サルでもわかる微積物理 力学編(ガリレイ変換とコリオリ力)
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高校全学年
高校物理を微積分を使って学び直して、マセマで大学教養レベルまで高めていく新シリーズ♪
今回はガリレイ変換とコリオリ力です。高校物理だと慣性力の部分です。
高校でこの慣性力で詰まる人多いけど、座標変換と捉えればすごく理論的にすっきりと理解できますよ!
ノートテキスト
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サルでもわかる微積物理 力学編(ガリレイ変換とコリオリの力) これまでは座標系としては、 「外力が働かない限り、物体は静止または等速度運動しているように見える座標系」 すなわち慣性系を用いてきた。 これより、運動座標系”という概念を考えていく。 ◎等速度で並進運動する座標系 図1に示すように、慣性系 Oxyz 座標系に対して、それぞれ の軸の向きは慣性系と平行に保ちながら、その原点O'が 00 = ro (t)= [xco(t)、yo(t), Zo(t)] で表されるように 運動している直交座標系0'xyについて考える。 図1より、明らかに=ゐ+2となるので次式が成り立つ。 y'(t) = r(t) - ro (t) ・・・・・・これを具体的に書くと、 図1 等速度で平行移動する 座標系 r' = [x', y'. P r= [x, y, z] y 0 (r₁ = [xo, yo, Zo] 'x'(t) x(t) Xo(t) y(t) = y() yo() ①となる。 Z() Z(t), Zo(t) このように、慣性系Oxyz でみ(t)により,記述されていた点Pの運動が、Oxyz 座標系では7(t)=r(t)-Yo (t)で表されることになる。 例題 22 慣性系 Oxyz で質点Pの位置ベクトル r(t) が r(t) = =[121.1, 2-1 であるとき, 00=r(t)=[0,t, 1-1 により慣性系 Oxyz に対して並進運動す る座標系 0′x′y'zにおける質点Pの位置ベクトルを求めてみよう。 ①より,P(大)= [x](大),y(大),Z)(t)] 「質点Pの 描く軌跡 1= = }(t) − ɣo (t) = [≤ t³‚ t 2 − t ] - [0, t, t] =[1,0,1] となる。 Ho 0産標系における質点Pの運動の様子を右図に示す。
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それでは、この2つの座標系における質点Pの加速度を求めて」それぞれの 座標系で点Pに作用する力についても調べてみる。 r(t) とみ(t)のそれぞれの加速度a(t) と a^(t) を求めると、 Oxy座標系 0.xyz 座標系 2(大)=[/tt2-t] }'( t ) = [ ± 1², 0, 1] ひ(t)=j(t)=[t,1,-1] (t)=(t)= [1,0,0] a(t) =j(t)= [1,0,0] a'(t) = ()= [1,0,0] となって,a(t) と a' (t)が一致する。これは質点Pの質量され、また点Pに作用する それぞれの座標系における力をffとおくと、 f=ma, f'=ma' となって、いずれの座標系においても同じ運動方程式が成り 立つことがわかる。 したがって、このとき、もしa=0ならば a=0となり」 f=ma=mj=0より,び=g(一定)となるので、 座標系においても 「質点(物体)Pに外力が作用しない限り、物体は等速度運動(または静止)を 続けることになる」よって、Oxyも慣性系であることが分かった!! なぜなら、慣性系0xyに対してxyz座標系は」 10(t) = 000=10,尤トも]←各成分がすべて"の1次式”または”実数” で並進運動しているわけであるが、ゐ(木)のすべての成分がどれも大の1次式が定数 なのでこれを2回微分したものは当然(オ)=[0,0]=0となるからである。 実際, }()=y(t)-70(t) ①の両辺を2回微分すると 0'x781 Oxyz 00 座標系 座標系 学(大)=j()-10(木)=g(t) ②となる。 0 a'st) alt) ここで、(大)の成分が大の1次式または定数のとき、これを大で1回微分した 速度で。(大)は、VoH)=ro()(定ベクトル)になる。 2
