基づいてどの理由が解散の決定的原因となったのかを認定して、決定的原因が労働組合の行動であれば②を認定して良いでしょう。
次に③についてですが、企業の廃止とそれに伴う解雇が不利益取り扱いに該当するか問題となります。
三協紙器製作所事件の規範を定立した上で当てはめて不利益取り扱いを認定してください。
以上不当労働行為の実体的要件を認定することができます。
次にどのような救済内容かという点につき、27条12は具体的な救済内容は規定していないため、その内容が労働委員会の裁量に任せられていること及び適切な救済内容を設定できることを指摘します。
今回どのような内容が適切かは基本書などをみて考えてみてください。
以上ざっと論述の流れを書きましたので参考にしてください。
また追加で労働委員会だけでなく裁判所に対しても、不当労働行為が成立するとして不法行為に基づく損害賠償請求が行えると思います。