とも
言は神と偕にあり。
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言は神なりき。
(ここには言葉の本質が描き出されている。これは、人間にとって言葉なくしてはこの世界は何の意味もな
さず、言葉は人間の精神そのものである、という意味である。
前
ところで、まず最初に言葉があった、とはいったいどういう意味であろうか。
はじめ
はじめ
いのち
すべての始まりを宇宙の誕生に求めるなら、「太初にビッグバンありき」とでも言うべきだろう。あるい
はまた、人類の誕生をもってすべての始まりとするなら、 「太初に生命ありき」ということにならないだろ
うか。 確かに、自然界(または宇宙)の営みとしてはそうかもしれない。しかし、人間は、単に生命体とし
てこの世に生まれてきただけでは、「人間」とはいえない。それは動物の一種としての「ヒト」である。 「ヒ
ト」は「イヌ」や「サル」などと同じ動物である。動物にとって、世界の意味はそれほどフクザツなもの
ではない。そこには、種としての生命を維持していく上で有益であるか無益または害になるものであるかの
二つの意味=価値しかない。 言語哲学者の丸山圭三郎の言葉を借りれば、このような世界の構造は「身分け
「構造」と呼ばれる。 本能としての身体で世界を分けるからである。
一方、人間は「身」ではなく、「言葉」によっ
ことば
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