-
35 ステップ2 小説
ステップ2 34
14
小説
の
|の
ii
i
20
速読
目標時間
25
·本文
/50
要約
/10
30
ステップ2
ひらいわゆみ え
読解)りくに訪れた「悲しみ」と「安らぎ」とは
分六標 分園
花影の花
平岩弓枝
課題)象徴的な描写から理解を深める
問解
げんろく
くらのすけ
あだう
リn
元禄十五年、大石内蔵助は主君の敵討ちを果たして切腹した。世に言う赤穂浪士の討ち入りである。同年
生まれた大三郎は、父のことを知らずに他家で育ったが、十二歳のとき、広島浅野藩に召し抱えられ、母り
く、姉るりとともに広島へ移った。大三郎は二十歳のときに結婚するが、そのころより放蕩癖が生じ、二度
の離婚を繰り返した。年老いたりくは心労に耐えきれず、とうとう屋敷を出た。
(州)
1国泰寺-
の寺。りくはこの寺で出家した。
2借坊
広島県広島市にある禅宗
僧がふだん生活する建物。
3回時
一塩獣などが吠えたてること。
またその声。
(州一)
げんぶん
こくたい
新しい年が来て、やがて四月二十八日をもって享保二十一年は元文元年になった。四季の移り変わりも、国泰
(出へ)
寺の僧坊にひきこもっているりくには何の感動もなかった。るりの話で聞くかぎり、大三郎に変化は起こってい
(要旨をつかむために
(第理解を深めよう
ない。「奉公人の話ですと、夜中にうなされていることがあるようですの。」知りあいの医者に行ってもらったが
体はどこも悪くはなく、「心を患っていらっしゃるようだ、と申されました。」
要約のための確認
【各1点)
るりの来た夜は満月であった。写経をしていて気がついてみると、ショウジのむこうがしらじらと輝いている。5
○場面
しょくだい
月光だと、りくは燭台の灯を消して縁側へ出た。庭はすべてのものが、白銀色に輝いて見えた。月光が、これほ
りく月光を眺める
ど、くまなく辺りを照らすとは今まで思ってもみなかった。天上は晴れて、一片の雲もない。月だけが独り、光
がどう輝いたところで
:月光の前では影が薄い
○状況
を放っている。目をこらすと、いくらかの星もまたたいているのだが、月光の前には影が薄かった。それは、満
開の桜花の下に、小さな野の花が咲いているのと同じだと思う。桜狩りの人々はあまりの桜の美しさに酔って野
りく 大三郎を思う
何故、月光の輝きにならぬのか
しょせん
の花には目もとめない。同じように、星がどう輝いたところで、この鮮やかな月光に出会っては、所詮、月の前 0
の星であった。
→当人も
ほしvや
大三郎の気持ちは、りくの気持ちであった。妻であれば、月光のなかの星屑でも、世間は何とも思わずにいて
oりくの心情
人の生涯-
くれるが、枠の星屑は、何故、月光の輝きにならぬのかと人も言い、当人も苦しむ。自分が屋敷を出ても、大三
○リ
にじー
は
郎に何の変わりもないと告げたるりの言葉を、りくはほろ苦く噛みしめた。仔獅子を谷底へ蹴落として、這い上
の及ばぬもの
(注3)ほう
がってこなかった親獅子は、どうするのかと思った。山中をかけ廻り、体から血を流しながら、月に向かって砲 5
→悲しみと
リ
摩するのだろうか。そして、谷底の仔獅子は血の涙をこぼしながら、親の砲嘩に耳を澄ませているのかもしれな
い°
2 まとめてみよう
要約に向けて
心情を四十字以内で書こう。【6点】
明るすぎる月光のなかに立って、りくは庭を見廻した。古人は美しい月光の照らす庭を、霜柱が立ったようだ
と詩っている。りくの見るかぎり、月光は白く冴え冴えとして、指を当てれば冷たく皮膚を切り裂きそうに思えた。
大三郎はどこでこの月光を見ているのかと思い、りくはそっとガッショウした。
人の生涯には、人の力の及ばぬものがある。内蔵助が敵討ちに生命を賭けたのも、父のようになろうとしてあ
がいている大三郎の日々も、みな、人の力の如何ともしがたいものと思ったとき、りくの目から温かな涙がこぼ
れ落ちた。悲しみと安らぎが、漸くりくの心に訪れたようであった。
ガイド、
本文で象徴的に描かれている「月光」について、その様子が描写されている部分に線を引こう→問六を攻略
問五急読解) 傍線部@について、りくの心に生じた「悲しみと安らぎ」の説明として、最も
適切なものを、次から選べ。
B 谷底の仔獅子を思う悲しみと、その胞嘩に仔獅子の生存を確認できた安らぎ。
E 大三郎の進退を憂う悲しみと、忠臣の妻として自身の安泰が保障された安らぎ。
人のはかなさを悟った悲しみと、最愛の夫を失った心の傷が癒えた安らぎ。
I運命的な力の前での人の無力さを知った悲しみと、苦悩から解放された安らぎ。
大三郎が親である自分を苦しめることへの悲しみと、美しい月光に感じ
る心の安らぎ。
問一(漢字)傍線部の~③について、カタカナは漢字で、漢
字はその読みをひらがなで書け。
【各3点]
【og)
問ニ (語句) 波線部A「くまなく」と似た意味をもつ語を、次
から選べ。
【寸)
E 繊細
玉 会
|新問六Q課題)本文で描かれる月の描写に関する次の会話を読み、空欄|:
:三
れぞれ指定の字数で補え。
Aさん 8行目に「明るすぎる月光」という表現があるね。この「すぎる」が気になるな。
【16点,:m8点]
問三 (文脈) 傍線部○とは、りくの場合どうすることか。そ
の目的を明確にして、三十字以内で書け。
i(十字以内)|から、そう表現しているのじゃないかな。月光
Bさん 月の光のせいで、
に照らされた庭が描写されている2段落の最後には「所詮、月の前の星」ともあるね。
Cさん 私は9行目の「指を当てれば冷たく皮膚を切り裂きそう」という表現も気になるな。
月の光って、たしかに温かいイメージではないけれど、そんなに冷たいものかな。
Aさん 図段落を見てみると、月と対比して「体の星屑」とあるね。Bさんの指摘もふまえる
と、りくは|a(三十字以内)という現実を重ねているように読み取れるよ。だから、
月の光は「明るすぎる」し、「冷たく皮膚を切り裂きそう」にも思えるんじゃないかな。
Bさん 月光を見る人物の心境が、月光の描写を通じて表現されているんだね。
問四 (表現)傍線部○の「仔獅子」の様子は、大三郎のどのよ
うな姿を表現しているか。最も適切なものを、次から選
く。
【n)
B 母の期待に応えられず、苦しむ姿。
E 母にも父と比較ばかりされ、絶望する姿。
D 母がそばにいることを感じ、安心する姿。
I 母に捨てられたのだと思い、悲しむ姿。
E 母の過剰な期待に嫌気がさし、憤る姿。
KレッシS