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36 第1編 生命現象と物質
思考 判断 論述」
131. 細胞接着とタンパク質細胞間の接着や情報伝達には,細胞膜に埋め込まれたタン
パク質が関わっている。そこで,細胞間の接着や情報伝達のしくみについて調べるために
以下の実験を行った。
準備実験 ペトリ皿の中に栄養液を入れて, 動物から取り出した細胞を加えて数日間培養
した。すると,細胞は分裂をくり返してふえながら,細胞どうしが接着し合ってペトリ皿
の底に一面に広がった。 続いて以下の実験 1~3をそれぞれ行った。 なお,ここで用いる
トリプシンはタンパク質を分解する酵素, EDTA は Ca²+ を捕獲できる分子である。
実験1 栄養液を取り除き, Ca²+ を含む
緩衝液を加えた。 さらに, トリプシンと同
時に EDTA を加えたところ, 細胞は個々
の細胞にばらばらに分離した。 ここに
EDTA が捕獲できる以上に Ca²+ を加えて
も,細胞はばらばらに分離したままであっ
た。
実験2 栄養液を取り除き, Ca²+ を含む
緩衝液を加えた。 まず, トリプシンを加え
ると, 細胞は互いに接着し合った塊の状態
のままだった。 続いて, トリプシンの働き
を失活させてから EDTA を加えると, 細
胞の塊は個々の細胞にばらばらに分離した。
さらに, EDTA が捕獲できる以上に Ca²+
を加えると, 細胞は再度集まって塊を形成した。
実験3 細胞の1つに, 極細の針で蛍光を発する親水性の小分子を注入したところ, 隣接
する細胞へと順々に蛍光が広がっていった。 大きさの異なる蛍光分子で同様の実験を行っ
たところ, ある一定の大きさ以上の蛍光分子では, 隣の細胞への蛍光の広がりは観察され
なくなった。
1. 細胞膜に埋め込まれたタンパク質にはチャネルと呼ばれるものがあり, チャネルの
1つに, Na+ を透過させるアセチルコリン受容体がある。 アセチルコリン受容体が Na+
を透過させる際にアセチルコリンが受容体に結合したときのみチャネルとして機能する
―しくみについて, チャネルの構造上の特徴に言及しながら説明せよ。
■2. Ca2+ およびトリプシンは, それぞれ 「細胞どうしの接着に関与する分子」 にどのよ
うに作用しているかについて, 実験1と2からわかることを答えよ。
3.実験3より, 蛍光分子は隣接する細胞へどのようなメカニズムで移動したと考えら
れるか。
|実験 1
Ca²+ を添加
トリプシン + EDTA
ばらばらの
細胞
Ca²+を
過剰に追加
フト
2. 細胞接着には, Ca²+ を必要とするカドヘリンの
細胞
|実験2
Ca²+ を添加
トリプシン
細胞の塊
トリプシン生活,
EDTA を加える
Ca²+を
過剰に追加
( 13. 早稲田大改題