64 塩類濃度調節 (1) 多細胞動物の細胞のまわりは体液で満たされている。 A.体を
取り巻く外部環境 (体外環境)が大きく変化しても、体液の量や組成 (無機塩類濃度,
pH) は,ほぼ一定に保たれている。 淡水にすむ魚と,海水にすむ魚と,地上で生活
する哺乳動物とではそのすむ環境がいちじるしく違っているが,それぞれの体液組成
はよく似ている。
淡水魚の体液の塩類濃度は, 外部環境より (①) ので、体内へ水が浸入し,無機
塩類が失われる可能性がある。これに対して, 海水魚の場合は,体液より ( ① ) 塩
類濃度の海水にすむため、体内の水分は体表面から絶えず失われる。 B これらの魚類
は腎臓とえらのはたらきにより体液の塩類濃度を調節している。
陸地にすむ哺乳動物では,体表面からの水分蒸発のため、体液の塩類濃度が増加す
る危機にさらされている。 哺乳動物は腎臓などのはたらきによって,体液量と塩類濃
度を調節している。 腎臓では, 血液が (②) でろ過され,血しょうタンパク質を除
られ, 水, グルコース, 無機塩類など, 体に必要な成分はここで (③) を取り巻く
く血しょう成分の大部分がボーマンのうに出て, 原尿ができる。 原尿は (③)に送
毛細血管に再吸収される。さらに (④)で水が再吸収されて尿になる。体に不要な
成分や老廃物は濃縮されて尿として排出される。 (④) での水の再吸収は,脳下垂
体後葉から分泌される(⑤)により、(③)でのナトリウムイオンの再吸収は(⑥)
から分泌される鉱質コルチコイドにより (⑦)される。これによって体液量と塩類
濃度はほぼ一定に保たれる。
(1) 文章中の①~⑦に適切な語句を入れよ。 なお、同じ番号は繰り返し使用されてい
る箇所を示す。
(2) 下線部Aのような性質のことを何というか。 また,体液組成の他に,このシス
テムがはたらいている調節をあげよ。
(3) 下線部B に関する以下の文章のア,イにあてはまる語句を入れよ。
淡水魚の腎臓では, 水の再吸収を (ア) し, 塩類の再吸収を(イ) する。ま
た海水魚の腎臓では水の再吸収を (イ) する。
(4) 文章中の⑤の分泌を刺激する要因を2つあげよ。
(弘前大)