花見というのは言うまでもなく、日本を代表する風物詩である。桜をはじめ、季節を代表する
花々を愛でる風習、心情は、日本人にとって深いなじみがあるもので、長い伝統もある。
ただし、われわれが毎年春になると目にする桜色の風景は、日本古来のものというわけではな
い。川沿いなどで並木となって咲き誇るのは、たいていソメイヨシノだが、これは幕末から改良
を重ねて作られた桜の一種だ。原始の時代から山に生えていた桜とは、明-らかに違う
それに、川に沿って桜が自生するはずもない。これは、われわれ日本人が、それぞれの地域で
植樹をして生み出した並木である。風物詩として定着している風景も、結局は自分たちが築いた
ものなのである。ビルが建ち並び、道路が縦横に走る都市の風景が、人間のつくり上げたものだ
ということはすぐに実感できる。だが、われわれが目にする「自然」と呼ばれるものも、その大
半はやはり人間がつくり上げたものであることを、忘れずにいたほうがいい
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