<栃木県〉[10点×3]
次の文章を読んで、あとの各問いに答えなさい。
昔、孔子に、一人有って来帰す。孔子、問うていはく、「汝、何を以て
かつて我に帰する。」かの俗いはく、「君子参内の時、これを見しに、
題々として威勢あり。 よって、これに帰す。」 孔子、弟子をして、乗り物・
ざいもつ
装束・金銀・財物等を取り出だして、これをあたへき。 「汝、我に帰する
にあらず。」
かなへどの
さう
また、宇治の関白殿、ある時、鼎殿に到つて、火をたくところを見る。
鼎殿見ていはく、「何者ぞ、左右なく御所の鼎殿へ入るは。」といって、追
ひ出されて後、さきの悪き衣服を脱ぎ改めて、顒々として取り装束して
出て給ふ。時に、さきの鼎殿、はるかに見て、恐れ入って逃げぬ。時に、
殿下、装束を竿に掛けられて、拝せられけり。人、これを問ふ。答へて
いはく、「我、人に貴びらるるも、我が徳にあらず。ただ、この装束の故
なり。」
愚かなる者の人を貴ぶこと、かくのごとし。
しょうぼうげんぞうすいもんき
(「正法眼蔵随聞記」より)
*来帰す… 弟子入りするためにやって来た。
*君子参内の時… 孔子が王宮に参上する時。
ふじわのよりみち
宇治の関白殿・・・藤原頼通。 平安時代の貴族。
*鼎殿…湯を沸かす所。また、そこに勤める役人。
*左右なく・・・断りなしに。
ぎょうぎょう
三
*俗・・・世間並みの普通の人。
*顒々として・・・おごそかな様子で。
*取り装束して・・・装束を身に付けて。
17.0%
—線部 1 一見し」
人物の組み合わせとして適切なものはどれか。 次のア~エから一つ選
び、記号で答えなさい。
イ 孔子―鼎殿
ア孔子宇治の関白殿
ウかの俗 宇治の関白殿
エかの俗―鼎殿
――線部 ③ 「はるかに見て、恐れ入つて逃げぬ」 とあるが、「鼎殿」
は何を見て逃げたのか。 二十字以内の現代語で書きなさい。
次の漢文と解説文を読んで、あとの各問いに答えなさい。
〈兵庫県〉[110点 ⑥100点×2③10点]
これ
人主の患は、之に応ずるもの莫きに在り。故に曰はく、「一手独り
拍つは、疾しと雖も声無し。」と。人臣の憂ひは、一を得ざるに在り。
故に曰はく、「右手に円を画き、左手に方を画くは、 両つながらは成
あた
す能はず。」と。
キニ
ズルモノ
人
(3)
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之
ゑが
11
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