ノートテキスト
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「ジャパン 80年代 1965 バーワン」「ダ (高3・現代丈) 小説 私の個人主義」となるものあり - センター対策 - 次の文章は、藤周作の小説「留学」 昭和四十年刊)の一節である。フランスに留学中の仏文学中は、ある日、 懐かしさからパリでただ一軒の日本料理店に入り、スキヤキと日本酒を注文する。すると、そこに留の恋人たちがやって来 る。本文はその後に赴く場面である。なお、同日中の友人で、 後の問い(1~6)に答えよ。(配点 50) 思い、国をなくされている。これを読んで、 の一人が、笑いをうかべながら声をかけてきた。 コンプレックスを下敷きにした 懸命さ 「なにが······ですか」 「田中さん。あんた、そう思いませんか」 [ 「ええ」 向坂君の中には、西洋にたいする、つまらんコンプレックスがあると思うけどなと角力にならない。無媒 現をあげて周りをみまわすと、じれている小説が酒のためか、濁ったで自分をじっと眺めていた。言い争いをした くはなかった。いつかモンパルナスでやったようにむきになって、自分までが在留邦人から嫌われたくはなかった。 「でも、彼は…」 と彼はあたりさわりのない言葉を探して「この国と四つに取り最もうとしていたんでしょう」 当人だけのつもりなのは」大津のをかけたが力である以上、同じ体格、同じルールで試合せね ばならん。しかし、ぼくらと百人とは本質的に違うところがあるでしょう。 仏文学者のあんたなら否定されるかも知れん が………いや、待って下さい。 ぼくらはこの国に来て、自分たちと本質的にちがうものがわかっただけでもだと思っている。 だから、我々はこの国にいつまでも残る必要はないと考えてるんだ」 「でも」田中はのにじみでた宿であげながら「坂君はこの国を自分の力で及ぶりんしめてから、結論を出そう と思ったんでしょう。 それを四つ角力と考えたのでしょう」 「その四つ角力の結果がどうです。 僕は地面に叩きつけられて肺になったというわけか。少し特精神がありすぎるね」 そんな言い方はよしましょう」 田中はさっきのをつい忘れて、ひきつった声をあげた。「一年二年の留学で、日本 人と仏国百人との本質のちがいがわかるものか、君はそういう方がじゃなかったんですか」 「 だなこれは、一年や二年の留学。しかし十二十年、住めばこの国の文化の実体が勧めるというのもじゃ ないかな、さんがいい例だ。この人は巴里に十二年残っている。ぁ、モンマルトルに来た一定は才能もあった画家だっ たんですよ。それが結局、日本から来るシャンソン歌手やデザイナーの通訳になりさがってるんだから。この黒には、日本 人ではなくても同じようなアメリカ人やブラジルの国家の者がうようよいるんだな」 のの男に説明されなくても、この巴里には、あまり長く居すぎたために生活だけではなく、精神までもちして はった人間たちのいることは田中にも想像できた。そのという家にはまだ会ったことはなかったが、この間話をした小 みじめな姿が心に浮かびあがってきた。 「君は、それを考えてないんだよ」 が、から口を入れて という家にはぼくも会ったけどね、もう目ですよ。人は天才気とりだが、その絵はひどいもんだ。田中君、この 間、君に紹介した小原のことだって組んでますか」 10° 巴里にくとどまっている 「ああいう人間は、船のような小説家の好奇心は創出するが、人生ではあれほど情なもんはないね。田中君、なぜ、邦人 いう連中が、みすぼらしい姿になったか、考えたことがありますか」 田中はったまま上のを見つめた。つまった牛肉が赤くなって鍋の底にひっついていた。なぜ、その牛肉 から、彼は急にこの間、病院でみせられた向のレントゲン写真をしたのかわからない。レントゲンにうつった白色の 空は、今、鯖の底に残っているのに似ていたかもしれぬ。 はこの国でまあ、一流品に接するわけだ。何十年に一人という天才がつくった一流の絵や彫刻を巴じゃこの目でみる ことができる。それらは等を刺激するが・・・やがて少しずつや不毛にさせるんだねえ」
