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41. 細胞周期
解答
1. (ア)… 4 (イ… 2 (ウ) 9 (エ)・・・5
問2. G2期からG, 期までに相当する時間。
解法のポイント
3.8時間
チミジンによく似た構造のデオキシウリジン (dU)にエチニル基を結合させたエチニ
ルデオキシウリジン (EdU) は, DNA 合成時に新たなヌクレオチド鎖の構成成分として
取り込まれる。
問1. 次の図は, 蛍光標識された細胞が、 細胞周期のどの時期にあるのかを経時的に
示している。 蛍光標識された細胞は, 赤で示した時期にある。 (ア) グラフは, 観察され
たM期の細胞のうち, 蛍光標識されている細胞の割合を示している。 処理後4時間ま
で標識された細胞がみられないのは, 標識時にS期にあった細胞がまだG2期にあっ
てM期に到達していないためと考えられる (図 ①~③)。 したがって, G2期は4時間で
あることがわかる。 (イ)処理後4~6時間までは, 標識された細胞の割合が増加してい
る。 これは, 標識されていないM期の細胞がしだいにG 期に移行するとともに, 標識
された細胞が次々にM期に移行してきたためと考えられる (図 ③~⑤)。 ここで, M期
の細胞のうち標識された細胞が100%になった時点は, 標識された細胞のうち最初に
M期に入ったものがM期の最後に達したときと考えられる(図⑤)。したがって, M期
は 6-42 (時間) であることがわかる。 (ウ)細胞周期において, 標識時にS期以外にあ
った細胞は, 標識されていない。したがって, 標識時にS期の最も初期の細胞がM期
に入った9時間後 (図⑥) 以降は, 標識されていない細胞がM期に移行してくるため,
しだいに標識されたM期の細胞の割合が100%から減少すると考えられる。 (エ)標識し
たS期の最後の細胞がM期に入るのが4時間後 (図③), S期の最も初期の細胞がM期
に入るのが9時間後 (図⑥) であることから, S期は9-45(時間) であることがわか
る。
(%)
①実験開始
②2時間後
XM期
M
細胞周期
細胞周期
0 2
456 911 (時間)
① ② ③3⑤ 6 7
チミジン類似体 (EdU) 処理後の時間
③ 4 時間後
XM期
2
細胞周期
M期の細胞の割合
蛍光標識された
100%
G2期
S期
⑥ 9 時間後
G₂
/G 期
M
細胞周期
G2期
S期
④ 5 時間後
GM 期
細胞周期
G 期
S期
⑦11時間後
/ G 期
G₂A
S期
⑤ 6 時間後
XM期
細胞周期
/G 期
S期
標識時にS期の最後
にあった細胞
G2期
OM期
標識時にS期の最も
初期にあった細胞
/G
細胞周期
G₁N
S期
SAA
問2. 標識されるまでに最も時間がかかる細胞は, G2期の最初にある細胞である。 この
細胞が EdU を取り込みはじめるS期までには, G2 期, M期, G 期を経る。 したがっ
て, G2 期, M期, Gi期の合計が14時間である。
問3. 問1と問2から, Gz, M, Gi期を合計した時間が14時間で、 (ア)からG2期は4時間,
(イ)からM期は2時間である。 したがって, G1期は14-4-28 (時間)である。
G₂A
G期
計算
41. 細胞周期 次の文章を読み、 下の各問いに答えよ。
ある動物の培養細胞では, それぞれの細胞が同じ細胞周期をもちながら, 同調せずラン
ダムに細胞分裂をくり返す。 この培養細胞について, 細胞周期の各時期 (G1 期, S期, G2 期,
M期) の時間を調べたい。そこで培養液中にチミジンの類似体(EdU) を短時間加え, 細
胞に取り込ませた。 この EdUの短時間処理によって, 細胞周期のさまざまな段階にある
細胞のうち, S期の細胞だけをすべて標識することができる。 短時間処理後,この EdU を
十分に洗浄除去し, EdU を含まない培地で培養を続けた。 そして適当な時間間隔で細胞
を採取し, EdUと蛍光色素を結合させ、
蛍 (%)
100-
0
EdUの取り込みによって蛍光を発する
細胞を蛍光顕微鏡を用いて検出し観察し
た。 培養細胞のM期の細胞は, 凝縮した
染色体をもつため識別できる。 そこで,
採取されたすべての細胞のなかからM期
の細胞を選び, そのなかでEdUによっ
て蛍光標識された細胞の割合(%) を調べ
たところ, 図のような結果を得た。
図から, 細胞周期のS期、G2期, M期の所要時間をそれぞれ求めることができる(ただ
し, S期の時間はM期より長いものとする)。 まず EdU の短時間処理によって EdU を取
り込んだG2期の直前の細胞, すなわちS期の最後の細胞に注目しよう。 この細胞は、 この
後, G2期の時間を経由してM期に入る。このとき, 蛍光標識された細胞が, M期に最初に
現れる。したがって, G2期は(ア)時間となる。 次に, S期の最後の細胞が, M期の最
後に到達したときを考える。 S期の時間がM期より長いことから, M期のすべての細胞が
蛍光標識されることになる。 したがって, M期は (イ) 時間となる。
4 6
9 11 (時間)
チミジン類似体(EdU) 処理後の時間
一方, EdU の短時間処理直後, G. 期を出た直後、 すなわち EdU を取り込んだS期の最
も初期の細胞に注目しよう。 この細胞がM期に入るのは, EdU の処理後 (ウ)時間を
経過したときである。 S期の最後の細胞が EdU 処理後 (ア)時間でM期に入ったこと
から, S期の時間は (エ) 時間となる。
*チミンとデオキシリボースが結合したDNAの構成成分。
問1. (ア) (エ)に適切な数値を入れて文章を完成せよ。
問2. 下線部について, EdU を加えたまま洗浄除去することなく培養を続けたところ,
EdU 添加後14時間ですべての細胞が蛍光色素で標識されるようになった。 この14時間
とは,細胞周期のどの時期に相当する時間か, 簡潔に答えよ。
問3. 問1および問2の結果から, G1期の時間を求めよ。
( 17. 北海道大)
ヒント
問2. 標識されはじめるまでの時間が最も長い細胞が, EdU 添加時にどの時期にあり, 標識されはじめるま
でどの時期を経るのかを考える。
れたM期の細胞の割合