-
細胞骨格は,微小管,アクチンフィラメント,中間径フィラメントの3つに分けられる。
細胞骨格は細胞の構造を支えるだけでなく,さまざまな細胞機能にかかわっている。微小
管およびアクチンフィラメントは,細胞分裂のときにそれぞれ重要な役割を果たしており,
(0チューブリンやアクチンの重合を阻害すると,正常な細胞分裂が起こらない。(2)アクナン
フィラメントは,細胞の外形が変化するアメーバ運動にも深く関与している。
多細胞動物の多くの細胞は,周囲の細胞や,コラーゲンなどを主成分とする細胞外トの構
造と接着しており、 これを細胞接着という。細胞接着の構造はいくつかの種類に分けられ,
隣り合う細胞どうしをボタン状に強固に結合する構造は ]とよばれる。
構成する 2というタンパク質には多くの種類があり,同じ種類の
の外側の部分で互いに結合する性質がある。「ののこの性質を維持するためには
③]が必要である。
して結合している。
0を
2]は細胞膜
0」では,
2
と中間径フィラメントが連結タンパク質を介
細胞骨格および細胞接着について調べるため,ヒト由来の培養細胞Xを用いて実験1お
よび2を,ニワトリ歴の網膜の色素上皮細胞を用いて実験3を行った。
実験1 図1の細胞)
色体数は 2n)の細胞周期は24時間である。
核(染色体数は2ヵ)
下線部(1)について調べるため, 次の培養皿A~Cの中で細胞X 細胞膜
を48時間培養した。
(培養皿 A)チューブリンの重合を阻害する薬剤を加えた培養液
(培養皿B)アクチンの重合を阻害する薬剤を加えた培養液
(培養皿 C)培養液のみ
実験2 細胞Xは, 化学物質Yに対して正の化学走性を示す。下
線部(2)について調べるため, 細胞Xのアクチンフィラメントを
蛍光物質で標識した(図2)。この標識された細胞Xを培養液の
入った培養皿に入れ,端においた細いガラスのビピペットの先端
から化学物質Yを出して細胞のようすを顕微鏡で観察した。
実験3 ニワトリの8~9日目の歴から網膜の色素上皮を取り出して細胞をばらばらにし,、
培養皿に入れて培養すると,1~2日後には細胞どうしが密着した細胞塊が形成された。
この培養皿から培養液を取り除いて3
を結合して除去する効果をもつ薬剤Zを加えて細胞のようすを顕微鏡で観察した。
問1 文中のの~③に適切な語旬を入れよ。
問2 実験1の結果について, 培養皿Cと比較して,培養皿AおよびBの中に正常では
ない細胞が観察された。それぞれどのような細胞か述べよ。また, そのような細胞がで
きた理由について説明せよ。
問3 実験2を始めてしばらくすると,細胞 (a)
Xの形が変わり, 化学物質Yのほうへ移動
し始めた。移動中の細胞とアクチンフィラ
メントのようすを表す最も適切なスケッチ
細胞質
図1 ヒト由来の培養細胞X
蛍光標識された
アクチンフィラメント
図2 アクチンフィラメント
を蛍光標識した細胞X
を含まない塩類溶液を入れ,さ
3
6
第1編 生命現象と物質
を前ページの(a)~(c)から1つ選べ。また, その理由について説明せよ。
問4 実験3について,以下の(ア)~(ウ)のような観察結果が得られた。このような結果が得
られた理由について, それぞれ説明せよ。
(ア)薬剤Zを入れる前の細胞塊では、細胞どうしが密着していた。細胞は,石畳の敷石
のような多角形であり,それぞれ少しずつ形が異なっていた。
(イ)薬剤Zを入れてしばらくすると、隣り合った細胞の間にすきまが見えるようになった。
(ウ)(イ)よりもさらに時間がたつと 細胞はばらばらになり,すべて丸い形になった。
「16 滋型匠+)