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ひが定ベクトルであるということは、慣性系 Oxyzに対して、0'xyz 座標系は 等速度で並進運動していることを表す。そして、 「 慣性系に関して等速度で並進運動する座標系もまた慣性系である」ことが分かった。 理由は、jo=ぴo=o となって,②より a’(t) = a(t), すなわち f'=fをみたすから である。 揺れることなく,等速度で走っている電車に乗って、窓外の景色を観て いると座っている自分の方が静止していて、外の景色の方が前方から 後方に運動しているように錯覚したことがあると思う。 しかし、力学的には錯覚ではなくて、電車に取り付けた座標系を 慣性系として考えれば当然、上記のように窓外の物体すべてが 電車の速度とは逆向きに運動していると見えるわけである。 図2 ガリレイ変換 O' Ver このように、1つの慣性系に対して等速度で並進運動する座標系はいずれも同格の 慣性系で、どれが静止系であるかを特定することはできない。 この電車の例をさらに一般化して表すと、図2のように慣性系Oxyzに対して、 x軸方向にのみ一定の速度vo=[Vax,O,O]で並進運動するもう一つの 慣性系0を考えることができる。 時刻t=0のとき、0と0'が一致すると考えると、①と①’より、 '(x)=r(t)-20(t) すなわち、 「x(t) y' (t) (Z(t) 「x(t) 「Vext となる。 = y(t) Z(t) 0 慣性系 慣性系 ように 0′ Oxyz これを“ガリレイ変換”と呼ぶ。
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非等速度で平行に運動する座標系 (i) 等速度で平行に運動する座標系 v₁ = [v... 0] → U P(m) (fo=0 図3 ガリレイ変換を少しシンプルにした図3(i)を考える。 地表にとった慣性系Oxyに対して、 h=08 = [Vext,O]により、平行に運動するo'xy座標 が電車に設けられているものとする。 0 この電車の中にOxy座標から見て静止している質量を もつ質点Pがあるものとする。 つまり, Oxy座標から見てPに働く外力の総和は0だ。 では 0xy座標から見るとこの点はどう見えるか? (ii) 非等速度で平行に運動する座標系 α = [a. 0] → P(m) 慣性力fma 'xy 座標 (電車)に乗っている人から見ると、質点Pは、ひとは逆向きのひで 等速度運動をしているように見える。しかし、点Pは等速度運動しているだけだから、 Pに新たに何か外力が働いているわけではない。 これが0yも慣性系と言われる理由である。 これに対して、図3 (ii)に示すように慣性系Oocyに対して、座標系Oxeyが x軸方向に加速度ao=[lax>0]で等加速度運動するようになると状況は一変 する。この場合も同様に、慣性系Oxyから見て静止している質量mの質点Pは 0xy座標系から見ると、doとは逆向きの-aoで等加速度しているように見える。 慣性系Oxyから見て質点Pは静止しているので、Pa働く外力fはf=oだけれど」 0'xy 座標系から見るとPは-aoの等加速度運動をするので、当然Pには fo=-maoの外力が働いているように見える。 この本慣性系では存在しなかったはずのみかけ上の力のことを“慣性力”と呼ぶ。 ここで、%=0の3つの成分のうち少なくとも1つが大の1次式や定数でない 場合、 すなわち ao=h≠0のときに、新たな座標系0mgには慣性力-mao が新たに加わることになる。これを式で確認しておく。 r'(t) = r (t) - Yo (t) ①について 0x O'x'y'z' 00' 座標系 座標系 4
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この両辺を大で2回微分すると、 j(t) = ŕ(t) - to (t) よって, a'(t) = a(t) - ao(t) a'(t) ao (t) = a(t) ao(t) 0 %(t)≠o に気を付けて、この両辺に質量mをかけると、 ma(t) = ma(t) - mao(t) f(t) = f(t) + fo(t) となって、0xy樌性糸では存在しなかった 0'xyz OXYX 慣性力 座標系での力 慣性系の力 慣性力fo(t)が、非等速度で並進運動する0'xcy座標系では、現れることになる。 慣性系 Oxyzに対して、Yo=0により、並進運動する 座標について」 (i) yo = [2t,1-tt+3],10=[1,2,2-3t]などの場合, o'x'y'zは慣性系で、慣性力は存在しない。 (T) To = [1 ², 1, 1-2 t ], No = [2 cost, -2sn't, t]--- Azoka, 2次式 三角関数 0xyz)はもはや慣性系ではなく、miの慣性力が生じることになる。 ◎回転座標系 次に慣性系に対して回転する"回転座標系”について考えていく。 円運動のところで簡単に回転座標系と「遠心力”について触れた。実はこの遠心力 は回転座標系において現われる見かけ上の力、すなわち慣性力の1つである。 そしてさらに、この回転座標系の中で運動する物体(黄点)には“コリオリの力”という 新たな慣性力が働く。 回転座標系のプロローグ 静止座標系(慣性系)として、図1に示すようにOxy座標 図1回転座標系 Ox'y' が存在するものとする。この慣性系0xyと原点を共有して 一定の角速度で回転する座標系を0xy' とおくことに する。 wt 図2角速度ベクトル w= [0, 0, 0] wt
