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面東
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Global つまり地球(globe) 規模的、世界的、という言葉が使われるようになって久しい。
通信や交通の技術の大革新により、地球が一つの村のような共同体になった、として
global village (地球村)などというマーシャル·マクルーハンの一九六○年代の用語が、
それこそ世界的に広く知られるようになった。二十一世紀に入った今でも本当にそれほど
全人類が「一体化」しているのかどうかは別としても、この用語は現代用語として広く一
般的に使われている。
そもそもグローバル化(globalization)とは、どのような現象をさしているのだろうか。
専門家の間でも絶対的な合意があるわけではないが、少しまとめてみよう。グローバル化
とは、一方では、世界の共通性の促進、普遍化への動きという側面を持っていると考えら
れている。
たとえば、もともと西洋の発明にしかすぎなかった披家的な概念である時間(同じ速度
で厳密に前に進んでいるものという考え方)が世界の標準となっている。本来、時間とい
洋 の発
うものはそれぞれの地域(空間)に結びついていて、各地域にそれぞれの時間概念が存在
していたか、鉄道その他の交通手段の発達によって、あらゆる地域が共通の統一された時
間を持つことが必要となった。人類学者エバンズ=プリチャードが示しているアフリカの
牧畜民ヌアー族の「牛時間」などを見ると、元来、時質といみものが、それぞれの地域の
り
人間の具体的活動そのものの反映であり、いわば地域文化の一部としての存在であって、
現在世界中で採用されているような、何物からも独立した抽象的存在ではないことがわか
また、資本主義のルールが世界のほぼ全域を覆い、貨幣経済の原理(あらゆるものの交一
換が可能であるとする考え)は常識化してきた。貨幣経済化以前の伝統的な社会では、交一
換できるものと交換してはならないものを明確に区別していた。そのような社会と比較す "
ると、私たち現代人がいかに無節操にどのようなものでも売買·交換の対象にしているか
を知ることができる。
さらに、メディアや交通手段の革命的な発展によって、異国の文化·社会事情も容易に
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一般大衆の耳目にライブで届くようになった。ハリウッド映画の人気の高いものは、世界
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中で上映され、人気スターはあらゆる国境の壁を越えて世界中にファンを獲得して久しい。5
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ミュージシャンなども同様である。日本発のァニメやテレビゲームもまた、近年世界中の
で
若者の心をつかんでいたりする。
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「グローバル化」の中の異文化理解