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1学期は、「近代化と私たち」という大テーマの下で「中国の開港と日本の開園」、「産業革命」、「市民革命」「明
治維新」という4つのテーマを扱ってきました。こうした4つのテーマの共通するテーマが「近代化」ということにな
ります。
しかし、「近代化」とか何を指すのでしょうか。 「近代化」ということを探るまえに、「近代」の考え方を1つだけ挙げ
ておきます。 様々な意見があるとはいえ、 近代とは 「17 世紀のヨーロッパに端を発する生活様式、および社会制
度」であると言うことが出来ます。 そこでまずヨーロッパで起こった事象から目を転じてみましょう(1
18世紀イギリスで起こった産業革命は、 [① 手
う。特に[②綿
]工業から機械制工業への変化が挙げられるでしょ
] 工業の分野での技術革新は、その典型例と考えられます。第二に、こうした技術革新が、
人々の身分を再編していきます。 人々の一部は機械を備えた工場の [ ③
人々は工場で働く [④
] へ、 そして大半の
命ですが、近年着目されているのはエネルギー革命の側面です。産業革命期に発見されたのは [⑤
] へと階級分解していくことになります。こうした変容が行われた産業革
などの鉱物資源です。 こうした鉱物資源の活用が想像を絶する人口増加と経済活動が可能となり、空前の規模
での経済成長を促しました。
近代化という視点から産業革命を捉えなおせば、それまでの前近代的な世界では様々な自然的制約によって
人々の日常生活は制限されていました。 しかし、産業革命はそれを解き放ったと言えます。 例えば、人々が売買
を行う場としての市場というものがあります。 前近代にも市場は存在しましたが、それは局所的な市場であった
り、ローカルで因習的な規範によって縛られた市場であったりしました。 他方、 産業革命を経た市場は様々な制
約から解き放されると同時に、 市場自体のルールで運営される自律的な市場が形成されることになりました。言
い方を変えれば、 市場自体が適正なルールを持ち、そして広い範囲で市場が広がっていくということになります
(2)。 それはひとつの国や地域がその国や地域のみならず広く、モノやカネを交換する市場を求めるということつ
ながるのです。
]や[⑦
18 世紀後半, [⑥
この2つの革命も様々な見方があります。 歴史総合では、アメリカ独立宣言やフランス人権宣言に焦点を当て
]に代表される市民革命がおこります。
その根底にある視点を「人は、[⑧
]かつ、 権利において[⑨
いった点が共通する点でもありました。 いずれも「暴政」に抵抗するために人々が前近代的な因習にとらわれた
] なものとして生まれ・・・」 と
身分制から解き放たれ、 自由で平等な個人からなる社会を成立させようとした点が共通していると考えられます。
そしてこの点にこそ、 近代化の方向性が示されています。 そして次に問題になるのが、 自由で平等な個人という
単位を成立させて近代社会が、 次にどのように人同士の結びつけるかといった点になります。この点が顕著にな
るのがナポレオン退位後、ヨーロッパの秩序と安定を模索した [1
]体制下におけるヨーロッパの
した人々は、 共通のアイデンティティを持ち、 [13
動きです。 そこでは個人として成立した人々が、 共通のアイデンティティをもつ集団として [①
ばれ、こうした国民からなる国家を [1
」と呼
]と呼ぶようになりました。 前近代的な身分制から脱却
]といった国への愛着を持つことを基盤とし
「
] へと再編されていったのです。
しかし、近代はすべての人々を自由で平等な個人として扱ったわけではないことを、ここでは改めて指摘して
おきます。これは現代社会が抱える様々な民族問題や性的少数者の問題が、 近代の負(マイナス)の側面を照ら
しだしたのです。アメリカ独立宣言において書かれている「人」は、ネイティブ・アメリカン(インディアン)や [14