Japanese
國中
答え イ なんですけど、なんでですか?
遠慮してるくないですか?🙇♀️
の老女のように大根の半分をどうしようかと悩むことでもあった
のだ。彼は初めて母親がひとりで暮らしているということの意味
が理解できたように思えた。これまでは、あえてそのことは考え
ないようにしてきたところがあったのだ。
「もらっていただけませんか」
老女がまた言った。
はなかった。譲るべきかどうか悩まなくてはならないこと、席を一
立っても相手が素直に座ってくれずベツの悪い思いをすること、
さらに自分が譲ることでその近辺に座っている人たちに小さな罪
悪感を覚えさせてしまうことがいやだったのだ。だから、彼は電一
車の中でもめったに座ることがなかった。
彼は降車口の近くに立って、壁面に貼られている結婚式場やエ
ステティックサロンの広告を眺めていた。
その時、不意に声がした。一
これ、もらっていただけませんか」
それはごく@オダゃかな声だったが、静かなバスの中ではこと
さら大きく響いた。
彼が声のする方に眼をやると、降車ロより少しうしろの二人掛
けの席に品のよさそうな老女が座っており、手に半分に切られた一
太い大根が握られていた。そして、その隣には、すぐ前の一人掛
けの席にいる少女の母親と思われる女性が座っていた。どうやら、
老女がその若い母親にQ大根をあげようとしているらしい。 _
( ことに若い母親が戸惑っていると、老女は弁解する
ように言った。
「ひとりなもので、一本では多すぎるんですよ。でも、一本でな
ければ買えないし……」
若い母親が@あいまいに領くと、老女はまた言った。
Tこれ、もらってくださると助かるんですけど」
「いえでも ··」
たぶん、その老女はターミナル駅のどこかの食料品売り場で買
い物をしてきたのだろう。そこで大根を一本買った。それはひと」
り暮らしの生活ではもてあますほど太くて長い大根だったが、そ」
の売り揚には一本単位でしか売りに出ていなかった。いや、もし
若い母親のためらいの言葉を耳にしながら、なんとかもらって
くれればいいが、と彼はひそかに願っていた。
「ひとりだとこんなには食べ切れないんですよ」
若い母親は、ようやくもらうべきだと判断したらしく、どうい
うことになるのかと振り返って見つめていた少女に、いただこう」
かしら、と相談するように言ってから、老女に向かって訊ねた。一
「ほんとにいただいちゃって、いいんですか?」」
「どうぞ、どうぞ」
「それじゃ遠慮なく」
すると、老女は嬉しそうに言った。
「無駄にならなくてよかったわ」
そのやりとりを聞いて、彼だけでなく、@パスの中にホッとし
た空気が流れたのがわかった。
老女は前の席に座っている少女に声を掛けた。
「おいくつ?」
「九歳」
「うちの孫の方がひとつお姉ちゃんだわ」
その瞬間、@彼の胸が痛んだ。自分にも十歳の息子がいる。そ
の老女が自分の母親でもよかったのだ。
あるいは、自分の母親も買い物をするたびに大根の半分に心を
悩ませているかもしれない。そうした意味では、自分が親子三人
で送っている安定した東京での生活も、離れて住む母親にいくっ
もの小さな悩みを押しつけることで成り立っているといえなくも
ないのだ。
もちろん、母親は一緒に暮らそうと言っても断るだろう。しか
し……とバスの中で彼は思っていた。自分は、席を譲るべき人が
眼の前に立っているのにもかかわらず、気づかぬりをしてのた
ぬき寝入りをするような男と、ほとんど同じことをしているので
して、ピニール袋に入れる際、'あまりにも長いため半分に切って」
彼はすぐに視線をまた広告に戻したが、その老女を見て母親を一
思い出さないわけにいかなかった。彼の母親もまた、大根は一本一
でしか買いそうもないタイプだったからだ。
母親は東京から一時間ほど離れた地方都市に住んでいた。父が」
死んでからは古い借家にひとりで暮らしている。狭いマンション
で一緒に暮らすよりは気楽だろうと思い、また、母親自身もそう」
言うのでひとりで暮らしてもらっている。
しかし、ひとりで暮らすということは、日々の生活の中で、こ
天れさ はあるまいか、と。
(注)*ターミナル駅…鉄道、バスなどの路線の終着駅。
転 (沢木耕太郎『彼らの流儀』新潮文庫刊より)
くク
- 老女はそう言うと、ひとりごとのようにつぶやいた。
「まあ、大きいのね」
かしたら、その老女は、たとえ半分売りがあったとしても、大根」
は一本で買いたいという思いがある人だったのかもしれない。そ
もらっておいた…
[その4 ]
傍線部@「バスの中にホッとした空気が流れた」とありますが、なぜですか。最も適当なものを次のア~オから選びなさい。
ア.大根をもらってほしいという老女の申し出を、ほかの乗客が受けずにすんだから。
イ。老女の思いが若い母親に伝わり、遠慮することなく母親が大根を受け取ったから。
ウ.若い母親の娘が反対せずに、大根をもらうことを認めたことがうかがえたから。
ェ,ものが粗末に扱われる時代に、半分の大根が有効利用されることになったから。
オ,バスの乗客から運転手までもが、老女の一挙手一投足に関心を寄せていたから。
気二、川〇
の中、高効ま
シシツーのに港
解答
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