76 環境とバイオーム 日本のように雨の多い地域では, 植物の生育を制限する最大の
要因は温度である。植物の生育にはある限度以上の温度が必要である。ある地点において,
月平均気温が5℃以上の月に関してそれぞれの月平均気温から5℃を差し引いた上,年間
にわたって加算した値を,その地点の「暖かさの指数」とする。
この指数は,植物の分布を説明する指標として広く使われている。日本列島の気候帯は,
植物の分布上,亜熱帯,暖温帯, 冷温帯, 亜寒帯,寒帯に分けられるが,これらの分布の
境界にあたる暖かさの指数は, それぞれ 180, 85, 45, 15(単位は℃· 月)とされている。
右の表は,互いに緯度の似かよった中
部地方の3地点について, 月平均気温 地点
(℃)の近年の平均値を示したものであ
る。なお,C地点はある独立峰の頂上
付近である。
(1) A~C 地点の暖かさの指数をそれぞれ求めよ。また, 暖かさの指数から判断される各
地点の気候帯を,次のア~オからそれぞれ選び, 記号を書け。
月
1
456 78 9 10 11 12
2 3
A
3
3
6 13 18 21 25 27 22 16 11 6
ほう
B
-4 -4 0 6 12 15.19 20 16 9
4 -1
C
-15 -15 -11 -4 1
6
9 11 7 0 -6-12
ア.亜熱帯
イ、暖温帯
ウ,冷温帯
エ.亜寒帯
オ.寒帯
(2) A地点とB地点の植生は, それぞれどのバイオームに属すると考えられるか。
(3) 配述現在から約2万年前は氷期であったことが知られている。月平均気温が現在よ
り一律に7℃低かったと仮定すると, 当時, A 地点付近にはどのような樹木が生育して
いたと考えられるか。葉の特徴に着目し, そのように考えられる理由とともに述べよ。
(4) 記述 地球の温暖化によって, 将来仮に月平均気温が現在より一律に3℃高い時代が
来るとすると, C地点のある山では何らかの植物が絶滅すると予想される。それはどの
ような植物か。そのように考えられる理由とともに述べよ。
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(00 大阪大改)