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真鍋の見 自分は 帰国をきめた 気は 同じことを 勧めたい [定する こととは別だった 1 真鍋はこの間とは違って、しんみりとした調子で語りだした。若い画家たちもって耳を傾けていた。 「自分も一流品を銀りたいという欲望はだれだってあるだろう。しかし、俺たちの中にはどう努力しても一流になれぬ二流の 人間がいる。二流の者には一流の芸術品を生かかってもいればぜん。 これはほとんど信に似たものだ。寂しいけど、自分 せねばならんものだよ。巴里というのは俺の短いでは自分がどの程度の才能があ が二流である場合、それはいつか、 か ほど見せつけてくれる街だよ。自分の才能界やがここに来てわからぬくらいなら、それは何という だ。そんな鈍感な道中がモンパルナスやモンマルトルにうようよいるよ。だがね。 こいつらはやがて優持をうけるんだ。二流 くせに一流の生き方をしようとした復讐を受けるんだ」 m 酒に酔った顔をあげながら真は口しそうにこの言葉を吐きすてた。まるで彼自身が流の作家であることを、巴里で自 ざるをえなかったそんなしみがあった眼に一時キラッと光った。だがその哀しみの光に気づいたのは田中だけで、真 が向を皮肉っているのだと思っている若い家たちはむしろ二人を好奇心にみちた視で見くらべていた。 「そんなに俺は実人生では受けたくないよ。少なくとも巨や小原のような人間になりたかあないよ。だから得るのさ。 あまり俺はこの間、君がいつかモンパルナスではっきり言ってくれたように、仏蘭西の小説家に比べれば、三流の作家だろうよ。 実人生で、これは皮肉でじゃないからな。俺だって、この巴里でそのくらい考えた。けれど僕は君にも同じことをいた を受けたいな。そりゃあ、病気は気のだったよしかしにとって、この病気はよかったかもしれんのだ」 2 しかし、わかるということと、足下ることは別だった。酔ったまま、彼 田中は、実の言いたいことが、よくわかった。 火のえた自分に限をおとしていた。 気の毒だが、「向坂君も、栄養のために日本に戻るだろう。やがて病気が治れば、彼は日本での仕事をするだろう。彼は日本でここの たちから見ればした生活を送るかもしれん。 日本で一流となっても、なるほど巴のそれに比べれば三流の作品し 病気を ひ倒れぬかもしれん。しかし、ここで自分の才能を信じてみじめに来てるのと、三流でも三流なりに自分の才畑をともかく、 生かしたのと、どちらが幸福かなあ」 (注) 田中はあの病院のことを考えた。あの日、がふって病院にいく途中、車の窓にびたっと押しあて、ルーブルやコンコ ルドの白い広場を食い入るように見つめていたのを思いだした。 しかし、一つの寂しさが生置、向堰君につきまといますよ」なぜかついた半ばり帰国となる 「当然じゃないか」 真鍋は色に周りの客たちがいてより向くほどの大声をあげた。「甘ったれたことを言うな。三流の者は自 ・分が一流ではないという寂しさを生涯もたねばならぬ。それは当然のことじゃないか」 「そうでした」 田中はうなずいて素直にあやまった。「ぼくの失言でした。取り消します」 いたちは、やりこめられた田中に小さな笑い声をたてたが、真はそれらの画家をむように見て 「田中君、気を悪くするなよ。この連中は何もわかっちゃいないんだから。しかし、今君はぼくにあやまったけど、君たち外 国文学者にはその二の寂しさがどこまでわかってるのか。俺は疑わしいよ」 「そうでしょうか」田中は少しムッとして言いかえした。 「この間も、ぼくは真さんと同じことを誓いあいましたね」 (3) 「君たちはヴァレリイを訳する。すると、君たちはまるで自分がヴァレリイと同じ一流の人間だという気分になっている。カミ はこう言った。サルトルはこう言っている。そして自分もそれと同じ意見であるかのような物の甘い方をする。外国文学者の エッセイにはいつもその笑いが鼻につくんだ。しかし、外国文学者はカミュじゃない。 ヴァレリイじゃない。外国文学者の環 脳はそんな一流の芸術家並みじゃない」 「認めますよ」 「いや、口だけでぼく かっていないんだ。 俺たちを三とすれば君も三流だぞ」 しなさんな。田中君はわかっていないんだ。自分が九官鳥であるという哀しさが、本当にわ 三流の人間だから一流の芸術家を懸命に読んでいるんです。 それが外国文学者だと思ってます」 「そうか。 しかし、それが君に自分の残酷な運命として受けとめられた時、と君とは話しあえるだろうな」 真顔は、しばたたきながら、ゆっくりと呟いた。 3 サルトル (注)1 ヴァレリイ フランスの詩人・批評家・思想家 (一八七一~一九四五)。 2 カミュ フランスの小説家・作家(一九一三~一九六〇 フランスの哲学者・小家・劇作家(一九〇五~一九八〇)。 (2)
