ITパスポート 第7章

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ゲネス

ゲネス

今回の内容は、「システムの導入」です。

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ノートテキスト

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7-1,システムの構成
①システム
→これらを管理するコンピュータは個人で使うパソコンとは異なり、 それぞれの用途に
最適なハードウェア、ソフトウェア、ネットワークを組み合わせた特別なコンピュータ群
<システムの例>
・銀行の口座を管理するシステム
・図書館の蔵書を管理するシステム
②システムの構成
システムは、複数のコンピュータを接続して構成している。その構成方法には、1台の
コンピュータだけが処理をする集中処理と、複数のコンピュータに分散して処理
をする分散処理がある。
<集中処理と分散処理>
集中処理
・メリット
この1台で
すべてで処理する
処理をするのは1台だけなので、
(ホストコンピュータという。)
管理が楽
宮田
●デメリット
を行う。
ホストコンピュータに障害が発生したら
システムが停止してしまう。
分散処理
それぞれの
コンピュータ
が処理する
・メリット
どこかに障害が発生してもシステムは
動く。
・デメリット
管理作業が大変

ページ2:

③処理のタイミング
リアルタイム処理... 要求された処理をすぐに行う処理方法
バッチ処理
ある程度まとまったデータを一括して処理する処理方法
7-2 システム導入の流れ
①発注元とペンダ
新しくシステムを導入する場合、自社で開発する場合もあるが、多くは専門の
企業へ開発を依頼する。このとき、開発を依頼する企業を発注元、システムを
開発する企業をペンダという 。
・発注元はITの知識が不足していることもあり、ペンダに対してシステム化したい
業務を提示して、考え得る手段や現在の技術動向に関して情報を求める。
また、調達先として適切かどうか判断するため、ペンダがもう技術や経験
などの情報を求める。このとき提出する文書を情報提供依頼(RFI)という。
・導入システムの概要やベンダの調達条件、選定基準などを示し、具体的な
システムの提案書を求める提案依頼書(RFP)を提出する。
②共通フレーム
おたがいの認識にスレがあると、のちに大きなトラブルへと発展する危険があ
る。そのような場合に備え、システム開発の各工程における作業内容や用語の
意味などについて定めた、「共通の物差し」として利用できるガイドラインが用意
されている。これを共通フレームという。
③システム導入の流れ
「このようなシステムが欲しい」というシステムの構想から、システムが開発・
運用されて最終的に廃棄されるまでの一連の流れを、ソフトウェアライフサイクル
そいう。

ページ3:

D
企画プロセス
発注元企業の経営における目標や課題を分析し、それを実現・解決するための
システム化計画の立案を行う。そして、システムの投資効果を明らかにするほか、
開発に必要なコストやスケジュールを明らかにし、具体的な実施計画を策定する。
0
要件定義プロセス
利用者のニーズを調査し、システムに対する要求事項を分析・整理する。そして、それを
実現するためのシステム化の範囲と機能、性能、利用方法を明らかにする。
これを翌件定義といい。中でも、システムを使ってどのような業務の流れを実現したいのか
玄明らかにする案件定義を業務要件定義という。
開発プロセス
要件定義を基に、ペンタがシステム開発を行う。
・運用プロセス
システムを運用する環境を想定し、システムが利用者の要望どおりに動作するかを
確認する運用テストを行う。
7-3. システム監査
①システム監査と監査人
システムは導入して終わりというのではなくシステムにまつわるさまざまなリスクに対して、きちん
そした対策が整備・運用できているかどうかを評価・検証する必要がある。これをシステム
監査という。
システムの利用者がシステムを客観的に評価するのは難しいので、独立した立場の人に
評価を依頼する。システム監査を行う人をシステム監査人という。システム監査人は、システム
監査人は、システム監査業務の品質を確保するために、有効かつ効率的な監査業務
を実施するための基準を定めたシステム監査基準に基づいて監査を行う。

ページ4:

<システム監査の流れ>
①計画
②実施→③報告
④フォローアップ
①計画
監査の目的や対象、実施日程などを決め、システム監査計画を立てる。
②実施
「予備調査」→「本調査」→「評価・結論」の順に監査を実施する。
「予備調査」では、本調査を効率的に行うため、監査対象について事前
に調査する。「本調査」では、資料の確認やヒアリング、現場の調査を行
い、調査の証拠となる監査証拠を確保する。なお、監査を受ける側
である被監査部門は、監査人に監査対象システムの運用ルールを説明する
など、監査に必要な情報や資料を提示する。 「評価・結論」では、調査
結果を評価し、問題の有無を判断する。
③ 報告
調査結果をまとめた監査報告書を、システムを利用している企業の経営者に
報告する。発見された問題点については、企業側できちんと改善するよう、
指導・報告する。
④ フォローアップ
指摘した改善点について、きちんと改善されているかどうか評価し、必要
に応じて指導を行う。
7-4. システムの性能評価
①性能評価の指標
良いシステム…使いやすく、処理が速く、故障が少ないシステムのこと。
これらの基準をもとに、システムの性能を測るためのさまざまな指標が用意
されている。発注元とベンタが共通の指標で評価することによって、
発注側が求める性能と、ペンダが提供する性能の認識にズレが
生じるのを防ぐことができる

ページ5:

