350. 実用リチウムイオン電池 満充電の状態の電池から一定の電流を何時間取り出すこ
とができるかを示す量を放電容量といい, 1mAの電流を1時間取り出すことができる
放電容量は1mAh である。 リチウムイオン電池は,放電容量の大きな二次電池であり,
正極活物質には, コバルト酸リチウム LiCoO2 の結晶中から一部の Li+ が脱離した
Lit-xCoO2(0<x<0.5) が用いられている。 リチウムイオン電池を放電・充電すると,正
極では,次の変化がおこる。
正極: Lit-x CoO2+xLi++xe-
放電
`充電
LiCoO20H
09H
実用リチウムイオン電池では、満充電の状態でもxが0.5より大きくならないように
つくられている。 これを超えて過充電を行うと, Li+ が脱離しすぎることにより,
Lix CoO2がO2 の発生を伴い LiCoO2 と Co3O4 へと分解し,放電容量が減少してし
まう。いま, 0.25mol の Lix CoO2 を正極活物質とした, 電圧 3.7V, 放電容量が
2500mAh の実用リチウムイオン電池をLix CoO2のx=0の状態からxが最大になる
まで充電した後, 8.00 ×10 -1Aの一定電流で2時間放電した。
Ha (S)
(1) 下線部①で, Li-xCoO2 が Lio.4 CoO2 のときの分解反応の化学反応式を示せ。 また,
10.0g の Lio.4CoO2 の30%が分解するとき, 発生するO2 の物質量を有効数字2桁で示せ。
(2) 下線部②の電池の正極活物質 Li CoO2 がとる最大のxを有効数字2桁で示せ。
-x
(3) 下線部③ のとき, 正極に取り込んだ Li+ の物質量を有効数字2桁で示せ。
(4)現在,各航空会社では, ワット時定格量160Wh を超えるモバイルバッテリーの飛
行機内のもち込みを禁止している。 下線部②の電池8つを並列につないだモバイルバ
ッテリーMのワット時定格量 〔Wh] を求め, M を機内にもち込めるかを判断せよ。た
だしワット時定格量 〔Wh] =電力 [W] × 時間 [h], 電力 〔W〕 =電流 [A] ×電圧[V] で
100H (21 大阪大 改)
ある。