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Nº 2 1 部~のは、本文中でどのような意味に使われているか。最も適当なものを、次の各群の から、それぞれ一つずつ選べ。解号は 1 のうち ① 差し障りのない のあたりさわりのない 2 相手にされないような 相手を刺激しないような当な 相手を怒らせないような一般的な 相手をそこねないような ③相手の気をひかないような平凡な 何の麺 悲しみに包まれたように 作るとこうな 落したように に 何も感じないように 実りがないように 身動きがとれない戦い 劣等感をもつように 四つ角力 自分の力のみをりとした戦い 意地でも引き下がれない戦い 育たないこと。 互いに真正面から取り組んでの戦い 同じ身体能力や規則に基づいた戦い 不毛…土地がやせていて木や作 転じて、一般に成果の実らないこ 「田中はさっきの抑制をつい忘れて、ひきつった声をあげた。」とあるが、それはなぜか。 そしても なものを、 ③のうちから一つ選べ。解答番号は1 若い画家たちが、フランス人と日本人の本質的な違いを述べる際に、「力」「特攻隊精神」という日本独自の事 に結びつけて、友人である白堰のフランスに対するコンプレックスを暗に皮肉ったことに対して、同じ日本人とし どうしてもってはいられなかったから。 田中もということになる 若い同家たちが、フランズに対する向坂のコンプレックスをつまらないものだと断定するとともに、懸命にフラン 文化に立ち向かおうとしているその態度を身のほど知らずの行為だと非難したことに対して、二の親友としてな んとしても坂をかばうべきだと思ったから ③い画家たちが、数年間のフランスでフランス人と日本人との本質的な違いがわかったかのようなもの買いを し、向の真剣な態度を日本人のコンプレックスからでた行為だと批判したことに対して、自分自身の問題と してもせずにはいられなくなったから。 ⑤ 若い画家たちが、フランス人と日本人との本質的な違いについて軽々しく口にし、友人でもない向の捨て身の 西洋へのコンプレックスから生じた単なる独りよがりだと決めつけていることに対して、思わずしての 邦人に嫌われてもかまわないと判断したから ... 国家たちが、両のフランスへの真面目な取り組みを西洋へのコンプレックスからくる捨てばちなだと当 日本人はフランス人とは本質的に異なるということを理由に早々と帰国しようとしていることに対して、 その無さを糾弾せずにはいられなかったから。 「つまった牛肉が赤くなっての底にひっついていた。」とあるが、この表現の説明として最も適当なもの の 10 のうちから一つ選べ。解答番号は はじめから才能がないにもかかわらず、天才気とりで気盛んなりをする芸術家の姿を暗示している。 に巻き込まれたため抑制を忘れてしまい、思わず興奮してしまった気持ちのたかぶりをして表している。 長いればその国の文化の実体がめると錯覚した結果、病にたおれてしまった家の姿をとして表している。 人生ではみすぼらしくはなっているが、芸術家の好奇心を刺激してやまない在留邦人たちを皮肉っている。 英国の地にあまり長くいすぎたため、生活のみか精神までももち崩してしまった日本人の姿を象徴的に表している。 4 「田中は、真の言いたいことが、よくわかった。 しかし、 わかるということと、肯定することは別だった。」 とあるが、このときの田中の心情の説明として最も適当なものを、次の のうちから一つ選べ。解答番号は7 自分が三流の芸術家でしかないとわかった今、これ以上芸術にかかわっても何の意味もないということはよくわか るが、だからといって、それを他のフランス在留邦人にまで押しつけることは承知しがたいと思っている。
