A ニッケル水素電池は, 従来, 単1~単3などとよばれてきたマンガン乾電池に,
そのまま置き換えて使用することができるものも多く,充電可能な二次電池であ
る。ニッケル水素電池では, 負極活物質として水素吸蔵合金 M(以下,合金 M)
に吸収させた水素 Hz を, 正極活物質として酸化水酸化ニッケル NiO (OH) を,
電解液として水酸化カリウム水溶液を用いている。
水素吸蔵合金は、, 可燃性で取り扱いが難しい気体の水素を金属結晶の隙間に吸
蔵させ,必要に応じて水素を取り出せる合金である。水素吸蔵合金として,マグ
ネシウム,バナジウム, マンガン, ニッケル, ランタノイドなど, 様々な元素の
組合せのものが試みられている。合金 Mが水素原子を吸蔵した状態の化学式を
MH と表すと,合金 Mが水素分子 Hzを放出したり吸蔵したりするときの反応式
は,次のように書ける。
2MH = 2M+H2
また,電池が放電するときの負極および正極の半反応式は次のようになる。
ラ/負極 MH+ OH-→ M+H:0+e
正極 NiO (OH) + H20+e- -
Ni (OH)。+OH-
次ページの図の装置を組み立て, ニッケル水素電池を数個直列につないで電源
とし,電解槽Iに電極として黒鉛,電解液として1.00 mol/L 塩化カリウム水溶
液100 mL を入れた。電解槽Iには, 電極としてステンレス電極, 電解液として
1
0.0150 mol/L 水酸化カリウム水溶液100mL を入れ, 両電解槽の間を陽イオン交
換膜で仕切り,電気分解を 386秒間行った。このとき流れた平均電流は 0.625 A
であった。
なお,電解液の体積変化は無視できるものとし,電流効率を 100%とする。必
要ならば,次の値を用いよ。
ファラデー定数 F=9.65×10* C/mol
mol'/L?
水のイオン積 K,=1.00× 10-4円
常用対数 1ogo2.0 = 0.30, log»3.0= 0.48, loga7.0=0.85