演習
問
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
神無月のころ、“栗栖野といふ所を過ぎて、ある山里にたづね入ることはベ
こけ
*あ
りしに、はるかなる皆の細道を踏み分けて、心細く住みなしたるいほりあり。
木の葉にうづもるるかけひのしづくならでは、つゆおとなふものなし。閼伽
棚に菊・紅葉など折り散らしたる、さすがに住む人のあればなるべし。
5
かくてもあられけるよ、とあはれに見るほどに、 かなたの庭に大きなる柑子
の木の、枝もたわわになりたるが、まはりをきびしく囲ひたりしこそ、少しこ
とさめて、この木なからましかば、と覚えしか。
けんこうほうし
つれづれぐさ
〈現代語訳〉
(兼好法師「徒然草」より)
*8.