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5 ⑤ のを、次の いる。 いる。 のこと フランスの家に比べれば自分たちが三流であり、一流の生き方をまねて人生から復を受けても仕方ないとい うことはよくわかるが、だからといって、そのまま引き下がるのは納得しがたいと思っている。 フランスの小説家と比べて自分を三流の小説家呼ばわりしたり、友人の病気を気の毒に思っているということはよ くわかるが、なぜ理由もなしに友人が病気になってよかったかもしれないと言うのか理解しがたいと思っている。 ④自分をフランスの小説家と比べて三流だと規定し、みじめな姿の在留邦人とのかかわりを避けて帰国しようとする ことはよくわかるが、すべての在留の芸術を三流だと決めつける態度には賛成しがたいと思っている。 才能の限界をわきまえずに一流ぶって暮らしている在留邦人の芸術家がフランスにたくさんいるということはよく わかるが、いずれらは人生から勢を受けることになるという考え方は承服しがたいと思っている。 最も適当なも D「自分が九官鳥であるという哀しさ」とあるが、「九官鳥」とはどのようなことを指しているか。 このうちから一つ選べ。解答番号は 18 流の芸術家の意見をまねているだけなのに、それを自分の考えだと取り違えて口先だけで相手を誤魔化している。 外国文学者のこと。 自分は三流でしかないのに、一流の芸術家の意見をまねてそれを自分の考えであるかのようにものを言っている外 文学者のこと 外国の一流の芸術家たちの意見を自分の意見だと考え、自分の頭脳まで一流になったと思い込もうとしている外国 文学者のこと 自分が三流であることを知りながらも、そのことに気づかない振りをして一流の芸術家の理解者ぶっている外国文 フランスの一流の芸術家の意見を口先でまねするだけで、日本人としての考え方や独自の個性をもっていない外国 文学者のこと。 MG の言動からうかがえる真についての説明として、最も適当なものを、次のうちから一つ選 号 一流の作品を創りたいと願いながらも一方でそれが不可能なことにも気づかされた真は、自分の才能がそれだけ ものだと自認せざるを得ないとは思うが、まだ充分に納得できないでいる。 そのために、自分より才能がないと感 じられる他の在留邦人の芸術や外国文学者が一流ぶっていることに対して、彼らを否定するようにして 一流の芸術作品に接することで、逆に一流の芸術作品を生み出せそうもない自分の才能界を痛感した真は、 楽しみに打ちのめされて早く帰国しようと考えている。それだけに、フランス人と日本人との本質的な違いもわきま えず、フランスで一流の芸術家になろうとしている在留邦人や外国文学者に対して皮肉を言わずにはいられないで 青年 一流の芸術作品はフランスの芸術家からしか生まれないということを見せつけられ、自分の才能のなさを痛感させ られた真は、フランスで三流で生きるよりも日本での一流の生き方を選ぼうとしている。そのために、フランスで 一流になろうとしている日本の芸術家や外国文学者に対して寂しくとも三流なりに自分の才能を発揮するよう勧め ている。 フランスに来て一流の芸術家の作品に接した真鍋は、才能の限界を思い知らされ、誰でも自分が一流の小説家では ないことを自認せざるを得ずその寂しさに耐えようとしている。それだけに、一流ぶって人生を無駄にしている無 自覚芸術家たちや自分を一流の芸術家であるかのように錯覚している外国文学者に対するいらだちを隠せないでい フランスで自分の才能の限界や運命を痛いほど自覚させられて自自楽になった真は、当地で一流を目指して突 人生に復讐されることよりも、たとえ落しても三流は三流なりに日本で自分の才能を試そうとしている。それだけ に、自分の才能を送信してフランスで安開とした生活を送っている人の芸術家たちに対して怒りをあらわにしてい 眼 言葉
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