源氏物語
に変化したかを読み取ります。心情は、 会話の中に表現され
イマーY吸
マ今回は長編物語の最も代表的な作品であ
め文章全体をしっかり読むことが大切です。また、 心情を正
しく読み取るためには、形容詞の知識が欠かせません。
ることが多いですが、 それだけではありません。地の文も含
る「源氏物語語」を扱います。説話がー人の行動を描くのに対し
て、物語は人の心情を描くのが大きな特徴です。物語を読む
ことは、人の心を読むことにほかなりません。登場人物の関
係を踏まえ、事態の変化によって登場人物の心情がどのよう
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次の文章は『源氏物語」の、年老いて患っている乳母を、光源氏が見舞った一節である。これを読んで、
後の問いに答えなさい。
尼君も起き上がりて、「惜しげなき身なれど、捨てがたく思ひ、給へつることは、ただかく御前にさgら
ひ御覧ぜらるることの変はりはべり。なむことを、口惜しう思ひ給へたゆたひしかど、(忌
に、よみがへりて“なむ、かく渡りおはしますを見給へはべりぬれば、今。なむ阿弥陀仏の御光も心清く待一
-X
(注2)
だ ほとけ
たれはべるべき」など聞こえて、弱げに泣く
「日ごろおこたりがたくものせらるるを、“安からず嘆きわたりつるに、かく世を離るるさまにものし 5
給へば、いとあはれに口惜しう
。なむ。命長くて、”なほ位高くなども見なし、給へ。さてこそ九品の上に一
も障りなく生まれ給はめ。この世にすこし恨み残るは、わろきわざと 。なむ聞く」など涙ぐみて"のたまふ。
かたほなるをだに、乳母やうの思ふべき人は、あさましうまほに見なすものを、ましていと面立たしう、
なづさひ仕うまつりけむ身も、いたはしう、かたじけなく思ほゆべかめれば、すずろに涙がちなり。
(注3)ここのしな一
- N
おも だ
(「源氏物語」による)
御覧ぜらるることー お目にかかること。「らるる」は受身の助動詞で、相手が「ご覧になる」対象が自分であるということ。
2たゆたひしかど|| ためらったけれど。
じようぼんじようしよう」
3九品の上|浄土信仰で極楽往生する際の最高位、上品 上 生をさす。
物語