②処理の速さ
処理の速さを測る指標として、ターンアラウンドタイムとレスポンスタイム
(応答時間)がある。
ターンアラウンドタイム…システムに処理の要求を入力し始めてから、結果の出力
が終了するまでの時間
レスポンタイム…要求を入力し終えてから、結果の出力が始まるまでの時間
<ターンアラウンドタイムとレスポンタイム>
入力
開始 終了
レスポンスタイム
開始 終了
単位時間当たりにどれだけの
仕事量をこなせるかを表す。
スループットという指標を表す。
ターンアラウンドタイム
ベンチマークテスト・・・標準的なテスト用のシステムを用意して処理を実行し、かかった
時間などの結果と比較することで、システムの性能を評価
する方法
③稼働率
システムがどのくらいの割合できちんと稼働しているかを評価するための
指標として稼働率がある。これは、全運転時間に対してシステムが稼動して
いる時間の割合で求める。
なお、システムが故障してから一度復旧し、再び次の故障が発生するまでの
平均時間:つまり、ちゃんと稼動している時間の平均をMTBF(平均故
障間隔)、修理にかかる時間の平均をMTTR(平均修復時間)
という。
例) 稼動時間と故障時間が交互に40.10,50,20,30,15のとき、
全運転時間
故稼故 MTBF = 40+50+30
40
3
40.10
50
20 30 15
MTTR = 10+20+15
15
3

ページ6:

稼働率
MTBF
40
MTBF+ MTTRより、
40+15
≒0.73
→MTBFの値が大きいほど、また、MTTRの値が小さいほど、稼働率は高くなる
④直列システムと並列システム
・図のように、各装置を直線上に接続したシステムを直列システムという。
どちらか一つが故障すると、システム全体が稼動しなくなる。
―装置A装置B
装置B
直列システムの稼動率
稼動率=装置Aの稼動率×装置Bの稼働率
図工
例)装置 A,Bともに、稼働率が、0.9のとき、
0.9×0.9=0.81となる。
図工のように、各装置を並列に接続したシステムを並列システムという。
いずれか1つでも装置が稼働していれば、システム全体は稼働する。
A
そのため各装置の稼働率が同じ場合は、直列システムより並列システム
の方が高くなる。
【装置A}
並列システムの稼働率
装置 B
稼働率=ユー(ユー装置Aの稼働率)×
(1→装置Bの稼働率)
図工.
例)装置A,Bともに稼働率が0.9のとき
I-C1-0.9)×Cl-0.9)=0.99となる。

ページ7:

7-5 障害対策
①障害対策の考え方
障害対策には、様々な考え方がある。
・フェールセーフ
障害が発生したときに、発生する被害を最小限にとどめられるよう、安全性を重視して
対策を行っておくという考え方をフェールセーフという。
(例)信号機は故障すると赤になる
・大きな地震が発生すると電車は自動停車する。
・フェールソフト
障害が発生したときに、故障した個所を切り離すなどして、正常な部分だけで
稼働を続ける。システムが稼働し続けることを重視して対策を行って
おくという考え方で、フェールソフトという。
(例) 飛行機は複数のエンジンをもっていて、1つのエンジンが故障して
も残りのエンジンで飛行できる。
・フールブルーフ
ユーザが誤った操作を行っても、危険にさらされたり、システムが誤作動して
故障したりすることのないよう対策を行っておくという考え方をコールブルーフという。
例)電池は正しい向きでないと入れられない。
電子レンジはドアを閉めなければ、加熱できない。
・フォールトアポイダンス
システムの構成要素に高品質な部品を使用したり、十分なテストを行ったりする
ことで、システムがなるべく故障しないように対策を行っておく考え方を
フォールトトレランスという。
30)

ページ8:

・フォールトトレランド
システムの二重化などによって、障害が発生しても継続してシステムを移動できる
ようにしておく考え方をフォールトトレラントまたはフォールトトレランスという。稼働し
続けることを重視する点ではフェールソフトと同じだが、フェールソフトが最低限
の機能で稼働し続けるのに対し、フォールトトレラントは全機能で稼働
し続けることを目指す。
②システムの二重化構成
システムの信頼性を高めるため、システム障害に備えて予備のシステムを備える
こと、システムの冗長化という。中でも、予備システムを1つ用意して2系統で
構成することを二重化という。冗長化は、多重化などといわれている。
<二重化の構成方法>
・デュアルシステム
3つのシステムで常に同じ処理を行い、なおかつ処理結果をお互い参照して
処理が正しく行われていることを確認する構成をデュアルシステムという。
一方が故障しても、もう一方で稼働し続けることが可能。
・デュプレックスシステム
1つのシステムで処理を行い、もう1つのシステムは待機させておく構成を
デュプレックスシステムという。稼働中のシステムが故障したら、待機していた
システムに切り替えて稼働する。
将棋させておくシステムを、いつでも動作可能な状態にしておくことで、障害発生時
に直ちに切り替えられるようにしておく方式をホットスタンバイという。一方、待機
システムに準備だけさせおき、障害が発生した時点で起動して処理を切り
替える方式をゴールドスタンバイという。ホットスタンバイのほうが、運用コストが
かかるものの、サービスの停止時間が短く済む。

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・レプリケーション
待機させておくシステムは、レプリケーションという方法を使って、稼働システムと
同じ状態を保つことができる。レプリケーションとは複製(レプリカ)を作成
することである。はじめに、システム同士で違いのある部分のみを転送することで
データを一致させる「同士」という処理を行い、その後は更新情報のみを複製
システムに転送する。
・RAID
複数のハードディスクを組み合わせて1台のハードディスクとして利用する技術
をRAIDという。複数のハードディスクに分散してデータを書き込むことで、処理
玄高速化できるほか、どれか1つが故障してもほかのハードディスクが使える
ので、障害対策にもなる。
・クラスタシステムとグリッドコンピューティング
複数のコンピュータを連携させ、1つの高性能なコンピュータとして利用する
システムをクラスタシステムという。1台が故障しても、システムを稼働し続けることが
できる。中でも、LANやインターネットなどのネットワークで複数のコンピュータ
を連携させるなど、規模の大きなものをグリッドコンピューティングという。
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