-
思考
170. 酸化還元反応式のつくり方 硫酸酸性の過マンガン酸カリウム KMnO 水溶液に,
硫酸鉄(II) 水溶液を加えると、マンガン(II)イオン Mn2+と鉄(III)イオン Fe' が生成
した。この反応について、次の各問いに答えよ。
(1) MnO と Fe2+ の変化を、電子 e" を用いた反応式でそれぞれ表せ。
(2) MnO-Fe2+の反応を、イオン反応式で表せ。
(3) 過マンガン酸カリウムと硫酸鉄(II)の反応を,化学反応式で表せ。
[知識]
171. 酸化還元反
問題170 172
関係 水
+4のままで変化しておらず, SO2は酸化剤としても還元剤としても働
いていない。 この反応では、どの原子も酸化数は変化していない。
(エ) ヨウ素を含む水溶液に二酸化硫黄を吹きこむと, 次の反応がおこり、
ヨウ化水素と硫酸が生じる。
第Ⅰ章
171
12+SO2+2H2O
+4
2HI + H2SO4
+6
この反応では, SO2はH2SO に変化しており, S原子の酸化数が+4か
ら+6に増加しているので, SO2は還元剤として働いている。 このとき,
12の1原子の酸化数は0から1に減少しており, 12は還元されている。
170. 酸化還元反応式のつくり方・
解答 (1) MnO8H++5e→
Fe2+ Fe3++e
Mn²++4H2O
(2) MnO+8H++5Fe2+ Mn²+ + 5Fe3+ +4H2O
(3) 2KMnO+8H2SO4+10FeSO」→
K2SO4+2MnSO+5Fez (SO)」+8H2O
解説 酸化剤 還元剤の働きを示す式を書き, 酸化剤と還元剤の電子
の出入りの数が等しくなるように, 式を組み合わせてイオン反応式をつ
くる。これに, 省略されているイオンを補い, 化学反応式を完成させる。
(1) 硫酸酸性水溶液中で, 過マンガン酸イオン MnOは電子を受け取
ってマンガン(II)イオン Mn²+ に変化する。
半
か
(1)
で取
MnO
+7
Mn2+
+2
Mn の酸化数が +7 から +2に5つ減少するので, 左辺に 5e を加える
MnO+5e → Mn²+
左辺の電荷の合計は-6, 右辺は+2なので, 両辺の電荷の合計が等し
くなるように, 左辺に 8H+ を加える。
MnO4+8H++5e → Mn²+
水素原子の数を合わせるように, 右辺に4H2Oを加える。
MnO4 +8H++5e → Mn²++4H2O
...
また、鉄(II)イオン Fe2+は電子を1つ失い, 鉄(Ⅲ) イオン Fe3+ になる
...2
Fe2+ → Fe3++e
●反応の
増加する場合は、右
eを加える。
②酸化数は+2から
に1つ増加している。
(2) ①+②×5 から, 電子e- を消去すると、次のようになる。
MnO +8H++5Fe2+ → Mn²++5Fe3+4H2O ... ③
(3) 硫酸H2SO4 の水溶液中での過マンガン酸カリウム KMnO』 と硫酸
鉄(II) FeSO の反応なので、 ③式の両辺に K+ と 9SO2を補うと,
KMnO4+4H2SO4+5FeSO K+ + Mn² + + 5Fe3+ +9SO² +4H2O
ここで, 右辺において, 陽イオン K+, Mn²+, Fe3+ と陰イオンSOか
きる化合物は, それぞれ K2SO4, MnSO4, Fez (SO)」 となるので, 右
のように示される。
右辺 : 1/12K2SO4+MnSO4+2/2/Fez (SO4)3+4H2O
両辺を2倍すると, 化学反応式が得られる。
SOの数はHT
(4H SO)5 450
5Fe2+ (5FeSO)から
5SOとなるので、これ
らを足し合わせて
9SOとする。
2KMnO4+8H2SO4+10FeS04
K2SO4+2MnSO4+5Fez (SO4)3+8H2O