る言葉を入れよ
何を夢み
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鵺
平家物語
近衛天皇が毎夜午前二時ごろに黒雲に脅かされるので、源頼政が警護にあたることになった。頼政は従者
の井の早太を連れて参内した。
日ごろ人の申すにたがはず、御の刻限に及んで、東三条の森の方より、黒雲群たち来つて、御殿
発作を起こされる時刻になると、
の上にたなびいたり。 頼政きつと見上げたれば、雲のなかにあやしき物の姿あり。 これを射損ずるもの
攻
はちまんだいぼさつ
ならば、世にあるべしとは思はざりけり。 さりながらも矢とつてつがひ、 「南無八幡大菩薩」と心のうち
この世に生きていられるとは思わなかった
に祈念して、 よつぴいてひやうど射る。 手応へしてはたとあたる。 「得たり、をう」と矢さけびをこそし
(弓を)十分に引き絞ってひゅっと射る
*
ここのかたな
九回刀で刺した
りけれ。井の早太つつと寄り、落つるところをとつておさへて、続けさまに九刀ぞ刺いたりける。 そ
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てんで
しとき上下手々に火を灯いて、これをご覧じみ給ふに、頭は猿、むくろはたぬき、尾は蛇、手足は虎の
かしら
くちなは
ご覧になると
貼り。なく声鶴に似たりける。おそろしなんどもおろかなり。 主上御感のあまりに、獅子王といふ
胴体
しゅうぎょかん
ししわう
をくだされけり。
お与えになった
天皇は感心なさるあまりに
1st eater
とも
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は