ⅡI 化合物は分子式 C10H18 の環式不飽和炭化水素である。 G に水素を付加させると, 環
式飽和炭化水素が生成した。 G には不斉炭素原子が存在するが, Hには存在しない。
Gを金属触媒下で脱水素すると, 芳香族化合物 Ⅰ が得られた。 I は, 一置換芳香族炭化
水素に酸触媒下でプロペンを反応させることによっても合成できる。 Ⅰを触媒下で空気酸
化したのち硫酸で処理すると, 芳香族化合物Jと脂肪族化合物 K が得られた。Jは消毒
剤や医薬品の原料として用いられる。
I を KMnO で酸化すると, PET (ポリエチレンテレフタラート)の原料のひとつである
化合物 L が生成した。 また, G を KMnO で酸化すると, 不飽和結合が切断され*注3, カ
ルボニル基とカルボキシ基をもつMが生成した。 M は、 銀鏡反応とヨードホルム反応に
陰性であった。
Gに水を付加させると, 二種類のアルコールNとOが生成した。 これらのアルコール
をK2Cr2O7 の硫酸酸性溶液で酸化したところ, Nからは環状ケトンが生成したが, 0は
酸化されなかった。
*注3 一般に, アルケンを KMnO4 で酸化すると, 二重結合が切断されてケトンやカルボン酸が生成
する。
R1
R2
R³
H
KMnO4
R1
R²
I
問5 化合物およびKの名称をそれぞれ記せ。
問6 化合物 G, I およびNの構造式を
記せよ。
C=0 + R°COOH
なお, 不斉炭素原子には*印を付
それぞれ記せ。
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