状況の中で●挨拶
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挨拶―原爆の写真によせて
あ、
この焼けただれた顔は
一九四五年八月六日
その時広島にいた人
二五万の焼けただれのひとつ
すでに此の世にないもの
とはいえ
友よ
たがい
向き合った互の顔を
も一度見直そう
戦火の跡もとどめぬ
すこやかな今日の顔
すがすがしい朝の顔を
その顔の中に明日の表情をさがすと
わたし
私はりつぜんとするのだ
地球が原爆を数百個所持して
ふち
生と死のきわどい淵を歩くとき
なぜそんなにも安らかに
あなたは美しいのか
いしがき
石垣りん
Ret
Fi
[目標]
●比喩や象徴的な表現に着目し
中での意味を考える。
●詩に用いられている表現の効
し、現代社会の状況と重ね合
ら考えを深める。