生物
B
小腸の吸収上皮では,小腸内腔中のグルコースは上皮細胞に取り込まれた後,
上皮細胞の血管側へ輸送されることで吸収される。小腸の上皮細胞におけるグル
コースの輸送の仕組みについて調べるため,実験1・実験2を行った。なお,小
腸の吸収上皮の上皮細胞には, グルコースの濃度勾配に従ってグルコースを輸送
する「輸送体1」,ナトリウムイオン (Na) の濃度勾配に従ってグルコースを
Na+ と同じ方向に輸送する「輸送体2」, 「ナトリウムポンプ」の3種類の輸送タ
ンパク質が存在している。図2は、輸送体1と輸送体2における物質の輸送を模
式的に示したものである。
輸送体1
グルコース
リン脂質二重層
図 2
輸送体2
Na+
グルコース
実験1 図3に示すように、 小腸の吸収上皮の一部を取り出し, 窓のついた二つ
の容器 (A,B) の間に, 上皮細胞の血管側が A 側, 小腸内腔側がB側になるよ
うに挟んで固定した。 二つの容器に生理食塩水を満たした後, B の溶液にグル
コースを添加したところ, グルコースが上皮細胞を通って Aへ移動し、この
とき同時に NaもAへ移動した。一方, A の溶液にグルコースを添加しても,
グルコースはBへ移動しなかった。