不動産会社Xは土地を造成して売り出した。Yは友人Zを誘ってこの分譲地を見学に行った。そして、
Yはある一区画(甲地)を、Zは別の一区画(乙地)を購入しようと考えて、それぞれ申込みをし、Yは
100 万円を、Zは50 万円を支払った。ところがしばらく後で、甲地にはYが計画している大きさの建物
を建てるのが困難であることが判明したために、YはXに、100 万円をプラスして払うので、乙地を売
ってくれないかと打診した。XとY が協議した結果、Yは、甲地ではなく乙地を買い受けることとし、
代金全額を支払い登記の移転も終えた。その後、XはZに事情を説明して、5%値引きをするので、乙地
ではなく甲地を買わないかと持ちかけた。Z はこの申込を拒み、Y に対して乙地の所有権移転登記を求
めた。この請求の当否について、検討せよ。
〈参考判例)最判昭和31年4月 24日民集 10 巻4号417 頁
最判昭和 40年 12月21日民集 19 巻9号2221頁