この作品の面白さは、ルントウと私の関係性の変化である。
かつて、 現在と過去とでの関係性がこんなにも変わった作品が
あっただろうか。
作中、 過去の回想シーンではあだ名で呼び合っていたほど仲
が良かった2人だが、 現在ではその関係性が崩れてしまってい
る。 ルントウは立場や身分の差から礼儀をわきまえ、私のこと
を『旦那様』と呼んだ。 しかし、 私は 『旦那様』と呼ばれたこ
とにより2人を隔てる悲しむべき熱い壁を感じてしまった。
久々に会う人との会話は難しいと私は思う。
実際に私も、 小学校の途中で転校して行った友達と久々に会っ
た際に2人のように会話が止まってしまった。 言葉が全くと
言っていいほど出てこなかった。 昔を思い返すと一緒に遊んで
楽しかったことなどたくさんあるのにも関わらず、 話題がある
のに言葉が出てこず会話が続かなかった。
そういった関係性の変化をうまく表現しているのがこの作品
の魅力だ。