EN論法で, 数列の極限を攻略しよう!
数列と関数の極限
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一般項an が与えられたとき,その極限liman の問題は高校でも既に勉
強しているね。でも,数列{an}が極限値 αをとることを示す厳密な証明
法として,大学の数学では,e-N論法をマスターする必要があるんだよ。
イプシロン・エヌろんぼう”と読む。
まず,この “e-N論法” を下に示す。
E-N論法
正の数をどんなに小さくしても,ある自然数 N が存在して,
nがn≧Nならば,|an-a|< となるとき,
liman=α となる。
n→∞
これだけでは,なんのことかわからないって? 当然だね。 ここは,大学
の数学を勉強する上で, みんなが最初にひっかかる第1の関門だから丁寧
に話すよ。
この意味は,正の実数を小さな値, たとえば, c = 0.001にとったとし
ても,ある自然数Nが存在して, 数列 41, 2,., an-1, ax, ax+1, … のうち
n≧Nのもの, すなわち ax, ax+1, に対して, α との差αが、
(N,N+1,...
ε=0.001より小さく押さえられる, と言っているんだね。
ここで,正の実数は連続性と稠密 (ちゅうみつ)性をもつので,こ
を限りなく0に近づけていくことができる。 それでもあるNが存在し
n≧N をみたす an について, lan -α < が成り立つといっているわけ
ら, n→∞のとき, α はαに限りなく近づいてlim=α と言える
だね。 納得いった?
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