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大=0のときに Oxyとoxyが一致し、それから大秒後、すなわち回転 座標系oxyがwtだけ反時計回りに回転した様子を図1に示す。 回転座標系としては、平面座標のみを考えることにするけれど、角速度Wを 角速度ベクトル W=[0,0,w]の形で表すと、回転の問題は必然的に空間座標 回転座標系 Oxy"の回転軸方向を表すベクトル。 同転により右ネジが 進む向きを正とするんだね。 の問題になってしまうことに注意する。 それではここで、回転座標系の中で運動する物体(質点)に働く慣性力“コリオリの力” について、キャッチボールの例を使ってまず簡単に解説する。 2人の少年イチローとジローが、図3に示すような大きな 円板の上でキャッチボールをしているものとする。 図3 コリオリの力の例 =[0.0.1 ↓イチロー 初め円板が静止しているとき、この2人の少年が互いに 投げるボールは共に相手の正面に届くものとする。 アレ!! (角速度で回転している円板 ところが次に,円板が角速度Wで回転しているときに、イチローがジローに向かって 投げたボールがどうなるかを考えてみる。 円板が回転して“遠心力”が内側から外側に向かって働くため、イチローの投げる ボールはいつもより速くなっているはずだ。しかし、正確にジローに向かって投げたはず のボールは図3に示すように進行方向の右にそれてしまう。 円板の端近くに立っているジローの周速度は円板の中心付近にいるイチローの 周速度より大きい。よってジローめがけてまっすぐに投げたイチローの球がジローに 届くまでに、ジローは反時計まわりにかなり移動してしまっている。 ジローは依然としてイチローの真前に立って見える。イチローには円板が回転 していることは分からない。よって、相対的に投げたボールが右にそれて見える。 イチローやジローが、自分たちの乗っている大きな円板が回転していること、すなわち "回転座標系”の中に自分たちがいることに気付かないで、まっすぐに投げたはずの ボールが何らかの力を受けて右に曲がったと感じる。この 見かけ上の力(慣性力) のことを「コリオリの力”という。 か
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② 回転座標系の数式化 図4(ⅰ)に示すように、慣性系Oxyに対して、0点のまわりを 一定の角速度で回転する回転座標系 Oxyがある ものとする。 ここで、あるベクトル8が (i) 慣性系 Oxyではg=[xy]と表され、 (jii) 回転座標系 Oxyでは = [x]と表されるとして との関係を求めてみる。 t秒後にwtだけ回転している回転座標系 Oxyと、 80xy座標で表したを共に逆向きに-wtだけ戻して 図4 (i) 回転座標系 (1) g(g') (ii) 回転座標系(II) [1]=[] y R( g=1x1.j q = [x', y'] 慣性系 Oxyと回転座標系 Oxyが一致するようにすると、図4(il)から分かるように、 ggを原点まわりにwtだけ回転したものであることが分かる。 よって、8=R(wt)' g これを具体的に表すと、 coswt-Sinwt = ①'となる。 sin wt coswt Y このとの関係は一般論なので、Oxy慣性系での位置ベクトル,速度ベクトルひ 加速度ベクトルαを、慣性系から見たO'xy 座標で表したものをそれぞれria とおくと、それぞれの関係も①や①と同様に次の各式で表せる。 (i) 位置 n(t)= [ay] とy(t)= [xy]の関係 1(土)=R(wt) y'(t)-② これを具体的に表すと、 [5]=[ coswt-smwt cosut] [3] ②となる。 sinwt (11) 速度 ひ(土)=f(t)=[j]=[ひぇっひゅ]と(大)=[ひょひょ]の関係 v(t) = R(wt) ữ (t) ③これを具体的に表すと、 [b] coswt-Sinwt smwt coswt 7 ③となる。
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a(t) =j(t) = (ii) 加速度 a(t) = if(t)= [xy] = [ax,ay] と(t)=[ax,ay]の関係 R(wt) (t) これを具体的に表すと、 ax []=[ coswt-Sinwt Sinwt caswt 1 ax ④となる。 ここで重要なポイントは > (t)=[y]は動点Pを回転座標系 Oxyに 乗って見たときの位置ベクトルを表しているけれども()=[ひゃひg]や ai(t)=[axsay]は回転座標系に乗って見たときの動点Pの速度や加速度を 表しているのではないということである。 これらは図4(1)に示すように、あくまでも慣性系Oxyに対して偏角wtだけ傾けた 座標を重ねて、慣性系から見て、傾いた座標成分xやyで(大)やâ(大)を 表したものにすぎないからである。 