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じゃん
(香川・改) (50点=105点×2 120点 他は100点×2)
思考で、「当たらずとも遠からず」の判断になる場合もよくある。(1)
の判断はまったく偶然のレベルである。 これら三つの形の「直観」は、
まったく違う種類の思考というよりは、判断の拠り所となる背景の
知識のありかたが違う思考と考えたほうがよい。豊富で精緻な知識
を持っていれば直観の精度は上がり、 「ひらめき」になる。 知識が
ないところで直観に頼れば、 「あてずっぽう」 になってしまう。
(今井むつみの文章より)
*①~⑨は段落番号を表す。
1 「科学的思考ができるようになる」とあるが、科学的思考とは、
どのようなもののことであり、どうすることを目的としたものだと
筆者はいっているのか。 それを説明した次の文のA・Bに入る
言葉を、第3段落の中からそれぞれ十五字以内で抜き出しなさい。
・科学的思考とは、Aのことであり、Bことを目的とした
もの。
②「「体で覚える」ことによって初めて体得できるのである」とある
が、これは、どのようなものをどうすることによって、批判的思考
を体得できるといっているのか。 「知識」 「経験」という言葉を使っ
て、三十字以内で書きなさい。 ただし、文末は「…こと。」 の形で
書くこと。
3
「この「矛盾」」 とあるが、筆者は、どのような点を「矛盾」といっ
ているのか。 次の文の
「批判的思考」 「直観力」
に入る言葉を、
という言葉を使って、六十五字以内で書きなさい。
・学びの達人になるためには、□点。
44 「判断の拠り所となる背景の知識のありかたが違う思考」とあ
るが、知識のありかたと直観の精度はどのように関係しているか。
四十五字以内で書きなさい。
国語 文章中の言葉を使って! 記述問題
テーマ別問題
説明的文章の記述問題 次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
① 科学を学習する目的は、発見された「事実」を覚えることでは
3
ない。今日覚えた事実や理論が、 一〇年後には棄却されているか
もしれない。
2 科学はデータをもとに論理を組み立て、理論を構築するプロセ
スである。 では、「科学を実践する」ために、子どもは何を学ば
なければならないのだろうか? 学校で理科の時間などで実験
をし、データをとり、分析する、という学習はしているだろう。
しかし、それらは「科学を行う」ための要素に過ぎない。科学的
思考ができるようになるために必要なのは、むしろ、理論の検討
のしかた、仮説の立て方、仮説の検討のための実験のデザインの
しかた、データの解釈の仕方、 結論の導き出し方、 などの論理を
組み立てるスキル(技能や技術)なのである。
3 もちろん、ここでいう「科学」は自然科学に限らない。 心理学
はもちろんのこと経済学、法学のような社会科学も同じだ。 さら
に敷衍 (おし広げること)すれば、どのようなことであれ、単な
る好き嫌いではなく、理にかなった意思決定をするために、論理
構築スキルに則った思考が必要である。
④ いま、いたる所で 「批判的思考」ということばを聞く。 しかし、
批判的思考の定義に関して、ほとんどの人はあやふやな考えしか
持っていないようだ。
⑤ 批判的思考とはつまり、科学的思考と基本的に同じで、ある仮
説、理論、 あるいは言説を、 証拠にもとづいて論理的に積み重ね
て構築していく思考のしかたのことを言う。単に「感情にとらわ
れず客観的にものごとを考える」とか「多角的に物事を検討する」
ということではないのだ。
⑥ このような科学的思考、 批判的思考のバックボーン(思想・信
条等を支えるもの)になっている仮説検証のプロセスと理論構築
のプロセスはもちろん、本で読んだだけ、あるいは誰かに説明さ
れただけでは理解できない。 知識を構築していく実際の道筋がわ
からないと、様々な仮説を適当に立てるだけで終わってしまう。
自分で仮説を考え、実験をデザインし、データを取って分析し、
吟味し、論を構築し、それを評価する。 「批判的思考」はこのよ
うなプロセスを何度も繰り返し経験すること、つまり、「体で覚
える」ことによって初めて体得できるのである。
とくちょう
批判的思考は学びの達人になるためにとても大事で、最近は教
育界のキーワードになっている。他方、熟達者の特徴は鋭い直観
力にあることも、誰もが認めるところである。 批判的思考を重要
視するということは直観的思考をどれだけ排除できるか、と考え
られるのに、この「矛盾」はどのように考えればよいのだろうか。
⑧ じつは「直観」ということばは、いくつかの意味合いを持つ。
三つの形を考えてみよう。
(1) ある状況で何がしかの判断をするとき、知識がないときは、
コイントスのように適当にするしかない。
(2) 子どもが単語の意味を考えるとき、「形ルール」 (形から判断
しようとすること)のようなスキーマ (外界を認識するときに
使われる知識の枠組み)に沿って、その場ですぐに初めて聞い
た単語の意味を考え、その単語が使える範囲を決めてしまう。
(3) 将棋の達人は、次の一手についてあれこれ可能性を考えなく
ても最善の一手が頭に浮かぶ。
いっぱん
⑨ (1)から(3) はすべて一般的には「直観的思考」と考えら
れる。 しかし、その判断の精度や質はそれぞれ異なる。(3) は
非常に精度が高い判断。(2) はいわゆる「スキーマ」に頼った