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評論
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たつる
責任を取らない生き方とは? 内田 樹
『困難な成熟』
きちんと機能している社会、安全で、そこそこ豊かで、みんながルールをだいたい守っている社会に住みな
がら、かつ「責任を取ることを人から求められないで済む」生き方をしようと思ったら、やることはひとつしか
ありません。
それは「オレが
「よ」という言葉を言うことです。
吹きゅうきゅう
考えればすぐにわかります。 構成員全員が「オレには責任ないからね」と言い祭り。 フショウジの責任を誰か
他人に押しつけようと汲々としている社会と構成員全員が自分の手の届く範囲のことについては、「あ、そ
これはオレが責任を持つよ」とさらっと言ってくれる社会で、どちらが「誰かが責任を取らなければならないよう
なひどいこと」が起こる確率が高いか。
野盾しているようだが、よく考えると正しいこと
まことに逆説的なことではありますが、「オレが責任を取るよ」という言葉を言う人間がひとり増えるごとに、
その集団からは「誰かが責任を取らなければならないようなこと」が起きるリスクがひとつずつ減っていくので 2
集団構成員の全員が人を差し置いてまで「オレが責任を取るよ」と言うが
「誰かが責任を取らなけ
ればならないような事故やミス」が起きても、「誰の責任だ」と言うような議論は誰もしません。そんな話題に
は誰も時間をサかない。だって、みんなその「ひどいこと」について、自分にも責任の一端があったと感じるに
決まっているからです。 「この事態については、オレにも責任の一端はあるよな」と思って、内心紐たる人間
がどうして「責任者出てこい」というような
的な言葉をぺらぺら口に出すことができるでしょうか。
しくじ
長くなりましたので、結論を申し上げます(もう申し上げましたけど、まとめ)。
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⑥ 責任というのは、誰にも取ることのできないものです。にもかかわらず、責任というのは、人に押しつけら
れるものではありません。自分で引き受けるものです。というのは、「責任を引き受けます」と宣言する人間が
次第に減ること
多ければ多いほど、「誰かが責任を引き受けなければならないようなこと」の出現確率は逓減してゆくからです。
2
3 2
この社会的概念は、
生き延びる前にある!!
信号は「青」で渡ろう! 人間が幸福に、豊かに、安全に
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(31
ut Ji
出典
語注
汲々と小事にあくせ
ないさま。
たる 深く恥じ入
上の①~回段
れぞれ
また、段落X
キーワ
・図「責任を取る
められない」ため
を持つよ
誰もが「オレが青
言う社会では、
起こる確率は高
全員が「責任を取
んなが自分にも
があったと
の責任だ」という
⑤回責任とい
「責任」などの
は、人間が幸
段落メモ
# Xx