続く。
の
Ⅱ 河川や土壌などの環境中には、そこに生息する生物の排出物や遺体, はがれた体表組織
の一部などに由来する多くのDNAが含まれている。 このようなDNAを「環境 DNA」と
いう。現在では,環境DNAに含まれる生物種特有のDNA 領域 (DNA バーコード)を増
幅して網羅的に解析する「環境DNA メタバーコーディング」という手法が開発されている。
これにより、 直接生物を捕獲することなく、その地域に生息する可能性のある生物種をま
とめて把握することができる。
たとえば,ある地域で魚類について環境DNAメタバーコーディングを行う場合には、
いくつかの地点で採水を行い,その中に含まれるDNAを抽出した後、特殊なプライマー
を添加してPCR法を行い、DNA バーコードとなるDNA断片を増幅する。この増幅され
た DNA断片を次世代シーケンサー(多数のDNA 断片の塩基配列を同時に決定すること
とす
ができる装置)にかけ/ 魚類の塩基配列データベースと照合すること
断片がどの種に由来するものかを解析できる (図4)。
それぞれの DNA
目
|ATATTGGACAT
採水
DNAの抽出 増幅
ATTTTGCACAG
ATATTGGACAT
CTGGTGCACAG
CTGGTGCTCAT
CTGGCCCTCAC
ATTTTGCACAG
CTGGTGCACAG
CTGGTGCTCAT
[CTGGCCCTCAC
ATATTGGACAT
ATTTTO
CTGGTGCTCAT
CTGGCCCTCAC
データベース
との照合
CD
[ATTTTCCACAG
図4 環境 DNAメタバーコーディングを模式的に示したもの
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