がに
主体は変わ
に・・が」は係る用言との関係で考える
また、時を表す語句も独立させてみるとよい。そのような方法で次の文を読んでみることにする。
例題一
通解
②みんぶ たいふ あつまさ
これも今は昔、民部大輔篤昌といふ者ありけるを、法性寺
殿の御時、蔵人所の所司に良輔とかやいふ者ありけり。
よしすけ
とねり
だんの者、篤昌を役に催しけるを、「我はかやうの役はすべ
き者にもあらず」 とて参らざりけるを、 所司舎人をあまたつ
けて、苛法をして催しければ、参りにける。
これも今となっては昔のこと、民部大輔
篤昌という者がいたが、法性寺殿(=藤原
忠通)の御治世、蔵人所の所司(=役人)
に良輔とかいう者がいた。その者が篤昌を
労役にせきたてたところ、「私はこのよう
な労役はするはずの者でもない」と言って、
宮中に参上しなかった(篤昌を) 所司(良輔)
は人を大勢つけて手きびしく催促したの
で、(篤昌は)参上したのであった。
(宇治拾遺物語 六二)
解説
は時の表現。②は篤昌という者がいたということ。③も時の表現。 ④は良輔という蔵人所の役人がいたというこ
と。ここまでは、単に事情の説明である。⑤の「くだんの者」は、篤昌か良輔かはここまででは不明であるが、この
中に「篤昌を」と出るので、「くだんの者」は良輔で
⑥は篤昌が参上しなかったこと。⑦は良輔が舎人まで動員してきびしく催促したこと。 ⑧は篤昌があらがいきれずに
わかる。⑤は良輔が篤昌に労役を課したということ。
参上したこと。
こうしてみると、意味のまとまりを考えて読むことによって、大筋を捉えやすくなるということがわかる。 さて、
もう一つ大事なことがある。それは、一つの意味的まとまりには、原則として主体か主語にあたるものが一つ(また
13 第一講 逐語訳と内容を大づかみにする方法