このことは③、④より,R(wt)の逆行列 R-(wt) を用いて、 び(t) = R(wt) ひ(t) (t)=R(wt) a()と表されることからも + ひ(も)と安(大)、および a()とâ(t)が本質的に同じものであることが分かる。 それでは、回転座標系 Oxyに乗った人が見る(感じる)動点Pの速度ひ(t)と加速度 a() はどうなるかというと、当然、 v(t) = [ij], a' (t) = [x, ÿ ] x tbo. これから、N()=[ひっひ],alt)=[acay] を求めてみせるが、その結果」 び(大)≠び(t), a()≠a(t)であることが明らかとなる。 [3]-[ coswt ②より [3] = ] x'coswt-ysinwt xsinutty'coswt wは定数であることに注意して、この両辺をtで微分して ひ(t)=[y]を求めると [CH [[a] = [ sin wr coswt sinwt sin wt 2 cos wi sin wr cosmot 北 ...(3) coscot sinot sin wr coswt v(t) = ひぇ x 文’coswt-wx'sinwt-y'smwt-wy'coswt = より、 Lug 欠smwt+wx'coswt+ycoswt-wy sinwt 慣性系の速度 8
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ひ(t)=(x-wy') coswt - (y+wx') - cos wt - (f + wx') sowt V(t) = coswt-sinwt smwt coswt Vi (x - wy \\y+wx| Vy' ⑤ R-(wt)は存在するので、⑤と③を比較して」 ひん V(t) = = x - wy Vy j+wx ⑥が導けた ⑤ よって、 これは回転系 Ox'y' に 乗っている人から見た 速度v' = とは異なる。 次に⑤の両辺をさらに大で微分すると、 a(t) = v(t) = [arz]; [a5] = [] ←慣性系の加速度 [("-wi) caswt - w(t'-wy) smut - (+w) smut -w (j'+wx) coswt ((ö'-wijs) sinwit two (s' - way;) cosuit +(y+wx) coswt -w (j's+we) sinut 「('-2wy-x) cost('+2way) int (x-2wy-ux) sirwt+(y+2wj-way) coswt coswt -sinwt ∴a(t) = Sinwt coswt ]] ax -2wy-wx y+2ws-1 -wy ag R+ (wt) は存在するので、⑦と④を比較して √a^(t) = [ax ] = Lay ⑧を変形して、 [ax] = [*] [*] = [] T 回転系での 加速度 - 2 -2wy-wexe ij' +2wx'− w²y, -wx w2 [4] より +w{}] +2 [-t] + 2 xyなどで表してはいるが 本質的には慣性系の加速度 ⑧も導けた。 これは回転系 Oxy' に 乗っている人から見た *=鬪 これは④より ax [2] = 加速度 α = とは異なる。 R+(wt) axから求められる。 Lay
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この両辺に質点Pの質量をかけると、これは回転座標系における 運動方程式となる。 m [] =m ax ay +mwe +2m Swg y -wx 回転系で質点 慣性系で質点 (遠バカ (i) コリオリの力 回転系でPが運動して に働く力f に働く力f fci fc2 ✓慣性力 ここで、質量 の質点Pに対して いなければ, v´¯[{ ;] =[8] × なるので, f=0となる。 と f' = ma =m f=ma=m [2] 慣性系でPに働く力 Lay. =mwz [ ] 回転座標系でPに働く遠心力(横性力) :回転座標系でPに働く力 mRt(wt) Tax = m R' (wt) [az] f= fee = 2m「wj [-w] :回転座標系で運動するPに働くコリオリの力(慣性力) とおくと,⑨は簡潔に次のように表せる。 f=f+for+fce 回転座標系 Oxyは慣性系ではないため、回転座標系で質点Pに働く力 には,慣性系でPに働く力f以外に、見かけ上の力(慣性力)として遠心力fe,と コリオリの力fc2が加わって見えることになる。 ここで,遠心力fcは質点Pが回転座標系で運動する、しないにかかわらず常に Pに作用するけれど、コリオリのカチュは回転座標系の中で運動する質点Pのみ にしか作用しないこと、つまり回転座標系で静止しているPには働かないことを 覚えておくこと。 ALA
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