✨ 最佳解答 ✨
契約について講義するあるアメリカ人の教授が以下のように述べた。
「伝統的に、懲罰的損害賠償は契約不履行としては扱えない。契約の救済措置の目標は、諾約者への履行強制よりもむしろ不履行について受約者を補償することにあるからだ。ホームズ裁判官はThe Common Lawで述べた。
法的に履行義務のある約束に対する唯一の普遍的な論理とは、約束している事象が実現しないならば法が諾約者に損害賠償を支払わせる、というものである。
すべての場合において、契約履行期限が過ぎ去るまでは法は諾約者に干渉しないし、選択しだいでは契約を破るのも自由だ。
契約における懲罰的損害賠償に反する規定についての元々の理由は不明瞭ではあるけれども、法律や経済の学者たちはefficient breach(効率的不履行)という理論において、ひとつの現代的正当化を与えた。ポスナー裁判長が言っているように、『ホームズの見解は重要な経済学的洞察を含んでいる。多くの場合、契約履行の完成を促すことは非経済的である。』ある製造業者がAとの契約を破ってBに販売をすることにより、Aの損失に対する補償をしてもなお利益があるのであれば、この製造業者はそうするべきだ。この業者は一層稼ぐし、Aも損はしないし、製品も一番高く評価してくれるBになって落着するわけだ。製造業者は懲罰的損害賠償に対する責任を負うべきではない。なぜならば『被害者への違反費用よりも契約違反者への違反費用のほうが大きくなるため、違約金はefficient breachを阻害する』からだ。efficient breachは、いまでは契約不履行に対して懲罰的損害賠償が科せられないことの標準的な理由付けになっている。The Restatement of Contractおよび多くの契約判例集や論文は、efficient breach理論を拠り所としてなぜ懲罰的損害賠償が許容されないのかを説明している。法廷もだんだんとefficient breach理論を採用して契約不履行に対する懲罰的損害賠償を否定する判決を正当化するようになってきている。
法律は私の専門ではないので、教養で知ったことを頼りに訳してみました。最後のほう?は私もよく意味がわかりません。inefficient performanceがどういう意味か調べてみてください。
新幹線での移動中のよい暇つぶしになりました。
懲罰的損害賠償についてのefficient breach論に関する2つの基本的な問題がある。ひとつめは、efficient breach論は日和見的な契約不履行 - 違反当事者が非違反当事者の費用負担で金を得ようと交渉するような例だ - を懲罰的損害賠償から保護する理由を与えないことだ。ポスナー裁判官が認識しているように、諾約者が日和見的に違反するときには、『我々は諾約者に契約書を投げつけていい。そんなやり方には経済的正当性はないから、明らかに阻止されるべきである』しかし、多くの法廷は懲罰的損害賠償に対する規約を諾約者に適用し、単なる不本意不履行およびefficient breachだけでなく、日和見的不履行も保護している。皮肉なことだが、efficient breach理論を判決の支持として拠り所にする間はそのようなことも起こっていまっているのだ。
ふたつめは、より基礎的なことであるが、諾約者が不履行により予測賠償額だけを支払うのを許すということが、非効率を回避するための一番効率的なやり方ではないということだ。懲罰的損害賠償の脅威にさらされながらAと契約をしている製造業者を服従させるには、非効率な履行は要求されないだろう。不履行という一方的決定よりもむしろ解放を選ぶためかの交渉をすることになるだろう。そうした交渉を強制する規約は、ある当事者が違反して他の当事者の承認なしで損害賠償支払をしたりする規約よりも実効性をもつ傾向にある。なぜならば期待する損害賠償を実現する訴訟に必要な費用よりも、この交渉費用のほうが小さくなりがちだからだ。